第1話 桜の木の花子さん
プロローグ ― 桜の木 ―
夜の校庭は、不気味なほど静まり返っていた。
校舎の窓には明かりひとつなく、昼間は生徒たちの声で賑わうグラウンドも、今は人の気配すら感じられない。
そんな校舎の裏庭に、一本の大きな桜の木が立っている。
満開の桜。
月明かりに照らされた無数の花びらが、夜の闇に白く浮かび上がっている。
風が吹くたび、花びらが舞い落ちる。
まるで雪のように。
私は、その桜の木の下に立つ少女を見つめていた。
少女は何も言わず、じっと桜の木を見ている。
長い髪が風に揺れている。月明かりに照らされたその後ろ姿は…ただただ美しい。
「あなた…花乃子さん?」
私が問いかけると、少女はゆっくりと振り返る。
「あなた…誰?」
少女の声には感情が微塵もなく、暗く冷たかった。
私は一歩、少女に近づいた。
「私は桜花高校新聞部部長の朝比奈杏子。あなたに聞きたいことがあるわ」
少女は答えない。
「十年前のあの日、この桜の木で起きた校長先生殺人事件について」
桜の花びらが、二人の間を横切った。
少女の表情が、わずかに変わったように見えた。
「殺人事件?」
「しらばっくれても駄目よ。私は真相にたどり着いたの」
ずっと追い続けてきた事件だった。
調べれば調べるほど、不可解な事実が浮かび上がってくる。
そして、ようやく辿り着いた答え。
その答えが正しいのなら、目の前にいるこの少女は――。
「謎はすべて解けたわ!」
私は少女を真っ直ぐに見据えた。
けれど、少女は少しも動揺しなかった。
それどころか、口元にかすかな笑みを浮かべたように見えた。
「あなたと話すことはないわ」
冷たい声だった。
そのまま立ち去ろうとする少女を私は呼び止めた。
「ちょっと待って」
背中を向けたまま足を止める少女に決定的な一言を投げかける。
「犯人はあなたね?」
少女は黙ったまま、ぴくりとも動かない。思った通りだ。
「黙っているってことは当たりね」
「……なぜ?」
少女が呟いた。
「え?」
「なぜ、また私を……」
その声には、怒りとも悲しみともつかない感情が滲んでいた。
私は眉をひそめた。
また?
どういう意味だろう。
そのときだった。
ふいに、風が止んだ。
それまで絶え間なく舞っていた桜の花びらの動きが、不自然に遅くなった。
……おかしい。
何かがおかしい。
背筋に冷たいものが走った。
少女が、ゆっくりと顔を上げた。
「なぜ?」
先ほどと同じ言葉。
けれど、その声はまるで別人のように低く、暗かった。
「なぜ……?」
少女が一歩、近づいてきた。
私は反射的に後ずさった。
「近づかないで!」
少女は止まらない。
その足音が聞こえないことに、私は気づいた。
地面を踏みしめているはずなのに、砂利の擦れる音すらしない。
「もうすぐ警察が来る。あなたは終わりよ!」
私は声を張り上げた。
しかし少女は、ゆっくりと首を横に振った。
「警察なんかじゃ、私を止められない」
ぞくり、と全身が震えた。
冷たい指が、私の首に触れた。
「私は止まらない!」
ぎゅっ。
「……っ!」
息が止まった。
少女の両手が、恐ろしい力で私の喉を締めつけている。
「や……め……!」
必死にその腕をつかんだ。
けれど、びくともしない。
まるで鋼鉄の輪で首を締めつけられているようだった。
苦しい。
息ができない。
目の前が暗くなっていく。
どうして。
どうして、こんなことに。
私はただ、あの事件の真相を――。
視界の端で、桜の花びらが舞った。
一枚。
また一枚。
月明かりに照らされた白い花びらが、ゆっくりと闇の中へ消えていく。
少女の顔が、ぼやけていった。
最後に見えたのは、こちらを見下ろす二つの瞳。
そこには、怒りも憎しみもなかった。
ただ、底知れない暗闇だけが広がっていた。
――誰か。
誰か、お願い。
私の代わりに、真実を――。
その願いを最後まで言葉にすることもできず、私の意識は深い闇に沈んでいった。
第一話 桜の木の花子さん
「ぎゃああああああっ!!」
「だああああああっ!?」
二つの悲鳴が、春の校庭に響き渡った。
……あれ?
