第四節「時の流れ」
五年が過ぎた。
四者による統治は、予想以上に安定していた。
劉備が京で民のための政策を進め、信長が東海で交易を発展させ、孫権が西国で海運を確立し、曹操が関東で秩序を維持する。
それぞれが独自の道を歩みながらも、年に一度の会議で協力していた。
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京、劉備の本拠では、諸葛亮が報告をしていた。
「主公、この五年で民の暮らしは大きく改善されました」
「それは良かった」
劉備は微笑んだ。
「孔明、信長殿や曹操殿、孫権殿との関係は?」
「表面上は良好です。しかし...」
諸葛亮は地図を見た。
「信長殿は、密かに鉄砲の改良を進めています。曹操殿は関東で兵力を増強しています」
「やはり、皆まだ私を信用していないのか」
「当然です、主公」
諸葛亮は劉備を見た。
「信長殿も曹操殿も、虎視眈々と機会を狙っています。この平和は、いつ崩れてもおかしくありません」
劉備は窓の外を見た。
「それでも、今は民が笑っている。それだけで、私は満足だ」
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尾張、信長の本拠では、竹中半兵衛が報告していた。
「殿、新型の鉄砲が完成しました」
「ほう、見せてみろ」
信長が鉄砲を手に取る。以前より軽く、連射も早い。
「これなら、劉備の軍にも対抗できる」
「殿、劉備殿と戦うおつもりですか」
「藤吉郎...」
秀吉が不安そうに問う。
信長は鉄砲を置いた。
「まだだ。だが、備えは必要だ」
信長は窓の外を見た。
「劉備の理想は美しい。だが、それがいつまで保つか...俺は見届ける」
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関東、曹操の本拠では、荀彧が心配そうに曹操を見ていた。
「主公、兵力の増強、劉備殿に知られたらどうなりますか」
「構わん」
曹操は即答した。
「劉備も、信長も、孫権も、皆同じことをしている」
「しかし...」
「文若、この平和は脆い。いつ崩れてもおかしくない」
曹操は立ち上がった。
「俺は覇道を捨てていない。ただ、今は時を待っているだけだ」
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瀬戸内、孫権の本拠では、周瑜が報告していた。
「殿、南蛮との交易が順調です」
「それは良かった」
孫権は頷いた。
「公瑾、劉備殿の統治は上手くいっているか」
「はい。民からの支持も厚く、問題はありません」
「ならば、我らも学ばねばならぬな」
孫権は立ち上がった。
「劉備殿の在り方を見て、俺も変わった。民を第一に考えること。それが、真の統治だと」
周瑜は微笑んだ。
「殿が、そう仰ってくださると嬉しいです」
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京では、秀吉と家康が劉備と共に働いていた。
「劉備殿、この五年で多くを学びました」
秀吉が言った。
「民を想うこと。それが、どれほど大切か」
家康も頷いた。
「私も、劉備殿から多くを学びました」
劉備は二人を見た。
「お二人は、いずれこの地を治める方たちです」
「劉備殿...」
「私たちは、異世界から来た者です」
劉備は窓の外を見た。
「いつか、元の世界に戻る時が来るかもしれません。その時、この地を守るのは、お二人です」
「劉備殿、そのようなことを...」
「これは現実です」
劉備は二人を見た。
「お二人が、私の想いを受け継いでください。この地の者として、民を守ってください」
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その夜、諸葛亮が劉備の元を訪れた。
「主公、秀吉殿と家康殿に、後を託すおつもりですか」
「ああ」
劉備は頷いた。
「孔明、私たちはいずれ、元の世界に戻らねばならぬかもしれぬ」
「主公...」
「この地は、この地の者たちが治めるべきだ。秀吉殿と家康殿なら、私の想いを受け継いでくれる」
諸葛亮は深く頷いた。
「承知しました、主公」
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その頃、北の蝦夷では、不穏な動きが続いていた。
謎の勢力が、徐々に南下してきているという。
趙雲と真田幸村が、偵察に向かっていた。
「趙雲殿...何か、嫌な気配がします」
幸村が槍を握り締める。
「幸村殿、貴方も感じますか」
「ええ。戦場の空気が、違う。これは...ただの戦ではない」
二人が丘を登ると、そこには見たこともない光景があった。
大軍。その数、五万を超える。
「あれは...」
趙雲の目が見開かれた。
「旗に見慣れぬ文字が...大陸の言葉か?」
「そして、あの武器...鉄甲の兵が多い。馬ではなく、大型の車輪を引いている」
幸村が呟く。
「趙雲殿、これは...」
「すぐに主公に報告を」
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京に戻った趙雲が、劉備に報告した。
「主公、北から大軍が南下してきています」
「何...!?」
劉備が驚く。
「その数、少なくとも五万。そして、見たこともない武器を持っています」
諸葛亮が地図を広げた。
「主公、これは...」
「孔明?」
「もしかしたら、大陸からの侵攻かもしれません」
劉備の表情が引き締まった。
「ならば、信長殿、曹操殿、孫権殿に伝えねばならぬ」
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数日後、京で緊急の会議が開かれた。
劉備、信長、孫権、曹操。
そして、それぞれの重臣たちが集まっていた。
「北から大軍が来ている」
劉備が報告する。
「その数、五万以上。旗に見慣れぬ文字、鉄甲の兵、大型の車輪。恐らく、大陸からの侵攻です」
信長が前に出た。
「大陸か...面倒だな」
「信長殿...」
「だが、この地を荒らされるのも困る」
信長は劉備を見た。
「利に合えば協力する。それだけだ」
曹操が腕を組んだ。
「劉備、俺も協力する。だが、民のためではない」
「曹操殿...」
「勝つために協力する。それだけだ」
孫権も前に出た。
「私も協力します。海路の安全を守るために」
孫権は劉備を見た。
「それぞれの理由はありますが、方向は同じです」
劉備は三人を見た。
「ありがとうございます」
信長が冷たく言った。
「礼を言うな、劉備。これが終わったら、また元に戻る。覚えておけ」
劉備は頷いた。
「承知しております」
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四者は、北の脅威に対抗するため、再び手を組んだ。
まず、劉備軍と織田軍が先発として北へ進軍した。
関羽、張飛、趙雲、武田信玄、上杉謙信、真田幸村。
秀吉、家康、竹中半兵衛、明智光秀。
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劉備は、仲間たちを見渡した。
「皆、この地を守るために、共に戦ってくれ」
劉備の声が響く。
「私たちは、時に対立してきた。だが、今、この地を守るという目的で一つになれる」
劉備は剣を抜いた。
「共に、この地を守ろう!」
「おおおっ!」
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数日後、曹操軍が後方から進軍してきた。
荀彧、張遼、許褚。
「主公、遅れましたが参りました」
「ああ、劉備を一人で戦わせるわけにはいかん」
曹操は不敵に笑った。
「この戦、俺も楽しませてもらう」
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そして、海からは孫権軍が奇襲の準備をしていた。
周瑜、毛利元就、島津義弘。
「殿、敵の背後に回れます」
「よし、海路から攻める」
孫権は刀を抜いた。
「この地を守るために」
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北の大地に、四つの軍が進軍していく。
劉備の想いが、ついに全ての勢力を一つにした。
信長も、曹操も、孫権も、今は劉備と共に戦う。
この地を守るために。
民を守るために。
最後の戦いが、始まろうとしていた──。




