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遅くなり、本当に本当に申し訳ありません!!
お待ちいただいていた読者様方には、本当に感謝が尽きません。
本当にありがとうございます。
筆者の都合が合わず、なかなか続きが書けませんでした!
体調を崩していたわけではございませんのでご安心ください。
暫く忙しいのが続きそうなのでまた不定期更新になりそうです。
どのような形であれど、絶対にこの物語は完結させますので、お付き合いいただけると幸いです。
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簡単なあらすじ。
頭のおかしい王太子さまとヒロインさんに、ミスコンで突き飛ばされました。
「さぁ、そろそろよ!」
「うん!楽しみ!!」
「カイリ、頑張れ!!」
ソフィーと私で、カイリに応援を送る。
剣が重なり合い、せめぎあい、どちらかが後ろに押し負ける。
その度に大きなざわめきが起こる。
押し負けている回数を見るに、どうやらカイリが優勢のようです。
相手は優勝候補だというのに、凄いです。
「これ、勝てそうね。」
「うん。さすがカイリだわ。」
まあ、油断は禁物と言いますが。
中等部の時でさえ、男の子相手に1歩も引かなかったカイリです。
女騎士候補といえど、女の子に押し負けるとは考えにくいですからね。
「あ、剣が!」
一際ざわめきが大きくなって、闘技場に目を移すと、ひとつの剣が空を舞います。
しんと静まり返った闘技場に、空気を読まない少し滑稽な音が鳴って、剣を握っていたのは…
カイリでした。
「やった!!これでカイリ、決勝進出よ!!」
「すごいわ!流石ね!!」
思わずソフィーと顔を見合わせて拍手をしてしまいます。
まだ準決勝ですが、優勝した気分です。
なにせ相手は、優勝候補の3年生です。しかも卒業後に女騎士団所属が決まっているんです。
これはすごいに決まってます。
…あ、状況が読めない感じですみません。
会話内容で察して頂けたかもしれませんが、ただいま武闘会の真っ最中です。
カイリが女子の部の準決勝に勝ちました。
準備期間は、中等部の時と大して変わらなかったので割愛します。
あ、そうです。
実は、高等部では女騎士候補になるような爵位の方もいらっしゃるので、女子の部も設立されていたりするんです。
もちろん、総合の部なら男子とも対戦できます。
上から下まで最大3歳差がありますが、そこは高等部の女子。
体格差は大してなく、筋力的な差も無いに等しいレベルです。
そのおかげか、カイリは大して苦戦することなく、ここまで勝ち進んできました。さすがですね!
「リリー!なにぼーっとしてるの?もう決勝始まるわよ!」
っと、決勝始まっちゃうみたいですね。
休憩なしだけど大丈夫なんでしょうか?
「あ、カイリ!」
右端の扉から出てきました。
心無しかちょっと緊張してるみたいです。
がんばれ、応援してますよ!カイリ!!
「両者見合って…構え!…勝負開始っ!」
審判さんの一声で打ち合いが始まります。
まずは互いに浅めで攻めてます。
様子を見てる感じですね。
っと、カイリがここで大きく踏み込みました!
太刀筋は綺麗でしたが、残念ながら流されてしまいましたね。
でも、構えに戻るのはスムーズでとっても早かったです。
油断も隙もありません。
あ、今度は相手の方が勝負を仕掛けました。
剣を握る手首を狙ってるのでしょうか。
っと、カイリはそれを体を捻って交わし、技を放って体制を崩した相手の方の手首を叩きます。
「あ!」
耐えきれず、相手の方は剣を落としてしまいました。
カイリは、落とされた剣を蹴って遠ざけ、相手の方の首に剣を向けます。
勝負あり、ですね。
「勝った!勝ったわ!カイリが勝ったわ!!」
思わずソフィーの手を取り2人で飛び跳ねてしまいました。
その声に気づいたのか、カイリはこちらへ目を向けて、呆れたように笑って手を振ってくれました。
「良かったね!」
「おめでとー!!」
ソフィーと二人でカイリに声を掛け合います。
カイリはちょっと照れくさそうにしながら、笑ってます。
やっぱり嬉しいんでしょうね!
カイリと相手の方で手を取り合って、互いの健闘を称えあっています。
スポーツマンシップという感じでかっこいいです!!
「カイリが戻ってきたら、沢山甘やかしましょう!!」
「うん!カイリの好物、今のうちに買っておかなきゃ!!」
今日はカイリのお祝いの日ですね!!