ここ、どこ?
目を開けると、真っ青な空が広がっていた。
白い雲がゆっくり流れている。どこからか鳥の鳴き声も聞こえてきた。
「くるみちゃん、大丈夫?」
心配そうな声が聞こえた。
顔を横に向けると、見慣れた子が私を覗き込んでいる。
柔らかな笑顔が印象的な女の子。双葉ひまり。
私の大切な友達。
あ、そうそう。自己紹介がまだだったね!
私は若葉くるみ。十七歳。桜花高校に通う、ごく普通の女子高生!
……え? 普通の女子高生は校庭で悲鳴を上げたりしないって?
いやいや、あんな怖い夢を見たら誰だって叫ぶって!
まあ、そんなわけで、よろしくね!
「あれ? ひまりちゃん?」
「うん。おはよう、くるみちゃん」
「……夢か」
そう呟いて、ようやく自分がひまりちゃんの膝の上で寝ていたことに気づいた。
そうだった。
今日は天気がいいから、学校の校庭でのんびりしてたんだっけ。
ぽかぽか陽気と気持ちのいい風。それに、ひまりちゃんの膝枕。
こんなの眠らない方が無理というものだ。
「だいぶうなされてたね」
「うん。なんか変な夢見ちゃってさ……」
怖かったような気がする。
でも、どんな夢だったっけ?
あれ?そういえば、さっき大きな声がしたような…
「あれ? どうしたの、かえで?」
すぐそばに、もう一人の友達がいた。
月野かえで。
私の親友で、ちょっと怖がりな女の子。
そのかえでが、なぜか胸を押さえながら私を睨んでいた。
「どうしたの、じゃなーいっ!」
ごつん!
「いたあああっ!」
突然、頭にげんこつが飛んできた。
「なんで叩くのさ!」
「いきなり大声出すからだろ! びっくりして心臓飛び出るかと思ったわ!」
「だからって叩くことないじゃん!」
「なんだと!? もう一発ぶったろか!」
「ひえええっ! かえでに殺される〜!」
私は慌てて立ち上がった。
かえでも勢いよく立ち上がる。
そして次の瞬間、校庭で壮絶な追いかけっこが始まった。
「待て、くるみーっ!」
「待てと言われて待つ人はいないよ〜!」
「このやろーっ!」
「ひまりちゃーん! 助けてーっ!」
私はひまりちゃんの背中に回り込み、両肩をつかんで盾にした。
「かえでに殺されちゃうよ〜!」
「こいつ!ひまりの後ろに隠れるなんて卑怯だぞ!」
「ふっふっふ。これぞ必殺、ひまりバリア!」
「もう、二人ともよしなよ〜」
そう言いながらも、ひまりちゃんはなんだか楽しそうだ。
こういうとき、ひまりちゃんはいつも私たちの間に入ってくれる。
怒ったかえでを止められるのは、きっとひまりちゃんだけだ。
……もっとも、かえでを怒らせている原因は、だいたい私なんだけど。
「ところでさ、くるみちゃん」
「なあに?」
「さっき言ってた変な夢って、どんな夢だったの?」
「そうそう、どんな夢だったんだよ?」
追いかけるのを諦めたかえでも、興味津々といった顔で聞いてきた。
「それがさ〜」
私はひまりちゃんの後ろから顔を出した。
「学校の裏庭に、大きな桜の木があるじゃん?」
「ああ、あの桜?」
「そう。そこで知らない人が二人、話してるの」
思い出そうとすると、ぼんやりとした光景が頭に浮かんだ。
暗い校舎の裏庭。
満開の桜。
そして、二人の女の子。
「なんかね、犯人がどうとか、事件がどうとか……」
「さてはくるみ!」
かえでがびしっと私を指さした。
