表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

第1話 なぜか異世界に転生?!

イーロン・マスクが、火星移住計画、立ててますよね。そこで火星のインフラを作る仕事ができたらいいな~なんて思っていました。

でも、異世界なら、そういう構築は、火星よりも簡単だ! 

……と思ったので、こんな話を書いてみました。


世界を動かす大きな仕事をしてみたい! と思う人に、ぜひ読んでいただきたいです!

小説読みながら、そんな脳にできたらいいな…。


頑張りますので、ぜひ、ブックマーク、お願いします!


黒江ミナは、正直かなり疲れていた。


グリーンのアイシャドーをぼかしたアイメイクに、黒い大きな目が何度も瞬く。パソコンの見すぎなのはわかっている。目が疲れたと訴えているのも承知している。でも、今はそれどころではないのだ。


薄い若草色のスーツに身を包み、ミナは窓の広い明るいオフィスで必死になってパソコンのキーを打ち続けた。AIの相棒アイと共同作業で、交互に文章やデータを企画書に織り込んでいるのだ。


茶色の長い髪の毛は一つに結んで緩め、くるりと巻き込んでにして後ろでまとめてある。落ちてくる髪の毛をはらうのも煩わしいからだ。そのくせ女らしく見える良い髪型だ。


「アイ、ここのデータをチェックして。間違いはないかな?」

「アイ、ここの表現だけど、もっと訴求力の高い言葉、ある?」

アイと対話しながら、企画書を進めている。


5階の窓からは南カリフォルニアらしく青空をバックに広告用の飛行船が浮かんでいた。同僚が窓を開けて、飛行船を眺めている。

「お、そうだった! 今晩はMLBの大事な試合が!」


そう言って、彼は帰り支度を始めた。広告主の思惑にしっかりとはまっている。

スポーツに興味のないミナの耳にはただの雑音だった。


 ミナは東海岸にある世界最高峰のビジネススクールで、経営学修士号(MBA)を取得した。卒業後、西海岸の大手コンサルティング会社に勤務して3年目だ。28歳の今、自分のキャリアには自信があった。


現在、世界を変えるビッグプロジェクトにかかわっていた。

 人型ロボット――ヒューマノイドが2030年代には家庭や企業に普及し始め、新たな社会インフラとして不可欠なものとなった。


そのプロセスで、新しいビジネスが大量に生まれた。大きく社会が構造を変えて変化しようとしているときに、MBA取得者は引っ張りだこだった。そんなときにミナはビジネスキャリアをスタートさせたのだ。


 ミナが担当したのは、ヒューマノイドのリサイクル市場構築という重要プロジェクトだ。そして、メーカー最大手のダイナトム社と契約できれば、とりあえず動き出せるのだ。

その打ち合わせの日が明日。


それまでに、完璧な企画書を提出する。若手のミナが、まるで一国の王のような大企業の経営者と交渉するには、念入りの企画書武装が必要なのだ。


 しかし、2日連続のほぼ徹夜。夜の8時になってもまだ満足できる企画書がつくれない。視界が霞む。コーヒーカップを持とうとしたが、手が震えた。なんとか締め切りに間に合わせなければ…。

とりあえず立ち上がって窓のそばで背伸びをし、新鮮な空気を吸った。


少し休憩して、もう一度見直しをするつもりだった。

しかし、ミナは急に目の前が真っ暗になった。倒れこんだ。

(あ…? 立ち眩み?)


急に眠気に襲われたように意識が亡くなり、ミナは窓の外に落ちてしまった…。

 そのとき、光と闇の境界が反転し──視界が白く弾けた。


 * * *


「…ここは?」

 目を開けると真っ青な空が見えた。膝くらいまでの高さの草むらにいるようだ。風がささやく音がして、鳥の声が聞こえる。自然公園? 植物園? こんなところ、あったっけ?


体を起こすと、スーツに草やはっぱがくっついている。足元は白いパンプスのまま。そして、振り返ると――


「グエェェェ…」


 醜悪な二足歩行の緑の生物。泥と血の臭いを漂わせた小型のゴリラに似たモンスターが牙を剥いた。

「きゃ~~!!!」


ものすごい声で叫び、ミナは後ろにのけぞった。

(なに、これ…。嘘でしょ…?!)


