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守りたいと


諸事情によりブログに在った在庫を転写致しました。





 ドッペルゲンガー。

もし出会ってしまうと自分自身に不幸があると言われている。


黄昏の教室で、壁に背を打ち付けられた、泣きじゃくる女は自分と同じ顔をしていた。


「助けて、助けてくれ。私にしかできないんだ、今なら間に合うから、今しか間に合わないんだ。早く、早く!」


金切声に近い哀願は切実で、私の中の何かに火をつけた。


「死んでしまう、踏切でひかれて死んでしまう。死なせたくないんだ、死なないでほしいの…お願いだから」


今度は私が私を床に打ち付ける番だった、


「おい!しっかりしろ!どこだ?どこなんだよ?!」


男勝りな口調は、兄と友人幼馴染から移ってしまった悪癖で、震える彼女はどうにか苦い笑みを浮かべると、場所を告げた。




 カタンカタンと踏切が閉じ始めていた。

刻一刻と迫る時間は、彼らに時間がないことを知らせていた。


「もう、もういいですから。危ないから、お願いですから 」


枯れ枝のような老婆は、からからに乾いた口の中。

もつれる舌で、そう言った。


足が線路の溝にはまり込み足をくじいたのだ。

パンパンにうっ血した足は隙間を埋め、なかなか引き抜けない。人通りが少ない時間、一人きり。

 困り切ったそんな中、彼らが通りがかったのだ。


「大丈夫だって、ッ何とか…あと少しだし」


友人たちが荷物を運び出し、あとは老婆本人だけ。制服姿の青年たちは汗だくになりながら、ようやく足を引き抜いた時だった。


登りの快速電車の姿が遠くに見えた。

電車からは車体と、金属とゴムの悲鳴のようなブレーキ音が押し迫っている。

止まらないその列車に、誰もが身を固くし肝を冷やしたその時だった。



耳をつんざく電子音。

閉じた踏切の向こう側、肩で息をするセーラー服姿の少女が非常停止ボタンを連打し、開閉バーを押し上げた。


「ボサッとすんな!!ぉッまえらはっ、しぬつもりかぁッ!!」



 それから正気に返り、なんやかんやで九死に一生を得た彼らに、絶え絶えの息の下うつむいた顔を上げた少女は、…般若の形相だった。



 交番のおまわりさんと駅員さんにペコペコと頭を下げる両親らと老婆と兄。

とりあえず後日再び話し合いを設けると言う事になってその場は解散となった。


遅延に対する賠償金については、きっと後日になるだろうが人命がかかっていたし、いたずらは無かったのだから、そこまでではないと信じたい。


すっかり日が暮れた帰り道、母は怒ってはいたものの笑ってたし父は全員にもれなく拳骨をくれた後、よくやったと褒めてくれた。


 幼馴染と馬鹿兄と友人たちは、タイミングよく表れた私に小首をかしげていたが、私は何も言わなかった。

否、言えなかった。


ドッペルゲンガーに出会うと不幸になる。けれど、彼女は 自分は天秤にかけて考えてみたのだ。

彼らのいない未来と自分の未来とを。


自分一人の命と彼らの命なら、自分は


その答えはもう、自分の中にある。泣きじゃくっていた彼女が、その答えなのだ。だから、後悔はない。

いつの間にか先を歩む家族に駆け寄りながら、彼女は腹をくくった。






 解説(いいわけ)として、人体には魂があって魂と魄に別れたりだかなんだかかんだかします。


作者的に心の燃料と体の燃料みたいなもんかなと思いつつ一生に使う分量が決まってて、裏技で一気に使い込んだから…って事で不具合発生からのという感じに解釈しております。


一つのものが2つに別れて片一方だけだとオーバーヒートで焼けつきますね、魂魄のどっちだったんだろう。


きっと魄を燃料に魂を飛ばしたのでしょうか?

解せぬ。



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