隠れ里
森の主は、張っていた結界から侵入者達が抜けてきたことに気付いた。
元より外から強引に入って来た者達だ、それくらいはしてのけるだろうと思っていた。
結局何をしにきたのかはよく分からないままだ。元々イレギュラーだったのだろうか?そう考えるには、侵入者の力がありすぎた。
結界から抜けてきたということは、目的を既に果たしたのかとも思った。
しかし、痕跡からして特に何か悪しき力を及ぼした形跡はない。住居を構え、森の生活を続けてきた。どうも、それだけのようだ。
守護する森の民と大して変わりはなかった。ならば森の民に会わせてみるのも一興か。
だが、気になることがあった。侵入者の傍に、どうにも自分と似たような存在を感じる。
補佐するものとして、気に入ったものを眷属にしたことがあるが、その眷属に気配がよく似ている。
高位の精霊獣が召喚されたことは知っていたが、果たして何があったのか。
警戒を強めながら、ただひたすらに待つ。
(主様。お待たせしました)
森の主の前に、自身と同じく銀色の毛並みをした、一匹の狼が現れる。
自身が最初に眷属にしたもので、名付けはしているものの、人類種の言葉では言い表せない名前だ。
この森にいる限り、この狼が他のものから察知されることはまずない。主に代わり、目となり足となる、そんな存在。
(あの[三頭犬]と[大戦猫]は、どうやら我らと同じ、眷属に当たるようですが、我らより高位のものと思われます。主様と同じ存在かと)
(我と同じ、とな?)
(恐らくは。全く同じとは申し上げませんが)
眷属でありながら、森の主と同じ存在。
つまり、その主であるはずの侵入者は、そういったものを眷属にするだけの力を持つ。あるいは、引き上げるだけの力を持つ。
いずれにしても強大な力を秘めた、過去最強の侵入者であることは間違いない。
森の主は、遥か昔のことを思い出す。
神話と呼ばれた時代、「勇者」とされたあの者に頼みごとをされた。
どうかこの森で魔物から人類を守って欲しいと。それから東は自分が人類を守ってみせると。
勇者は宣言通り、森から東の大陸を守って見せた。称号に恥じない働きだった。
古代神話と呼ばれた時代、「魔王」とされたあの者と戦った。
結果は痛み分け、といったところだ。あの者は強かった、あれほど心躍る戦いは今でもはっきり思い出せる。
魔王は今回は引き分けだと言って、西に帰った。結局再戦は叶わなかったが。
他にも数人、「覇王」や「聖者」といった、時代の寵児と会って、時には会話し、時には戦ってきた。
だが今回は違う。そんな予感が森の主にはあった。
本来なら、神族である自身ならば、傷を負うことはあっても、死ぬことはない。
しかし同格――例えば、戦う相手が同じ神獣だとしたら、自身の命を失うことも十分に有り得る。
それほどの存在と相対する。これは自身が神獣となった時以来のこと。
森の主は、密かに笑う。
いつまでも外敵から守れるわけではない。いつか人類種が反攻する時が来ることを願い、今まで待ち続けた。
だがそれは、森を境界とする守護者として、背反する願いでもあった。
人類も魔物も通さない。それが課せられた使命。
侵入者は魔物などではない。少なくとも人類種であることは間違いない。
人類最後の希望とも呼べる、そんな存在なのかもしれない。
だとしたら、自身の役目の終わりを告げる者。そんな存在なのかもしれない。
森の主は、牙を研ぐ。
自身最後の戦いは近い。
予測は、確信に変わった。
最後は獣らしく、足掻いてみせよう。
さあ、我が屍を越えてみよ――。
◆◆◆
思った以上に、すんなりとループを抜けられた。と、確信を持って言えたのは、出発から2日後のこと。
『今、何か、通りすぎやしたね』
「うん、今何かそれっぽかったな」
先頭を歩くガルムが、結界を抜けたことに気付いたようだ。
この辺りの感覚は後方に位置するリュタンも同じようで、『間違いないね』と言っている。
道らしい道というものがないこの森の中、どういう方向で進んでいるか。
進むべき方向のヒントは、「川」にあった。
森の中に川がある、それ自体は特別珍しいことでも何でもない。
俺が違和感を感じたのは、自然に妖精達が俺の元に集まる中で、やけに水属性の精霊が多いにも関わらず、周辺を調査しても川らしき場所が見つからなかったこと。
それがループ突破の鍵になるだろうと思っていた。
精霊が集まりやすい場所、というものが存在する。
人と自然が調和された場所、というと非常に曖昧に感じるのだが、例えば水属性の精霊であれば、人が日々の生活に使う川に集まりやすい。
基本的に精霊は人が好きなので、人類がいない場所には、あまりいない。逆に言えば、精霊がいる場所に人がいない、ということもあまりない。全くない、ってことでもないが。