「昨日の『金田一おじさんの事件簿』見たな!」
「あっ!かえでも見たの?」
「見た見た!お前、影響されすぎだぜ」
「だって面白かったじゃん!まさかあの人が犯人だったなんて!」
「そうそう! あれは意外だった!」
私たちは顔を見合わせた。
そして、同時にポーズを決める。
「「謎は大体解けた!」」
一瞬の沈黙。
「大体って!」
「あはははははっ!」
二人で大笑いした。
いやあ、昨日のドラマは面白かった。
主演の渡瀬狐彦は名優だよね。
「二人とも、ほんと好きだねえ」
ひまりちゃんがくすくす笑っている。
「でもさ、くるみちゃん」
「ん?」
「裏庭の桜って……例の?」
「あ、そうそう。あれ」
私は頷いた。
「でも、そこからあんまり覚えてなくてさ」
「覚えてないって……」
かえでが呆れたように言う。
「お前、めちゃくちゃ叫んでたじゃんかよ」
「そうなんだよね〜」
私は腕を組んで考えた。
確か、二人とも女の子だった。
一人は、この学校の生徒みたいだった気がする。
でも、もう一人は……。
「なんか、不気味だったんだよね」
さっきまで笑っていたのに、急に背中がぞくっとした。
どうしてだろう。
顔もよく思い出せないのに、あの少女の冷たい声だけが、耳の奥に残っているような気がする。
「その子ってさ」
ひまりちゃんが、ふと思いついたように言った。
「もしかしたら、花子さんなんじゃない?」
「花子さん?」
私は首を傾げた。
「花子さんって…七不思議の?」
「そう」
ひまりちゃんは静かに頷いた。
「桜花高校七不思議のひとつ――」
そこで、ひまりちゃんの声が少し低くなった。
「桜の木の花子さん」
「ひっ……!」
かえでの肩が、びくっと跳ねた。
おや?
ひまりちゃんはそんなかえでに気づいているのかいないのか、ゆっくりと話し始めた。
「確か、十年前のことだったかな。この学校で、一人の生徒が突然いなくなったんだって」
さっきまで賑やかだった校庭が、なんだか急に静かになった気がした。
「その子の名前は、朝比奈花子」
「朝比奈……花子?」
なぜだろう。
その名前に、妙な引っかかりを覚えた。
「花子さんは、ある事件について調べていたらしいの。そして、とうとう事件の真相に辿り着いた」
ひまりちゃんの話に、私は思わず聞き入った。
「その真相を確かめるために、ある夜、裏庭の桜の木へ向かったんだって」
「それで……?」
「それっきり、姿を消してしまったの」
「えっ……」
「警察も捜したけど、花子さんは見つからなかった。それ以来、この学校では、ある噂が広まるようになったんだって」
ひまりちゃんが、ゆっくりと私たちを見回す。
「夜中、あの桜の木の下で……」
かえでが、ごくりと唾を飲み込んだ。
「花子さんの名前を、三回呼ぶと……」
ひまりちゃんの声が、囁くように小さくなる。
「花子さんが現れて……」
「ちょ、ちょっと、ひまり……」
かえでが一歩後ずさった。
「そのまま、あの世に連れていかれるんだって……」
「ひいいっ!」
かえでの顔が引きつった。
……なるほど。
これは、ちょっと面白いかもしれない。
私はそっと、かえでの背後に回り込んだ。
そして両手をだらりと垂らし、できるだけ低い声で囁いた。
「か〜え〜で〜……」
「いやあああああああっ!!」
かえでが飛び上がった。
「あはははははっ!」
もう駄目!
