クラスメイトside01 自問自答と救出
ちょっと、本編が止まるので少しだけ番外編です。
「なんなのよ……」
一旦、クラスメイトは全員解散させられて、私、リナは部屋のベットにいた。
今でも信じられない。花菜さんが死んだという事実に。
ましてや……ソラがやったとは……
「そんなはずは……ないわよ……」
私の小さな呟きもベットに吸い込まれて消えていく。
花菜さんとはいっぱい係わりがあったとは言えない。でも……仲が良かったとは言える。
「ソラが……やるはずはない」
これだけは絶対に譲れない結論。あの……日々がつまらなそうという苦い顔と、食事の時の笑み.。
そして……この世界に来てからの楽しそうな笑顔。あの顔に……人を殺すような暗い感情は感じられなかった。
でも……心当たりは……
「あの……謎の現象はなんだったのよ……」
ソラから勇者の資格が剥奪された時、ソラからものすごい気配が発生し、謎の黒い翼のようなものがソラの背中から現れていた。
それも、実体を伴っていて、兵士たちを吹き飛ばしていた。謎の力……厨二病臭いが、何かがあったのは間違いないだろう。
「やる事は……一つしかないわよね……」
高確率で、国の人に直接解放を要求しても、断られるだろう。完全に、国はソラを犯人と決めつけていた。
なら……ソラに直接聞くのが一番だ。ソラから何かを聞いて何かが起こるというわけでもない……でも、ソラの声で聞かないと信用できない。
「思い立ったら吉日!今すぐ行くわよ!」
私は顔を両手でパチンと鳴らして、ベットから跳び出す。寝着の上に軽く洋服を羽織り、靴を履く。そして、念のために短剣を腰に着けておく。
私の職業は『スピードアタッカー』。敏捷と攻撃が高く、手数で圧倒するタイプだ。まぁ、ソラには訓練で手合わせしたが、得意の速度でさえ勝てなかった。
「今となっては……過去の話……だわよね」
一度奪われた勇者の力は戻す事が可能かは分からない。でも不可能とは言えない。
着替えも終わり、扉の前に立つ。ここからは、見回りの衛兵に見つかると少しばかり面倒。普通に正面から向かって、ソラと面会できる自信はない。
「こんなところで技能が役に立つとはね……」
偶然訓練していたら手に入った技能、『隠密』。気配を消す事ができるという単純な物だが、戦闘でもなんでも使える便利な物だ。
効果時間は20秒。一度使用後は、一分間使用不可能。20秒あれば、一人ぐらいは煙に巻けるはずだ。
扉のノブに手を当て、深呼吸。一気に……開ける。
ボコン
「ひきゃっ!」
開けた瞬間、小さな悲鳴が聞こえる。
慌てて、私は外に出て辺りを確認する。
もしかしたら、扉でだれかを殴ってしまったかもしれない。
「……リナ……ひどい」
「ごめん!事故!事故!タダの事故!」
倒れていたのは……涼香だった。
「大丈夫!?」
「大丈夫。鼻の先を軽くぶつけただけ」
何もなかったように涼香は立ち上がり、先を急ごうとする。その方向は……私と同じ場所に向かう道。
「涼香も……ソラのところに行くの?」
「……なんで分かったの?」
予想的中。仲間は多い方がいいだろう。
「私も同じところに今から向かうわよ。一緒に行かない?」
「分かった。私も一緒に行く」
涼香の手を握り、道を駆けだそうとする。だが、涼香に即座にぐっと押しとどめられる。
「走ったらだめ。足音でばれるから」
「う、うん。ありがとう」
小さな声でお叱りを受け、少しだけ縮こまってしまう。そして、今度こそは足音を立てないように慎重に歩み始める。
だけど……嫌な予感だけは頭に残っていた。
「リナ?」
「しっ!」
突然私が停止したことに戸惑いの声を現わす涼香に私は、静かにするように注意する。
そして、一瞬だけ感じた気配に耳をすませる。
誰かが……走ってくる。誰だろう。慌てた感じの足音。
だが、目的地は一つの様でうろちょろする様子はない。
進行方向はこっち。
やばい……わよね。
「涼香……少し隠れて」
「分かった」
簡潔な答えと共に、涼香は近くの鉢植えの陰に隠れる。
そして……私は『隠密』を使った。
軽く目を見張る涼香を無視して、息をひそめる。
隠密は、気配を相当消してくれる。少し薄暗いここなら効果抜群……のはず。
でも……大きな音を立てた場合はその限りじゃない。足音も大き過ぎると意味がない。
誰なのよ……
そして現れたのは……