となれば、川さえ見つけられれば、人里には辿り着くのではないか。これは割と早い段階から気付いていたことだ。
だが、これほど強い獣たちが闊歩する中の人里だ。何かあるというか、何事もなくすんなり入れるとは思ってない。
だからこそ2人の成長を待ち、俺も色々と準備をしてきたわけだが……。
「進んでいるかどうかは分からぬのだが、襲ってくるようなものも現れぬなぁ」
「いいことだと思うんだけどね。多分進んでるんじゃないかなー、って気がするし」
俺の両隣に位置するフランとリリーナがそれぞれ感想を述べる。
そう、何事もない。なさすぎるほどに。
「誘われている、って感じでもないんだけどな。何か変な感じはするよなあ」
強烈な戦闘力を持つ二匹の守護獣を前方と後方に配置して、俺はリリーナとフランの傍から離れずに進む。
獣道とも言えないような、歩ける程度の森をひたすら進んでいるが、足元を取られたりするようなことはない。ガルムが風魔法で草を刈り取りをしながら進んでいるからだ。
魔力の無駄使いといえなくもないが、元々ガルムは魔法タイプって感じじゃないし、魔力量が減っても行動に差し支えることはないようだ。
どちらかといえばリュタンの方が魔法を得意にしている感じだが、どちらも「獣」であることには違いなく、基本的には肉体派だろう。
『魔法ってのは便利なもんでさぁ。あっしが進もうとすると、先に草が切れやがりますぜ』
「何となく察してたけど、お前無意識に魔法使ってるのな」
詠唱も入れずにイメージだけで使ってるかと思いきや、まさかの無意識。厳密には「そうなるといいな」程度は思ってるらしいが、それで発動するならクッソ便利だよな、それ。
どうでもいいが、[三頭犬]のイメージに合わない、風魔法と水魔法使いなんだよなこいつ。一応火魔法も使えるらしいけど。
しかも頭が3つあるせいか、3つまで同時に魔法が使えるのだとか。何それ超便利。頭が3つあるから俺の「平行思考」と同じ理屈?
ちなみにリュタンも2つ同時に使えるらしい。[三頭犬]と同じ理屈なら、見た目が2匹の猫のニコイチだから分からんでもない。
『ダンナがくだらないこと考えてる間に、どうやら目的地に着いたようだよ』
一番後方にいるくせに、一番目がいいリュタンが、どうやら目的の川を最初に見つけたようだ。
流石に木々が生い茂ってる森から、ピンポイントで[遠視]は使いづらい。双眼鏡みたいなもんだから、ある程度視界の開けた場所じゃないと使いにくいんだよ。
元が[大戦猫]だからか、水はあまり好きではないようだが、視覚的にはこの中で一番優れているのはリュタンだ。
とりあえず開けた場所に出られるのは有り難い。やはり森の中で野営はちょっと厳しいものがある。
あとは川沿いを歩いていけば、隠れ里に出られそうだ。
さて、鬼が出るか蛇が出るか。
◆◆
川辺まで辿り着いたところで、日が暮れ始めたため、野営準備に入る。
テントは改良済で、天幕式のコテージをあらかじめ準備しておいた。この辺りの素材は、周りの木々や獣の皮を加工して作ったものだ。
ちなみに糸や布は、こっそり【五穀豊穣】で作り出した綿花などの使えそうな種を、リリーナに育てさせて回収した。
フランもそうだが、リリーナにいつのまにか固有能力が増えてたので、ちょっと焦った。
でもネリーという前例があるし、【変化之理】を使った以上、こういうことは有り得ると思ってたので、スキルが増えていることは2人に伝えてある。【早期栽培】や【武士】などのスキルの仕様も説明済だ。
もっとも、増えた本人には、あまり驚きがなかったようで。
「後天的にスキルが増えるというのは聞いたことがあるのだ。妾もリリーナも、異常なほどステータスが伸びておるのは実感しているのだ、今更驚くことでもないのだ」
「だよねー。【早期栽培】ってのは、聞いたことなかったけど。コレ便利だねー」
とまあ、あっさり受け入れてしまった。君たちも十分非常識な存在になっていることは自覚しとるかね?
帰ったらどうするのか、ってことは全く考えてない。強いて言えば【変化之理】で素質をいじるかどうか、ということだが、どうも一度上げた数値を下げるのは、やめておいた方が無難に思う。
本来あるべき理を曲げて使用しているものだし、程々の数値ならば上げても問題なく成長する、ということはネリーで実証済みだが、下げた時にどんな悪影響が出るか分からない。
一国の姫君相手に、実験ってわけにもいかないし、今でもかなり成長速度は早まっている感じがする。
今更元に戻して、成長が止まったりしたら目にも当てられないし。
まあ、ちょっと強くしすぎた感もあるけど、足りないよりいいよね?
