【2】
蒼海の奏者。
一時期人気を博した乙女ゲームであり、発売された当時はキャラクターの美麗さ、グラフィックの作り込み、要素の多さなど相まって話題に溢れていた。そしてしばらくすると別の意味で話題に溢れていた。
難易度の高さ。
その一点に尽きる。この作品はマルチエンドであったのだがバッドエンドに行く人数の多さたるや、購入者の約7割は確実にバッドエンドを見ている、トゥルーエンドを見た者も絶対に一回は意図せずバッドエンドを見ていると言われる。
何故かというと、恋愛・戦闘・育成が出来るゲームであり、その3つに条件があり全てクリアしないとトゥルーに行けないのだ。
初期はノーマルエンドしかないのでは?と言われるほどであり、トゥルーエンドの存在を確認したプレイヤーは神とまで言われた。
当然、この難易度では気軽に乙女ゲームを楽しみたい人はもちろん、ゲームに命を燃やす方々も選択肢を1つでも間違えればトゥルーエンドに行けなくなる状況に抗議。そこそこの騒ぎになり運営さんが難易度変更が出来るようにしてくれるまでそんなに時間はかからなかった。
その頃私は10歳。幼いながらにこれは無理では?と思った事は覚えている。
しかし乙女ゲームにハマっていた影響もありどうしてもプレイしたかった。育ち盛りの女の子ではあったが布団の中にゲームを持ち込み夜な夜なプレイしていたのは苦い思い出だ。そのせいで私はメガネっ子になったのだから。
ともかく難易度変更機能が来る前にプレイし続けた私はその状況でトゥルーエンドを見ることに成功した。まあその数十倍のバッドエンドを見ているのだが。
最初こそバッドエンドを見る度に涙を流していたが途中から各キャラクター毎にトゥルーエンドあるの卑怯…と思いながら攻略する選択肢をスムーズに選べるようになり、若干作業のようになったのは製作者の方々に大変申し訳なかった。
と、ここまでが大前提。
つまりは高難易度乙女ゲーという名のRPGって感じのゲーム。
その悪役令嬢であり全ての黒幕であるメイルーン・ウンディーネ・ファクトヒルデ。
起きたらその外見にそっくりになってたって、信じたくないよね。
「うーーーんんん………」
鏡の中の自分の顔を観察する。自分、というより「メイルーン」の顔なんだけど。
だいぶ幼いけれど、面影はある。青みがかった銀髪、青色の瞳。蒼薔薇とも言われるメイルーンはゲームではかなりの美人であった。美少女に分類されるであろう肌はぷるっぷるだし、髪はサラサラ。視力は悪かったはずだけど裸眼で良く見える。
多分10歳くらい。意図したのか何なのか、ゲームをプレイしていた年齢と同じくらいだ。




