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読んでくださりありがとうございます。
今回はちょっとイレギュラー(?)です。
春休みになりました。
卒業式で生徒会の女性陣そろって大号泣してからというものの、なんだか生暖かい目で見られるようになりました。
…恥ずかしいですね。
え?普段夏以外の休暇の話しないくせに急になんだ、ですか?
確かにそうですね。まあ、普段は語るようなこともないので、語らないだけですけど。
それに、春休みは基本入学式準備でいそがしいので、お家に帰らないですし。
今回、春休みに視点を当てたのは、事件があったからですよ。
何があったからと言いますと…ぶっちゃけると王宮からの招集状が届きました。
流石に無視する訳にもいかず、仕事をソフィー達に丸投げして王都までやって来ました。
ああ、学園は王都から少し離れたところにあるんですよ。さすがに学園を作るほどの土地が王都にはないですからね。
…という訳で現在王宮でして。
目の前にはキラキラしいお方が2人いらっしゃるわけでして。
「わざわざ来てもらってすまんなぁ。」
「本来なら私達が参るべきなんですけどね、生憎予定が合わず…」
「いえいえいえ…お2人がいらっしゃるまでもありません!!私が参ります!」
寧ろお2人に来られると、私はおろか学園全体が激震ですよ。
なんにしろ、このお2人はこの国の国王王妃両陛下ですから!
このお2人のお手を煩わす訳にはいきませんて!
「それもそうだな。皆の迷惑にもなるしな。」
はい。
そうです。
全力で肯定させて頂きます。
「ともあれ。そろそろ本題に参ろうじゃないか。」
おお!!とうとう来ましたか。
なんですか?
王太子殿下の婚約者はクビでしょうか?
少々王太子殿下を蔑ろにしすぎましたか?
そうなったらそうなったで構わないですが…私の計画は水の泡ですね。
「あのね、すごく言いにくいんだけど…」
はい。なんでしょう?
王太子殿下の婚約者クビですか?
国外追放ですか?
なんでもこいです!
…本当は少し怖いですがね。
だって、国王陛下直々に罰せられたら、この国で生きてい行けませんから!!
そういう方向でないことを祈りますが…
「その…そろそろ貴殿の行動が目に余るという事でな。」
はい?
私の行動が目に余るっておっしゃいました?
何かしましたっけ…あ、もしかして卒業式で大号泣した事ですか?
王太子様をガン無視してる事ですか?
「こんな事言いたくないんだけどね。テストの順位は10位内とは言わずとも、せめてランクインはして欲しいし…」
「生徒会に入りなさいとは言わないけど、せめて部活はやって欲しいし…」
「身分をかさにきてお高く留まってるのも少々どうかと思うわ…」
「平民と仲良くとは言わないけど、せめて差別はしないで欲しいなぁ。」
あら?私の記憶がおかしいのでしょうか?
私の記憶が正しければ、その注意に当てはまるのは王太子様の方じゃないでしょうか?
「あの…差し支えなければお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ああ。いいぞ。」
「その…誠に申し上げにくいのですが…その…私の記憶が正しければ、どれも記憶にないのですが…」
「あ…ごめんなさいね。言い方が悪かったわね。」
どういう事でしょう?
言い方が悪いということは、違う意味があるということですか?
「ええとな…どの情報もリヒトから聞いたのだがな…学園の情報は直接王宮に入ってくるから、全て嘘なのは分かっているんだ。」
あ、そうなのですか…
一安心ですね。
取り敢えず、国王陛下直々に罰せられる可能性はなくなりましたね。
「ええと…では、なぜ…」
「貴女に、注意を促そうと思ったのよ。」
注意を促すですか?
これまた何故でしょう…
「さっきから述べたような噂が流れてるんじゃよ。」
え?噂がですか?
知らなかったです。
「でな、その噂の出処がどうやらリヒトのようなのだよ。」
あらまあ…
そうなのですか…
という事は、王太子さんは陛下だけでなく、周りの方々にも嘘をついているということなんでしょうね…
「まあ、大方の方々は信じていらっしゃらないわよ…あの子は元々虚言癖があるからね…」
それって、王太子としてどうなのですかね?
まあ、深い理由があるんでしょうけどね。
「それで、貴女にこんな噂があるという事と、リヒトが貴女の事をよく思っていないらしいという事を伝えに来たの。」
そういうことですか…
なるほどですね。
というか、王太子さんってなんでそんな噂を流されているんでしょうか。
「あの…なぜ王太子殿下はこのような事をされてるのでしょうか…」
「不躾な貴族がな、リヒトに要らないことを言ったらしい。“婚約者殿の方が優れておりますね”などとな。」
ああ!