「ところで、さっき誘われてる、って言ってたよね。誰に?」
コテージの中でくつろいでると、リリーナが尋ねてきた。よく聞いてたな。
「誰に、って言うわけでもないけどな。まあ、強いて言えば、この森の主とか」
「森の主といえば……神獣フェンリルのことか?」
おや?フランは神獣の存在を知ってるのか。
でもリリーナは首を傾げている。
「一応カルローゼ王国の第三王女だから、シツネ・ミナモ様のお話に出てくる存在を、疑うってわけじゃないんだけど……」
「なるほど、御伽噺で神獣フェンリル、ってのが出てくるのか」
御伽噺となれば、神話のことだ。
確かカルローゼ王国は、勇者シツネ・ミナモの子孫が作った国、って言われてるんだっけ。だったらリリーナは立場上、否定はしにくいのかね。
意外とリリーナは現実主義者な部分を持ってるなぁ。なんだろう、現実的な楽天家って感じ。
「そうなのだ。妾はどちらかといえば、実際におるものだと思っておるのだ。神獣というものがおるのかどうかは知らぬが、このような森が自然にあるのはおかしいのだ」
『一応、アタイら、半分くらい神獣なんだけどねェ』
「リュタンはリュタンじゃない?なんか、神獣って言われてもピンとこないなー」
フランは神獣というより、迷いの森の不可思議さを説明するに当たって、主たる存在がいる、と考えているようだ。
そしてリュタンのぼやきを拾ったリリーナの気持ちはよく分かる。俺もこいつらはペットにしか見えん。
実際戦わせれば凄いんだけど、普段の人並みサイズからスケールダウンして、普通の猫サイズのリュタンは、どう見ても変り種の猫だ。ニコイチなので、ちょっと不吉な感じはするが。
ガルムが外で警戒に当たっているが、家を出てから3日、ほとんど獣と遭遇していない。
斥候ついでに[黒豹]を放ったりしているものの、周囲には気配がほとんどしないようだ。
逆に来た方向に戻させるつもりがないのか、来た道には再度結界が張られたようで、そちら方向には進めないらしい。
ま、それならそれで分かりやすいってもんだけどな。
それに――
(ダンナ、気付いてるかい?アタイやガルムが言うまでもないと思うけど……)
(まぁ、それくらいはな。何をしてくるってわけでもないから、今はいい。このタイミングで付けてくるってことは、だいたい想像が付くからな)
(多分ダンナの思ってる通りだよ。間違いなく「神獣」の眷属だね)
ガルムやリュタンは、ちゃんと気付いている。
家を出てからずっと、俺達を見ている「監視役」がいるってことくらい。
◆◆
やはりと言うべきか、何事もなく一夜明けて、今度は川を下るように進んでいく。
上るか下るかの二択だったのだが、妖精にお願いして人の気配がする方向を教えてもらった結果だ。まあ間違いはないだろう。
ただし、下ったあとで、もう一度上ることも検討している。どうも上った先にもそれらしい気配があったらしい。
とりあえずは確実な方から攻めてみよう、ってことだ。
川辺に出てから、下ること半日。ひとまずは「当たり」だったようだ。
『ダンナ、お嬢。そろそろあっしらは……』
明らかに人里だと分かる集落が見えてきたところで、ガルムが忠告するように言ってきた。
「そうだな。初対面の人類種に、お前のサイズとビジュアルは、ちょっときついな」
「すまんのだガルム」
「ってことは、リュタンもかなー」
『仕方ないね。アタイとガルムは、夜のサイズになっておくよ』
デキる守護獣は違うということか、ガルムやリュタンは警戒させないように、自分から犬猫サイズに変化する。
見慣れるとただの犬と猫なんだけど、さすがに人並みにデカい犬猫なんざそう居らんし、特に[三頭犬]は頭が3つの異形だ。
それじゃサイズが変わっても意味ないじゃないか、って話にもなるんだけど、変り種生物くらいで済ませられるだろう。きっと、多分。
ちなみに守護獣となった瞬間から、[帰還]は使えなくなっている。試したわけじゃないが、少なくとも召喚獣扱いではなくなっているということは分かる。
サイズを変えたところで、ガルムとリュタンを集合させて、固まって歩く。ここから先頭は俺だ。
遠目から見た感じだが、この人里、どうやら「俺の同族」の集落らしい。
まだ確信はしていないが。恐らくは。
「客人とは珍しい。どこから来なさった?いや……もしや我らと同族か!?」
「よもや外界から戻ってくる同族がいるとは……どなたの子になられるか!?」
久しぶりの姫様方以外の人類種との出会いは、集落から出てきた2人の若き男性エルフだった。
よく考えたら純粋なエルフを見たのは初めてだし、ハーフにしろシェラと母さんしか見たことがない。エルフ♂を見るのはこれが初めてだ。
すっごいイケメンだけど、見た目じゃエルフって、年齢がよくわからんのよな。一応武装はしているが、それほど警戒されている感じはしない。
こっちは武器一つ持ってない。フランは腰に短剣、リリーナも銃を腰に下げているが、俺は敢えて武器一つ持たずに近づき、一つ名乗りを上げる。
「私の名前はゼン・カノー。ハーフエルフであるシャレットの子になります。母であるシャレットは、エルフであるエリーゼの子、と聞き及んでおります。祖母と直接面識はございません」
そう告げると、2人の警戒心が一気に下がったようだ。
「そうかそうか!エリーゼ殿のお孫さんか!」
「エリーゼ殿は上手く魔族の男と駆け落ち出来たのか!それは何よりだ!」
爽やかな笑顔でポンポンと俺の肩を叩いて来る。すっごい友好的なんですけど。
婆ちゃんは既に他界していることを教えると、「それは仕方あるまい」とあっさりしたものだった。
「何しろエリーゼ殿は、駆け落ちした年が、既に50を越えておったからな。あれから50年近く経つ、天命というものよ」
「我々がまだ駆け出しだった頃の話だ。そのお孫さんが里帰りしたとなれば、それは我々にとって、とてもとても喜ばしいことだ」
いったい何歳なんだろう、このイケメン2人。
駆け出しってのが何歳か分からんけど、10歳くらいの頃だとしても、今は60を越えててもおかしくないんだけど……あるぇー?