お腹痛い!
ひまりちゃんも口元を押さえて笑っている。
「まったく、かえでは怖がりなんだから!」
「……くるみぃぃぃ……!」
あ。
これはまずい。
かえでの目が据わっている。
「ひ、ひまりちゃん! またかえでが怒った!」
「お前が怒らせたんだろうがーっ!」
「きゃあああっ!」
再び、校庭を走り回る私たち。
ひまりちゃんはそんな私たちを見ながら、やれやれと笑っていた。
「もう、二人とも〜」
でも、少ししてから、ひまりちゃんがぽつりと言った。
「……でもさ」
「ん〜?」
私は走りながら返事をした。
「もし、夢の中に出てきた人が花子さんだったとしたら……」
「うん?」
「くるみちゃんに、何か伝えたいことがあるんじゃないかな?」
「……伝えたいこと?」
思わず足が止まった。
どんっ!
「いたっ!」
背中に何かがぶつかった。
振り返ると、かえでが鼻を押さえていた。
「いったぁ……! 急に止まるなよ!」
私はひまりちゃんの言葉がなぜか妙に気になった。
伝えたいこと。
夢の中の、あの二人。
暗い校舎の裏庭。
満開の桜。
そして――。
誰かの、悲しそうな声。
何かを思い出しかけた、そのとき
「あなたたち! こんなところで走り回って、ほかの人に迷惑でしょ!」
聞き覚えのある声が飛んできた。
あ、この声は……。
振り向くと、そこには四人の女子生徒が立っていた。
先頭に立つ女の子は、腰に手を当てて、いかにも怒っていますという顔をしている。
うわぁ、見事な仁王立ち。
「出た……生徒会」
かえでが小さくつぶやいた。
そう。この四人こそ、我が桜花高校が誇る生徒会の皆さんなのだ!
まずは、先頭で仁王立ちしている女の子。
生徒会長、綾瀬梅子。通称・梅ちゃん。
先祖は陰陽師も務めたという由緒正しい武家の名門、綾瀬家の一人娘。頭も良くて、運動もできて、おまけに美人。先生たちからの信頼も厚い、まさに才色兼備の生徒会長!
ただし、ちょっと怒りっぽい。
特に私に対して。
その隣で落ち着いた表情を浮かべているのが、副生徒会長の橘さつき。
剣道部の部長で、全国大会三位という、とんでもない実力の持ち主だ。いつも穏やかで優しいけれど、竹刀を持たせたら学校で一番怖い人かもしれない。
そして、腕を組んでいるのが藤堂かりん。
空手部部長にして県大会優勝の猛者。生徒会の武闘派担当である。
……いや、生徒会に武闘派って必要なのかな?
最後は、涼しい顔で立っている北条すみれ。
なんとIQ180の天才プログラマー! 成績優秀、頭脳明晰。生徒会の頭脳と呼ばれる人だ。
以上、個性豊かな四人が桜花高校の生徒会なのである!