それ1番言っちゃダメなやつですよ!
婚約者と比べて、お前は劣ってるとか言うって言うのは、心にグサっとくるんですから!
それが1番、婚約者を蔑ろにする理由になりますから!
「ああ…」
「そのな…リヒトは良くも悪くも純粋でな、自尊心が高いから、お主の事を疎ましく思うとるかもしれんのだよ。」
「私たちの教育も良くなかったのでしょうね。本当に申し訳ないわ。」
「いえ!そんなことは御座いませんから!」
「まあ、それはそれだ。ともかく、リヒトはお主を蔑ろにするやもしれんが、どうか見捨てないでやってくれんか?」
「え…」
「無理な願いをしていることは百も承知だ。だがな、長男が家を継ぐという前例を崩せば、リヒトもラクストも苦労するだろう。だからな、お主にリヒトを支えてやって欲しいのじゃ。」
国王陛下の親心、というやつなんでしょうね。
無駄な後継争いで殺し合いをして欲しくないという、ささやかな願いですね。
その思いはよくわかります。
あ、ちなみにラクスト殿下は、王太子様の弟さんです。
リリアと同い年の第2王子さんです。
「お主には余計な苦労を背負わせてしまう事になるが…どうか、あやつを支えてやってくれんかの?」
「私からもお願いするわ。」
そういうと、お2人はペコリと頭を下げられました。
ああ!そんな事をしてはいけませんて!
「御顔をお上げください!!わざわざそのような事…おしゃられなくても支えましたのに…」
「なんと?」
「恋愛感情と呼ぶのかと言えば否ですが…殿下の事は弟の様に思うております。ですので、わざわざ頼まれずとも私にできる範囲でしたら、お助け申し上げようと思っております。」
「なんと…其方は…誠に…すまないな。」
「いえ…そんな…」
「不甲斐ない息子だけど、よろしく頼むわね。」
「はい。こちらこそ不甲斐ないですが…」
「いや。お主は良くやってくれておるよ。ありがとうな。これからも宜しく頼む。」
「はい。御意に。」
「わざわざありがとうな。」
「では。」
…王妃殿下と、国王陛下が去って行かれました。
はあ…緊張しましたね。
死ぬかと思いました。
断罪でもなく、追い出してもなく、まさかの激励でしたけどね。
頼まれた所申し訳ないけど、本人に縁切られちゃあおしまいなんですがね。
…断罪は王太子殿下自ら行いますしね。
私にはどうしよーもありません。
とりあえず、学園に帰りますか。
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「新1年生の皆さん、御入学おめでとうございます。このような、暖かい春の日に皆様を迎えられた事を嬉しく思います。さてーーー」
しんと静まり返った講堂に、ソフィーの声が響きます。
普段とは違い凛とした綺麗な声が、緊張でガチガチの1年生達の耳に届きます。
…いつもとは比べものにならない程にカッコいいですね。流石、生徒会長さんです。
「…こうしてると不思議な気分よねぇ…」
「何がです?」
わ!びっくりしました…
隣にリーフィーちゃんがいたの忘れてました。
下手に独り言呟いたらダメでしたね。
「あ、いやね…私たちが入学した時、あそこに立ってたのはレリィ先輩だったから…今の1年生達には、私たちがレリィ先輩達みたいに見えているんだろうなぁと思ったら…なんか…」
「確かにそうですね。去年は、憧れの存在としてみてた立場に私達は、なってる訳なんですよね…確かに不思議な気分ですね。」
去年は、あの壇上に立つのがレリィ先輩だったし、他の先輩も変わってなかったので、私的にはあまり変化を感じなかったんですよ。
今は、ソフィーという友人がその立場ですからね。
少し違いを感じます。
「…そっかあ…1年生達からしたら、私達がソフィー先輩達みたいに見えてるんだよなぁ…」
リーフィーちゃんは、話しているうちに理解してきたようです。
ぼそっと、呟きました。
そうですよね。
なんか変な気分ですよね。
くすぐったいような、誇らしいような不思議な感覚ですよね。
分かります。私もそんな感じです。
え?先輩としての、自覚なさすぎですか?
仕方ないじゃないですか。
自覚を得るきっかけが皆無だったんですし。
「さあ、堅苦しい話はここまで!ここからは優しい先輩方と共に、歓迎会を楽しんでください!」
おっと、ソフィーの長ったるいお話が終わったみたいです。
さて、準備しますか…!
今年も勧誘、頑張りますよ!!
そういえば、ブックマーク登録者数が100を超えました!
ありがとうございます!!
ちなみに、今(2020/4/1/13:44)では111件(ポッキーだね!)でした。