「あの、一応お尋ねしますが、私は「クォーターエルフ」ということになりますが……」
「それがどうした?例えエルフでなくとも、その耳を見れば、エルフの血が近くに混じっていることが分かる」
「ならば、君の種族なんぞどうでもいい。間違いなく君は我が同族!さあ、長老の元へ案内しようではないか!」
とりあえずすっごい歓迎されていることが分かった。
え、何なのこれ。俺の準備期間、もしかして無駄だった?
俺が軽く呆然としていると、リリーナがつんつん、と俺の腕をつついて、小声で囁く。
「えっとね、ゼン様。私も聞いたことがあるだけなんだけどね」
リリーナによると、エルフは同族意識が極めて高いらしく、混血種であっても同族をとても大事にするのだという。これは母さんからも聞いた覚えがなくもない。この辺りは獣人族に似ているのかもしれない。
純血種のエルフは、既に人類種の中でも、絶滅寸前とされており、こうやって隠し里に住む人々と、外界に出た数十人しか残っていないとされている。
これは純血種のエルフが、繁殖力が極めて低いことが理由とされている。
エルフの特徴として、極めて高い魔力を持ち、成長は早く、衰えは緩やか。そして長寿である。
ぶっちゃけいいとこ取りの優遇種族だ。そりゃあプライドも高かろう……とか思っていたのだが、リリーナの話によると、エルフ同士で子を成すのがかなり難しいらしく、純血種のエルフは減少する一方であるという。
そんな話、知識神から聞いた覚えがないんだが、「世界の滅び」と何か関係があるのだろうか?
そんなことを疑問に思いながら、リリーナが続ける。
「それでね。あの、ちょっと、私も言いにくいことなんだけどね。その、ゼン様って、クォーターエルフだよね?」
「そうなるな、それがどうした?」
「……ちょっと、耳、貸して」
ごにょごにょとリリーナが俺に「エルフの繁殖事情」というものを伝えてきた。実はリリーナはムッツリ、じゃなくて、耳年増だった、ということにしておく。
だとしたら今の状況は、ちょっと、勘違いされてるのかもしれない。
さあさあと俺を連れて行く2人のエルフにこれだけは伝えておく。
「あの、私、性別的には男性でして。10歳を少々過ぎた程度なのですが……」
「はっはっは、何を言っているんだね。発育もいいし、きっと良い子が産めるであろう」
「そうだな。もう少し時間は置いたほうがいいが、是非とも力を貸していただきたい。何、天井の染みを数える程度の話だよ」
前言撤回。ここやっぱりヤバい場所だった。
どうせ後で分かることだけど、また勘違いされてる系だこれ。てか俺今すげーピンチなんじゃね。
嫌 な 予 感 し か し な い 。
(まあ、諦めも肝心ですぜ。エルフは美形揃いでさぁ)
(据え膳食わねば、って言うからねぇ。まあ頑張んなよ)
ガルムとリュタン、俺の切羽詰った状況を理解してやがる。マジか、マジで危険がデンジャラスか。こんな危機は想定外だ。
「――ところで妾たちはどうすればよいのだ?」
フランは1人、状況に付いていけず、蚊帳の外だった。
すまんフラン。今は俺の貞操のピンチだから、ちょっと待っててくれ。
◆◆
長老、と呼ばれたからには、てっきり老エルフだと思ったのだが、なんてことはない。見た感じ、母さんと大して変わらない年齢に見える。しかもめっちゃ美人。
スタイル的には、ちょっと凹凸に欠けるかもしれんけど、緑色の髪を床まで流した、和服美人って感じだ。
着ている服が着流しっぽいからか、余計そんな感じがする。なんやろう、見た感じちょっとエロいけど、そういう気分にはならないというか。
強いて言えば、シェラや母さんより、気持ち耳が長い気がする。俺の記憶が正しければ、だけども。
さっきから【完全解析】を使わないのは、俺の精神的防御の一環だと思っていただきたい。
他人相手にあまり迂闊に使用すると、本人以外、知りえない情報も混じることがある。
感知系とか持ってたら気付かれるかもしれないし、極力人には使わないようにしているだけだ。
この森に住んでいるならば、それ相応のステータスを持ち合わせているとは思うが、あとでこっそり確かめればいいだろう。
「わしの歳か?356歳になるようじゃな。ステータスに書いておるだけじゃから、わしもようわからんがの」
「いや、別にそれを聞きたかったわけじゃないんですが」
「ほうかのう。聞きたそうにしとったように見えたがのう」
なんともやりにくい感じだ。何か魔眼系スキルでも持ってんのかな?