 ミナの身体はまったく動かない。勝手に体が震え出す。

(いや、落ち着け、落ち着け。まだ距離がある)


すぐそばにいるように感じたが、まだ8メートルは距離がある。怪物の動きは速くないようだ。向こうもこちらをうかがっているようだ。


ミナの頭の中におばあちゃんの声が聞こえてくる。


「ミナ、アメリカの大学は怖いところだよ。いつ危険な目に遭うかもわからない。どうしても行くって言うんなら、合気道くらい覚えておきなさい」


12歳でアメリカに留学すると決めたミナに、祖母はそう言って、合気道を教えたのだ。祖母は合気道の達人だった。


(今ここで使わなくてどこで使うの?! 暴漢も怪物もどっちも大差ないじゃない!)

ミナは立ち上がった。大きく見えた怪物は150センチくらいの大きさだった。

アメリカなら暴漢は190センチ級だろう。それを思えばたいした大きさじゃない。

(落ち着け、落ち着け…。できる、できる…)


ミナは半分、今の状態を夢だと思っていた。心理学の授業で夢の中でも自分の意志を発揮する訓練を受けたことがあった。だから、あの怪物と戦うのだ。

幸い、あの怪物は人間と同じような身体の構造をしているから、合気道は効くだろう。


合気道で培った身体の感覚が自動的に動きを導く。飛びかかってきた緑の怪物の腕をつかむと、関節と逆の方向に回して転がす。


「てゃ~!!」


思った通り関節の動きは人間と似ていた。しかし、これは相手を倒しただけだ。本来なら、この隙に逃げればいい。でも、この草原でどこへ逃げればいい? いや、夢なら逃げなくてもいいのかな?


(えっと…)


 ミナが混乱しているうちに、緑の怪物は起き上がって、またミナを襲おうとした。

ミナは背を向けて一目散に走る。合気道ではこの怪物に致命傷を与えられないと悟った。

三十六計逃げるにしかずだ。


「はぁ…はぁ…っ!」


 後ろを振り返りながら走っていたせいで、前から来たものに気づかなかった。

「下がれッ!!」


 鋭い声と共に、銀色の剣が一閃した。1人の男が現れ、怪物に切りつけたのだ。

 ミナは倒れるように男の後ろに下がって、そのまましりもちをついた。


目の前を血しぶきが立つ。怪物は瞬く間に斬り伏せられた。緑の身体が草の中に沈む。

(な、なんなの~?! これ…??)


 血しぶきがリアル過ぎた。男は剣を振りかぶって、怪物にとどめを刺す。

 急にすべてが静まり返った。風が草を薙ぐ音、遠くで鳥が鳴く声が聞こえる。


「怪我はないか?」

 見上げるとその男がこっちを向いて立っていた。


 逆光でよく見えないが、黒いストレートの前髪が印象的だ。革鎧に、右手に鋭い剣。太陽の光を受け、まぶしく輝いている。


命を救ってくれた男はさらに言った。

「あんた、冒険者じゃないのか?」

「……ぼ、冒険者?」

 聞き慣れない言葉。


 だが、言語は“なぜか”通じている。


(えっと…。ここはいったいどこ? アメリカのどこかじゃないの? こんな緑の場所って…。ヨセミテ? ザイオン? こんな怪物、見たことはないけど、そもそもクマだってよく見たことなんかないし…)


「あんた、その格好……変わってるな。…何者なんだ?」

「え? 変わってる?」


ミナは自分の服装を見回したが、自分が変わった格好をしているとは思えなかった。しかし、目の前の若者は、どう見てもゲームの中の冒険者の恰好だった。これはいわゆるコスプレ?


(変わっているのはどう見てもあなたのほう…)


 ミナはそのまま黙ってしまった。何を言えばいいのかわからなくなったのだ。

(自分はいったいどこにいるんだろう? 

そう、目の前が真っ暗になって、窓から落ちた? 死んだと思ったけど、夢の中にいるの?)


