第1話(プロローグ)
4作目~っ冬の童話2017に参加予定の作品です~!!!
童話っぽさ~、が出せるかは正直分かりませぬがww頑張って、挑戦してみたいと思います~↑↑
(・・・・・・いや、最後まで書き上げられるかな~?って言うか童話っぽさって何それ美味しいです??パワプロ、、、いやwちゃんと書いてみるか。)
物音ひとつしない、静けさ。
これだけ大勢の者がそろって並び立っている中、【ツムギ】はそのことが不思議でならなかった。
城内の広間――この国の王様がその御姿を現す謁見の間には、今、この国の根幹をなす公職務に就く者達が勢揃いしている。
国の政治をつかさどる者、防衛をつかさどる者……そして、国をひとつにまとめる王の姿。
皆、一様に沈黙し、上手の玉座に頭を垂れつつ、王から詞を賜わるのを、ただじっと待っている。
やがて……そのときは訪れた。
「皆の者」
玉座から。
王が一声を発する。
その厳粛な詞に――既に静かな謁見の間が、さらにしんとなった。
「間もなく、この国に……【秋の治め】がやって来よう」
王の声。
【秋の治め】とは季節の変わり目、節目ごとに執り行われる、この国――【ハーネスの国】が代々つむいできた、伝統的な祭祀。そのひとつを指す。
【春夏秋冬それぞれの根づき】に始まり、【春夏秋冬それぞれの治め】に終わる。季節の恩恵に感謝し、また季節ごとには何かしら苦難も伴うことも忘れてはならぬと、人々を戒めるため。
まあ正式にはそんな感じらしい。
しかし自分のようないち庶民にとっては、【春夏秋冬それぞれの根づき】と【春夏秋冬それぞれの治め】は、単純に街で賑やかなお祭りが始まるということを意味しているだけなのだが。
「今年の秋も、皆、自然の実りによくよく感謝する時季を過ごしたことであろう。作物を育てる民の、日々の懸命なはたらきにも、あらためて感謝せねばなるまい」
王の御言葉が続き、ハッと顔をあげる。
いけない、いけない。
ぼんやりしていては、あとで“給仕長”辺りに何を言われることか。
そんな自分の腑抜けた思いを振り払いつつ、“ツムギ”は……自分の並ぶ列の最前方に軽く目をやった。
給仕長。
ツムギと同じく、その仕事着に身を包んだ見るからに厳めしい雰囲気をした中年期の女性が、ことさら厳めしいまなざしで王の詞に聞き入っている。
もし、王の御言葉を聞き流していた、などという評価を受ければ……。
決してただごとでは済まないなと身ぶるいし、ツムギは|起立する姿勢をあらためつつ、王の御言葉に耳をかたむけた。
「【秋の女王】から【冬の女王】への引き継ぎは、【秋の治め】の終日に執り行われる。それに伴って……」
と、ここで。
王が玉座より立ち上がり、自ら座る玉座の、さらに上手へと、歩みを進めた。その先には、玉座がさらに四つ、鎮座している。その玉座には、それぞれきらびやかな正装に身を包んだ、美しい女性達の姿があった。
そう。この【ハーネスの国】には一人の王と、さらに四人の女王とが存在する。
一人の王が国の政治、まつりごとをなし、四人の女王はそれぞれ【春・夏・秋・冬】の季節をつかさどり、国に安寧をもたらす。四人の女王は【季節の塔】と呼ばれるところへ行き、それぞれ自分のつかさどる季節の間を、その塔内で過ごす。
それが、この【ハーネスの国】の姿なのである。
やがて、上手の四つの玉座に歩み寄った王は一礼し、向かって右手の、一番端の玉座の脇に立ち、臣下の居並ぶ方へ向き直った。
「それに伴って、ここに、次代の【冬の女王】の任命を、正式に執り行うものとする」
その、王のひと言で。
それまで、物音ひとつ立てなかったはずの臣下の居並ぶ列から、まるで波打つようなざわめきが、たちまち広がっていった。
どの顔も皆、驚きと興奮を抑えきれずにいるという、そんなざわめきである。もちろん、ツムギも含めて。「ようやくか」という、そんな声がどこからか聞こえた気がした。
しかし間もなく、王の玉座のすぐ下側、その脇から……王を補佐する宰相の「静粛に」のひと言があり、そのざわめきもすぐにやんだ。
やがてのこと。
【冬の女王】の任命式の準備が、整ったようだ。宰相が、居並ぶ臣下の方に一歩進み出て、間もなく口を開いた。
「先代【冬の女王】のご崩御により、空位となった【冬の女王】のお役目を、【ハーネス国】国王陛下が直々に任命される。先代【冬の女王】“シロガネ”様、その一子……“ユキネ”様を新たな【冬の女王】として任命される。この場にお集まりの御一同、それに異存はござらぬか!」
とまあ、そんなふうに始まっていく。よほどの問題でもない限りは異存など、あろうはずもない。
式典はつつがなく進行されていき、最後にハーネス国王が、新たな【冬の女王】を側に立たせ、宣言した。
「【ハーネスの国】の、新たな【冬の女王】に!!」
その宣言を受け、臣下たちも「新たな【冬の女王】に!!」と唱和。あちこちから歓声が上がった。
ツムギも両手を打ち鳴らし、目いっぱいに拍手を送る。新しい【冬の女王】をよく見ようと、その場で背伸びなどしたりした。
(とうとう、か……)
と、そんな物思いなどもしつつ。
いち庶民の出とはいえ、城勤めという身のためか、そんな感慨のようなものも湧いてくる。
まあ、と言っても何でもない日に城のどこかでお姿を拝見したとか、運が良ければ城の廊下などですれ違ったことがあるとか、その程度の関わりしかないわけだが。
「しっかりと務めを果たすのだぞ。……ユキネ」
「……はい。お父様」
王と、新しい【冬の女王】とが、そっと言葉を交わす。
二人の他にそれを聞く者はなく、皆は間もなく訪れるであろう【秋の治め】と【冬の根づき】の祭祀を、心待ちにするだけだった。
それから、月日は流れていきーー今日。
【冬の根づき】が執り行われ、冬季が、間もなく百日を数えようとしている。本来なら、九十日を過ぎる頃には、【冬の治め】が執り行われていなければならなかったが……。
【ハーネスの国】、冬季の九十六日目。
未だに、次の季節は来ず……【春の根づき】が執り行われることはなかった。