ちなみにあの後、集落の真ん中に、他の建屋よりちょっと大きいかな?という程度の屋敷があり、2人の青年風肉食系男子エルフに連れてこられて、今に至る。
なんで肉食系かって?さっきから俺を見る目が尋常じゃないからだよ!
さっきからずーっと男だって言ってるのに、信じやしねえ!
「黒髪のエルフは、基本的に希少女性種じゃからのう。ジルとディースが見間違うのも、無理はなかろうて」
「なんですと長老!?」
「こんなに可愛い娘が男の娘なわけがない!」
言っちゃったよ。男の娘って言っちゃったよこの残念イケメン。見た目だけだっつーの!
でもちょっと気になること言ったな、今。
「あの、黒髪のエルフというのは、珍しいのですか?」
「珍しいというかのぅ、わしの知っておる限りでは、過去に数人しかおらんでな。全員、わしと同じく、希少種であったそうじゃ」
「ハイエルフ、ですか……」
そのワードで、知識神の言ってたことを思い出して、背筋に冷たい汗が流れる。
『エルフ族には、稀に希少種と呼ばれるものが産まれることがあります。中身はほとんどエルフと変わりがないのですが、いくつか一般的なエルフより優れた点がございまして――』
曰く、元々長寿であるエルフ族の中でも更に長寿であり、500年程度は余裕で生きる。
曰く、極めて健康な身体を持ち、病気には滅多にかからず、ほとんどの毒も受け付けない。
曰く、これが一番大事なのですが、と前置きしたところで言ったシェラのセリフを思い出した。
「ハイエルフは子沢山じゃからのう。おぬしが男なのは、里に住む男衆は残念じゃろうて」
ぶっちゃけたよこの人。
そう、ハイエルフはどういう理屈か、優れた子孫を産みやすく、なおかつ女性であれば受胎出来る期間も長いのだ。
その辺りの理屈は、【世界之理】にも書いてないらしく、本当に「世界の神秘」の一つであるそうな。
実際のところ、俺はハイエルフではないのだが……。
「でもそうなると、エルフ族の女の人からすると、ゼン様って、その」
「リリーナよ、ゼンならば種族は関係ないのだ。雄として英でているから、英雄というのだ。そこは妾らも考えておかねばならんのだ」
「そこの娘っ子は、ようわかっとるでな。おんしゃ、英雄かどうかは知らんがのぅ」
「いや、そうじゃない。そうじゃなくてだな」
とりあえず付いてきたリリーナやフランも、後ろで勝手なこと言いやがって。
フランもその余裕というか、物分りのいい感じ、何なの?ネリーと思考タイプが同じなの?