 誰も答えてくれない。


「俺はカイルだ。あんたの名前は?」

「ミナ。ミナ・クロエ」


アメリカで言いなれた順番で名前を言った。


「ミナか。もうすぐ日が暮れるぞ。近くの村まで送る。一緒に行こう」

そう言って、カイルは左手を差し出した。


(村…??)


ミナは自分がしりもちをついているという情けない状況であることに気づき、その手を取って立ち上がった。


それは黒髪の若者で、よく灼けた肌に黒い大きな瞳。手はがっしりとしていて、武道家のようだった。立ち上がると、170センチのミナよりも頭一つ分、背が高い。


「あのな、そのスカート、短すぎて子供みたいなんだけど…」


カイルは自分が恥ずかしそうな様子で顔を背け、自分が着ている茶色のマントを外して、ミナに着せた。

「え? …あ、ありがとう…」


ミナは戸惑いながらも、そう言うしかなかった。ミナのスカートはひざ丈で、決して短すぎるはずはない。マントで隠すような恥ずかしい恰好はしていないと思うのだけど…。


それからカイルは怪物のところに戻って、その胸を切り裂いた。


(うわっ……)


猟奇的としか思えなかった。いくら夢でもひどすぎる。彼は手慣れた様子で、そこから魔石を取り出した。ピンポン玉くらいの大きさで、黄土色をしていた。


(えっ?! 魔石…。もしかして、ここは異世界?!)


ミナの心の中は今にも叫びそうだった。心臓がバクバクした。さっきまでは夢だと思っていたが、そうではないらしいと感じたら、急に怖くなった。


(いやいや、異世界の夢かもしれないし…。もしかして私、頭でも打った? それとも死んだのかな? 死んでここに転生した? 彼の服装も、どう見たって現代じゃない。冒険者? コスプレじゃなくて? 私、異世界転生した~???)


カイルは前を歩きだす。最初はついて行っていいのか戸惑っていたが、10メートルも離れるとミナも慌ててあとを追うしかなかった。


カイルの後ろを歩きながら、ミナは両手で頭を抱え、大口を開けて、声なき叫びをあげていた。

(どうしよう、どうしよう、どうしよう…!!!


私、異世界転生したいって思ったことないし!


か弱い私が異世界なんかで暮らせるわけないし!!


この冒険者に助けられなかったら、死んでたし!!!


いったい誰が私をこんな世界に転生させたのよ~?!


夢なら覚めろ! 夢なら覚めろ! 夢なら覚めろ! さっさと覚めろ………)


ミナは呪文のように心の中で大声で唱え続けた。


カイルがふと振り向くと、恐怖と困惑に満ちた顔のミナがいた。


「あの…、大丈夫か?」

おそるおそるカイルが声をかける。


まるで人間ではない者を見るように、ミナを見る。


首を傾けると、肩まで伸びたカイルのストレートの長い髪が揺れる。そのワイルドな外見は、とても現代人には見えない。

肩や腕の筋肉の付き方や戦いなれたどっしりとした歩きかたを見ると、20歳くらいなのだろう。


「だっ、大丈夫。た、たぶん、…大丈夫……と…お、思います……」


ミナは現状を正しく把握しようと思った。


少なくとも、ここで変な女だと思われたら、絶対にここにおいていかれる。それだけは避けなければならない。

夢だとしても、魔物に食われて死ぬなんていやすぎる。そんな夢は見たくない。


(あ、企画書…)


ふと思い出した。丹精込めた企画書も無駄になってしまった…。

急に気が抜けて、たんたんと歩き出す。

ミナは考えるのをやめて、この世界をゲームだと思って黙って体験することに決めた。


………


(いったい、これからどうするの? 何が起きるの?)

………

(私はどうなっちゃうの~?!)


考えを止めても止めても、……止めるそばから心の叫びが湧き出て来るのだった。



今回は、異世界転生のお約束、転生したところから。

主人公がこのスタート地点から、成長していくところ、お楽しみに!

ミナとカイル、二人とも、ここから進化していきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