「……くるみ、なんで急に黙ったんだ?」
かえでが不思議そうに私の顔をのぞき込んできた。
「え? ちょっと心の中で紹介してた」
「誰にだよ」
「読んでる人」
「読んでる人?」
うん、細かいことは気にしない、気にしない。
「梅ちゃん!」
私は笑顔で手を振った。
すると梅ちゃんの眉がぴくりと動く。
「下の名前で呼ぶな!」
「え〜、なんで〜?梅ちゃんは梅ちゃんじゃん。小さいころからずっとそう呼んでるし」
「私は生徒会長なの!学校では綾瀬会長って呼びなさい!」
「え〜、なんで?お互い裸を見せ合った仲じゃん」
「誤解を生むような発言をするなっ!」
梅ちゃんの顔が真っ赤になった。
「小さいころ、一緒にお風呂に入っただけでしょ!あんたとはただの幼馴染!」
「あら、照れちゃって可愛い♪」
「むぎ〜っ!」
あ、出た。
梅ちゃんの「むぎ〜っ!」。
昔から怒るとこうなるんだよね。可愛いな〜梅ちゃん。
「相変わらず騒々しいな、お前たちは」
あきれたように言ったのは、藤堂さん。
「そっちも相変わらず偉そうだね、かりん」
かえでが負けじと言い返す。
「月野かえで。いつまでこんな連中とつるんでいるつもりだ?」
「はあ?」
「空手部に来い。お前には才能があるんだ。無駄にするな」
二人は中学時代からの知り合いらしい。以前かえでから、藤堂さんとは空手でライバル同士だったと聞いたことがある。
確かにかえでは運動神経抜群だ。走るのも速いし、力も強い。
さっき追いかけられた私が言うんだから間違いない。しかも、ゲンコツは最高に痛い。
「やだね。私は今、青春を謳歌してるんだよ。ほっといてくれ」
「お前という奴は…」
藤堂さんはため息をついた。
その隣では、北条さんがひまりちゃんに声をかけていた。
「双葉さん、ご無沙汰ね」
「北条さん、こんにちは」
「生徒会に入る話考えてくれた?」
「あ〜それは…」
「あなたほどの優秀な人が、能力を生かさないのはもったいないわ」
北条さんは真剣な顔で続けた。
「一緒にいる人間で人生は変わるのよ。あなたは将来、きっと大物になる。私にはわかるの」
うわぁ、すごい勧誘だ。
そういえば、ひまりちゃんは成績もいいし、誰とでも仲良くできるし、面倒見もいい。
生徒会に誘われるのも納得だよね。
「はは、ありがとう」
ひまりちゃんは少し困ったように笑った。
「でも……私は、くるみちゃんやかえでちゃんと一緒にいる、この時間を大切にしたいの」
「そう。残念ね」
「ごめんなさい」
ひまりちゃんが申し訳なさそうに頭を下げる。
私は思わず、ひまりちゃんの腕に抱きついた。
「ひまりちゃん〜! 私も大好きだよ〜!」
「わっ、くるみちゃん!」
「ひまり〜!」
かえでまで反対側から抱きついてきた。
「もう、二人とも〜」
ひまりちゃんは困ったように笑いながらも、私たちを振りほどこうとはしなかった。
えへへ。
やっぱり、この三人でいるのが一番楽しい。
そのとき、予鈴のチャイムが鳴り響いた。
「綾瀬。そろそろ休み時間が終わるわよ」
橘さんが時計を見ながら言った。
「そうね。この馬鹿に付き合って、貴重な時間を無駄にしたわ」
梅ちゃんが私をじろりとにらむ。
「え? 馬鹿って?」
「あんた以外に誰がいるのよ!」
「梅ちゃん!褒めすぎだよ〜」
「褒めてない!」
「相変わらず仲良いのね」
「どこがよ!」
「橘さんも梅ちゃんのお守り、大変だね〜」
「まあね」
「さつき!」
苛立った梅ちゃんの声が校庭に響き渡った。
橘さんが口元に手を当てて、くすりと笑う。
「くるみちゃん、かえでちゃん、そろそろ教室戻らないと遅れるよ」
「だな」
「じゃあね〜梅ちゃん」
私は梅ちゃんに手を振った。
「じゃあな〜、副会長!」
「失礼します」
私たちは三人並んで校舎へと向かった。
後ろから梅ちゃんの怒った声と、橘さんの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
まったく、梅ちゃんったら。
昔から全然変わらないんだから。
……なんて思っていたら、かえでが突然走り出した。
「やべっ! 次、移動教室じゃん!」
「ええっ!? 早く言ってよ〜!」
「くるみちゃん、急ごう!」
結局、私たちはまた校庭を走ることになった。
……あれ?
さっき梅ちゃんに、走り回るなって怒られたばかりだったような?