「おんしゃ、後ろの娘っ子は、番じゃないのかえ?」
「お願いですから、一回そこら辺から離れてくれませんかね。ところで、そろそろお名前を頂いても?案内頂いたお二方の名前もまだなのですが」
「おお、そうであった。わしも長老としか呼ばれんからのぅ。他人に名乗るのは久方ぶりじゃのう」
長老が、コホンと一つわざとらしく咳払いをして、名乗りをあげた。
「わしの名前はエルリナーゼ=シュレイン=アーヴィアス・アルティメット。長いからエルか長老でええぞえ」
「何か名前が長いのは、理由が?」
「純血種のエルフ族はこんなもんじゃ。そこにいるジルとディースも、似たようなもんじゃぞ」
ジルと呼ばれたイケメンの片割れが補足してくる。
「基本的にエルフ族というのは、先祖の名を連ねることにより、真の名を隠すものなのだよ」
「家名も母方の方を引き継ぐようにしているんだ。まあ、我々にはあまり意味がないものだけどね」
「……ってことは、長老の家名は、母方の方が「アルティメット」だったのですか?」
ディースというらしいイケメンの紡いだ言葉に違和感。
どこかで聞いた覚えのある、っていうかインパクトが強くてよく覚えてる家名だ。研究神の家名がアルティメットだった。
しかもあの感じだと、アインが初代っぽいんだよなぁ。となると、この長老は、どこかで魔族の血が混じることになるのだが。
んー、と考えながら、長老が返答してきた。年齢とポーズが合わねぇ。
「家系図が残っておるわけではないからのぅ。母方の家名であるのは確かじゃが……おんしゃ、わしの母方の一族を知っておるのかえ?」
「あ、いや。知っているというか、聞いたことがあるな、という程度ですが」
「そうかのう。まあ、そもそもエルフの純血種など、本当はおらんと思うがのぅ」
「はい?」
今までの説明から、180度ターンを決めてきた長老の言葉に、思わず声が出てしまった。
じゃあ今までの振りはなんだったんだ。リリーナやフランも目が点になっている。
「そも、エルフ族に限った話ではないがのう。純粋な純血種など、わしはおらんものと思うておる。純血種というのは、だいたい両親が純血種であればそう言われとるようだし、[遺伝鑑定]でもそう出るようになっとる。だからといって、どこまで遡っても同じ人種とは限らんじゃろう?あるいは、元々1つの種族が、それぞれに枝分かれしたかもしれん。やはり同じ一族であれば、大事に思うが、それだけじゃのう」
何というか、深い話というか。少なくともこの長老は、シェラから聞いてたエルフ族のイメージとはかけ離れた価値観を持っているらしい。
生前のシェラの時代から、それだけ長い時間が流れている、ということなのだろうか。
いずれにせよ、俺としては好ましい考え方をしているように思う。うん、人は人だよな。
どうやら今始めて話したことでもないらしく、ジルやディースも頷いている。フランも頷いてるのは、魔族にはあまり人種に拘りがないんだろう。
自分を純粋な人間族だと思っていたリリーナには、思うところがあったのかもしれない。何やら考え込んでいる。
「そこの嬢は、よもや聖国の人間かえ?」
「へっ?あ、私はカルローゼ王国の第三王女になるんだけど」
少々剣呑な声で長老が問いかけたためか、慌ててリリーナが返答する。それ言っちゃっていいのか。
「かの王国ならば、差別することはなかろうなあ。ならばよし」
何だろう。長老から聖国というワードに怒りのニュアンスを感じる。
聖国、といえば、俺の中では1つしかない。アジェーラ聖国のことだろう。
「新しく出来た帝国も、わしは思うところはない。じゃが、聖国は気をつけぇ。きゃつらすべて、悪、言うわけじゃないがのう。わしらとは相容れぬようじゃからの……おんしゃ、名は、なんじゃったかの?」
俺を見てそう長老が言ってきた。そう言えば俺はまだ長老に名を告げてないな。
「先に名を頂いたのにお返しせず、失礼しました。私の名前はゼン・カノーと申します。祖母エリーゼがこの里の出身と聞いております」
「ゼン、か。先祖返りかの?」
「よく聞かれますが、私は称名は持っていても、カノーたる先祖を持ちません。親から頂いた名はゼン。カノーは後から付いてきただけ、ということです」
俺の返答に、カラカラと笑う長老。
「もうそのような堅苦しい言葉、必要なかろうて。そも、祖母にあたるエリーゼは、わしの直系じゃから、わしとおんしゃ、血の繋がりがあるのじゃからのう」
「マジで!?」
衝撃の事実だったので、思いっきり素で返してしまった。見た目は母さんと変わらんだけに、インパクトがハンパじゃない。
「エリーゼの名前は、正しくは、エリーナルゼ=ラドゥール=オーレリアという名じゃ。何か気付かんか?」
「ふむ、長老の名前と重なるところはないが……エルリナーゼ、という響きが似ておるのだ」
よく気付いたなフラン。
「然り。真名はわしが付けたわけではないがの。これでもエルフ族の命名の法則に従っておるのじゃよ」
「文字にすれば分かりやすいのだが、エルフ文字は流石に学んでおるまい?」
「あ、多分それは読めると思う。俺母さんから文字はいくつか学んだし」
「俺っ娘……そういうのもあるのか!」