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後半にあった男子決勝と、男女混合も終わり、いよいよ表彰式です。
カイリは優勝したので、表彰台の上に居ます。
騎士の格好をして、凛と立つカイリはカッコいいです!
表彰式は順調に進み、いよいよカイリの番です。
優勝を讃えられ、それを示す冠を与えられ、表彰台のど真ん中に立ったカイリは、感謝の言葉を述べようと口を開きます。
そうなんです!
優勝をした人は、表彰台の上から決意表明のような、感謝の言葉のような言葉を述べなくてはいけないんです。
内容は本人が決められるらしいので、ここで意中の相手に告白する方も多いそうです。
っと、カイリが喋ろうとしてますね。
邪魔しちゃダメです。しっかり聞きましょう。
「んんっ。今年度の武闘会、女子の部で優勝させて戴きました、カイリ・レトナスです。まずは、皆さま暖かなご声援をありがとうございました。皆様の御助力のお陰で大変良い試合をすることができました。出場者一同を代表致しまして、この場でお礼を申し上げさせていただきます。さて、優勝の言葉、と言うことですが、こちらはシンプルに済まさせていただきます。めちゃくちゃ嬉しいです。よっしゃあ!勝ったぜ!!以上です。」
その言葉に笑いが巻き起こります。
相も変わらず、お喋りの上手な子ですね。
「えー…本来ならここで切り上げるべきなのでしょうが…少しお時間をいただいてよろしいでしょうか。」
ざわっと空気が揺れます。
このタイミングで時間を取る人は、ほとんど誰かに告白しようとします。
この国は、いやこの世界では女性からアプローチをするのは、あまり進められていませんが…
このタイミングでとなるとかなりロマンチックですよね。
「あー…皆様お察しの通りです。えーっと…」
そこで言葉を切ったので、誰かの冷やかす声や口笛、おーーーー?だという声も聞こえます。
男の子って感じですね。
「…え、だれ…」
…と、近くに座っていたタオイラ先輩のちょっと焦ったような、心配そうな声が聞こえましたね。
どうやら、中等部の頃ふざけ半分で追っかけていたら、いつのまにか本当に好きになってきたようで…
ちょっとそわそわしてます。
そんなタオイラ先輩のことを知ってから知らず、カイリが続けます。
「えっと…2年のリクアレーク・タオイラ先輩!」
「「「「おーーーー!!」」」」
「え?!」
驚いて固まるタオイラ先輩に、周りの先輩方がはやし立てます。
「女の子に呼ばれといて何か溜まってんだよ〜」
「立てよ!」
「ほらほら〜」
全体的にニヤニヤしてて面白がってそうですね…
そんな囃し立てる声に急かされるように、タオイラ先輩が立ち上がりました。
その姿を見てカイリがクスクスと笑います。
なんか、楽しそうですね。
「リクア先輩!」
「はい!!」
「中等部の頃、貴方にずっと追いかけられて正直めっちゃウザかったです!」
素直なその言葉に笑いが起こります。
タオイラ先輩も、少し恥ずかしそうに頭を掻きます。
「でも、貴方が高等部に上がって会えなくなって、それで意外と自分が貴方とのことを好きだった事に気づきました。」
「…はい。」
「自分は成り上がりの家族なので、貴方とアホみたいな身分差があります。なので、多分、遊びみたいなものなんだろうなって思います、でも!たとえ無理でも、遊びでもこれだけは言わせてください。」
そこで言葉を切って、カイリはタオイラ先輩と目を合わせて言います。
「貴方が好きです。」
返事は求めず、そこで言葉を終えて、挨拶を切り上げようとしたカイリに向かって、タオイラ先輩が叫びました。
「俺も!俺も貴方が好きです。でも、俺は武に優れてるわけでも文に優れているわけでもないので、周りを黙らせて迎えにいけません。」
おいおい…みたいな空気が漂っている周辺には目もくれず、にっこり笑ってカイリに目を合わせて続けます。
「なので、とりあえず付き合って下さい。そして、強くなって俺を迎えにきて下さい。俺は料理でも練習して待ってます。」
その言葉に、カイリは目を丸くして、そして思いっきり頷きます。
「はい!強くなって、昇進して、貴方を迎えに行きます!待っててね、囚われの王子様!」
「待ってます!迎えにきてよ、お姫様。」
なんとも2人らしい、未来への約束です。
2人に対する祝福と、ひやかしとそんな暖かな空気に会場が包まれます。
お幸せにね、カイリ、タオイラ先輩。
お読みいただきありがとうございますm(_ _)m