2人のイメケンはどちらも残念系っぽいが、ディースの方がやや残念度が高い、と今決めた。
もしかしたら、と思ったので、ジルに長老と祖母の名前を文字にして書いてみてもらうと、ある意味予想通りだった。
「なるほど。法則は、文字の組み換えか」
所謂アナグラム、というやつだ。
英語圏とかだと割とメジャーな話なのだが、例えばペンネームなど、本名や有名人のアルファベットを置き換えて付けることがある。
いしのなかに、とかいうトラウマ系ゲームのボスの名前が、そうだったかな。
「察しが良いのう。英雄というには若すぎると思うたが、おんしゃ、本物かもしれんのう。ジル、あれを持ってきてもらえんかの?」
「アレというと、シツネ殿でも抜けなかったという、アレですか?」
「そうじゃ。結局シツネ殿は、わしらまで手が回らんかった。わしの「目」でも、ゼン・カノーは本物の英雄と見た。可能性はあるじゃろう」
やはり、何かを見抜かれていたようだ。
長老は何かしらの魔眼系スキル、あるいは鑑定系スキルを所持している可能性大だな。
「気を悪くせんでもらえるかのぅ。同族なのは疑ってはおらなんだが、里の長として、おんしゃをある程度見極める責務があるのじゃよ」
「そこはあまり気にしなくてもいいよ。どこまで遡るか分かんないけど、俺にとっては婆ちゃんだし。一応聞くけど、後ろの2人は見てないよね?」
「わしもおんしゃが何代先の孫か、よう覚えんが、その番の娘っ子まで見ることはせんよ。信じてもらうしかないがのう」
2人には【擬態】を使ってない。魔眼系なら見破られるかもしれないが、嘘を言っている気はしないので、それでよしとする。
「ちなみに、どんなものが見えるのか、教えてもらっても?」
「ええぞい。わしは固有能力で特殊な【鑑定】が使えるのじゃ。普通の[鑑定]と違って、ちっとばかし、変わったところが見えるでな。おんしゃが年齢に合わず、異様なほど強力な力を持っておるでな」
「それはどんな風に見えるものなの?」
「格位、という形で分かるのじゃがな。正直に言うて、おんしゃの力は、わしの【鑑定】では完全な見極めが不可能じゃった。何しろ【神格】と表記されるでな。これ以上の格位は見たことがないから、恐らく最高級の評価だろうて」
今ので察するとすると、恐らく「格位」というのは、レベルのことではないだろうか。
ステータスには存在しない事項だが、俺の【完全解析】には映る項目になっているから、固有能力で[鑑定]が使えるならば見えてもおかしくはない。
どんな段階表記になっているか知らないが、俺のレベルは既に3桁に突入している。恐らく人類種では到達出来ないレベルだろう。【神格】という評価も納得出来る。
そんなことを話していると、ジルが「あれ」とやらを持ってきた。
――まあ、予感はしてた。
勇者シツネにして「抜けなかった」というそれは、「短剣」。
どうやら破損はしていないらしく、神具としての機能は維持されているようだ。
ジルが持ってきたのは、そう、俺が神界で作った短剣。
「ここにあったのは「コアブレイク」だったか。そりゃまあ、抜けんだろうさ」
「おおう?おんしゃ、何故その名を知っておる?」
「そこはちょっと、説明しづらいんだけども……」
ジルから受け取ったコアブレイクを、あっさり鞘から抜く。
長老含むエルフ3人の目が驚愕に見開いたのが分かる。
「元々これは「俺のもの」だからな。勇者とかそういうのは関係なく、俺にしか抜けないようになってるんだわ」
◆◆
俺がコアブレイクを抜いたことで、長老は平伏してしまった。何ゆえ?
ジルとディースは超ダッシュでどっか行った。こっちもなんか嫌な予感がするなあ。
「まさか「天の武器」の使い手が本当に存在するとは……ありがたやありがたや」
天の武具?なんのこっちゃ、ってまあ、だいたい想像つくけども。
「ゼン様って物知りだけど、変なところが疎いよねー。私も実物を見るのは、初めてなんだけど」
リリーナ曰く、古代道具と思しき道具の中には、厳重な封印がされているものが存在する。
それが「天の武器」と呼ばれるものであり、一見して凄まじい武器であるのだが、触れた者には雷撃を加えたり、重すぎて誰にも持てなかったりするそうだ。
過去に使おうとしたものは多数いるが、今まで誰1人として、それらの武器を使えたことはない。
「私も呪いのことや、[鑑定]の練習をしてきたから、なんとなく分かるだけなんだけど……多分、「ブロックガン」と同じものだよね?」
「まあ、そうだな。ってかその「天の武器」とやらは、あといくつあるんだ」
「いくつあるかまでは知らないけど、1つはアジェーラ聖国にあるらしいよ?すっごい長い包丁みたいな形って聞いてるけど」
それ「デスハチェット」だよね。俺の長刀、もとい長鉈だよね。
多分雷撃を加えてくるのって、それだろうな。所有者認定、まだ生きてるのか。
重すぎて誰にも持てない、ってのもピンと来る。多分「ピッケルハマー」だ。
ある場所が分かってるなら、いつか回収に行かなきゃいかんだろうなあ。国が管理しているとなると、面倒な予感しかしないけども。
このタイミングでコアブレイクが回収出来た事は喜ばしい……のだろうか?
どうにも何かフラグが立った気がしてならない。
「いい加減頭上げてつかーさい。俺より10倍以上目上の人からそうされてるのは、居心地が悪すぎますわ」
「そうかえ?てっきり慣れておると思うたがのう。こんな武器の使い手が、ただの人であるわけがなかろうて」
頭を下げて拝むようにしていた長老が、あっさり姿勢を正しながら言う。
否定はしにくいけどな。確かに「ただの人」というカテゴリに入るとは思ってないし。
「あの2人はどこいったの?」
「そりゃ勿論、宴の用意じゃよ。同族が里帰りしただけでも喜ばしいというのに、その同族が「天の武器」の使い手となればのう。わしらを守護してくださっておる、主様もお喜びになるじゃろう」
「主様ねぇ……もう少し、詳しく聞いても?」
長老から聞く「主様」とは、普段は姿を見せないが、この森に住むエルフ族やフェアリー族を守護してくれる、文字通り「守り神」である、というものだった。
元々この2つの種族は、森と共に生きる民であり、森から出ることはほとんどない。
この森に魔物が出ないのは、「守り神」さまの恩恵であり、獣が襲ってくることがないのも、「守り神」さまのおかげだという。
特にフェアリー族は、特殊な能力を持っているものの、戦闘力が皆無に等しく、本来獣に襲われればひとたまりもない。
「守り神」さまの許可なく森を出ることは適わないが、元々出ようとするものはごく僅かであり、外界から他の人類種が入れないようにしてあるのだという。
何故外界から他の人類種を入れないか。
そこの理由ははっきりしないが、エルフ族にしろ、フェアリー族にしろ、希少であり、優秀な能力を持ち、麗しい見た目も相まって、とにかく他の人類種に利用されがちだった、という時代背景があるようだ。
母さんを見てると、そんな感じはまったくしないのだが、そういう時代もあった、ということなのだと思う。
シェラもそれっぽいことを言っていたが、この辺りは微妙に食い違う箇所があるなぁ。
しかし、全く外界から人が来ないかというと、そうではないらしい。
何でも、やむを得ない事情を持つ者であったり、悪意なき迷い人であったりした場合、「守り神」さまの力により、この隠れ里にやって来るのだという。
それが俺の祖父である魔族の男であり、それと共に外界へ赴く許可を「守り神」さまに得たのが、祖母エリーゼだった、ということらしい。
正直、色々と突っ込みどころのある話だ。
エルフ族やフェアリー族のことも気になるが、「守り神」、というのは「神獣」のことで間違いないだろう。名前が本当にフェンリルなのかまでは知らないが。
長老の話を総括すると、俺達はどうしても「神獣」に会わなければならない。それと同時に、出入りするための条件も、一応確定した。
要するに、「神獣」が許した存在以外は、この森では「外敵」扱いされる、ということだろう。
多分そうじゃないかとは思っていたが、今の話で裏付けが取れた。
「その主様と話が出来る機会なんかは、あったりするのかな?」
「年に1度、主様の使いが集落に来てくださるのぅ。そろそろ今年も、時期が近いゆえ、その時にお願いすれば、話くらいは聞いてくれると思うぞえ」
使い、ね。
(まず、ダンナの思う通りだと思いやすぜ)
フランの膝の上にいるガルムから【念話】が飛んできた。
姿は見えないが、ガルムの嗅覚では、今でも近くに「監視」している存在がいるらしい。
多分「使い」ってのは、「神獣」の眷属か、あるいは使徒か、どちらかだろう。
(アタイらが負ける相手とは思わないけどねェ。アッチの方が芸達者なようだし、戦いになれば、それなりに覚悟キメてかないと、お嬢が危ういね)
(出来れば戦いたくはないけどな。最悪そういうことも、考えておくべき、だろうな)
(旦那としちゃあそうでしょうが、あちらさんはどうでしょうかねぇ)
ガルムやリュタンは、「神獣」と戦うことになる予感がビンビンなようだ。
正直言えば、俺もそうなる可能性は高いだろうと思っている。
あちらから俺達に接触しようと思えば、タイミングはいくらでもあったはずだ。だが、直接的なアプローチは今まで一度もなかった。
やはり「神獣」は、俺達を「敵」と見なしている可能性が高い。
今回は円満に森から出られればそれでよし、という妥協点を持って出発したのだが。
(戦うだけなら、まだマシなんだがな。色々な意味で「神獣」と敵対はしたくないけども)
さっき受け取ったコアブレイクを手に取り、眺める。
最悪、こいつの力を使うことになるのかねえ……。
諸事情を考えると、こいつは出来れば使いたくないんだがなぁ。
実はエルフだけが繁殖力が低下しているわけではなく、全体的に低下している中で特にエルフが顕著という話。
ハーフまでならそれなりに産まれるので、この里のようにエルフだけで構成された社会はないにしろ、世界的には比率は低いだけの、「珍しい」程度の認識。
数が減っていることをちゃんと分かっているのは、人口比率を知れる立場にある人々くらいなものです。




