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魔女と王国と声変わり  作者: 睦月はくろ
第二章 イースの里編
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オーガ死す!

タイトルについては読んでいけば分かると思います

 ――”イースの里”……それは【アゼ人】が作った里で現在はカロン王国の一部として、民衆にも里の存在を隠されている。なぜ存在を隠されているかは、アゼ人の体の特徴にあった。


 アゼ人の体のほとんどは人間と同じなのだが、明確に違う点が一つある。それは、頭に生えた()である。この角は丈夫でとても魔力をよく通すよう出来ており、魔道具を作る材料として最適で、アゼ人の角で作られた魔道具は高値で取引された。そのせいで昔、アゼ人の誘拐が横行したことで、カロン王国の王族が保護という形をとって守られている。今でもアゼ人の角の売買をすれば、死刑まであり得る程だ。


 さてそんなアゼ人がおこした里……”イースの里”が歴史を記録、管理をしているかはアゼ人の”知識への欲求”が関係している。

 アゼ人は元々好奇心が旺盛な者が多く、自分たちが知識を得ていることに喜びを覚え、誤った知識、歴史が語り継がれていくことに我慢がならない習性があった。それゆえにはるか昔から……それもカロン王国ができる前から歴史の記録と管理を行ってきた。アゼ人たちはこの世界の歴史を記録するため、一部の者たちを【調査員】として、多種多様な国の街や都に向かわせ、一般人として暮らしながらその国の歴史を記録させている。そして記録したことを里へと持ち帰り、管理する。

 昔のカロン王国の王族はアゼ人のその習性を利用したいと考えた。王族は角での一件もあり、アゼ人という種を守る代わりに、記録した歴史や資料の閲覧を求めた。これをアゼ人側が了承し、今なお友好的な関係を築いている。


 そのおかげでこのような異常事態とかが起こった時に、カロン王国側はイースの里へと出向き、歴史とかを調べることができるようになった……




△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△




「へぇ……そんなことがあったんだ」


 私がイースの里へと向かう馬車の中で、カレンとリリーさんから里とアゼ人の解説を聞いて、思わず声を漏らしてしまった。カレンとリリーさんは前に一回里に行ったことがあるらしいけど、私はそもそもこの世界に来てから数か月、ナトちゃんは一般人だったこともあって里の存在を知らなかった。だからこうして解説をしてもらっていた。にしても結構昔のことなのに今も友好関係を結べてるのはすごいと思う。昔の王族は上手くやったんだなぁ。


「こういう調べ物をするときに、協力してもらえるからありがたいのよね」

「ま、さっき言うてた通り知識にしか興味ないやつが多いから、変人も多いんやけどな」

「あんたには言われたくないんじゃないか?ウェンさん」

「ワイはダメ人間なだけで変人やない!」

「余計たちが悪い気がするのは私だけ?」


 私たちの会話に馬車で休んでいた、ウェンさんとライハさんが入ってくる。ていうかライハさんも低いんだ……ウェンさんの人間性の評価。

 今回イースの里へと向かうのは私たちだけじゃない。王族からの使者ということでルートさんとライハさん。エル教からはウェンさんが同行している。王国騎士団とエル教はカロン王国の二大組織だからね。そしてなぜかついてきたリファを含めて7人と1匹でイースの里へ向かっている。私たちの会話に入ってこなかったルートさんは今、馬の手綱を握っている。まぁ、無口な人だから手綱握ってなくても会話には入ってこなさそうだけど。リファは馬車と並走しながら歩いている。ほんとなんでついてきたんだろう?


 実はルートさんがイースの里へ向かうかどうかで賢老会と揉めたらしい。王様が執務や政策で忙しくてイースの里へ行けないから、ルートさんが行くことになったんだけど、ルートさんはカロン王国最強の騎士だから、王都の守りはどうするんだ!って言って来たらしい。最終的にはルートさんがいない間、ハストさんが王都の守りを担ってくれると言ってくれたおかげで、収まったらしい。ルートさんがいない間の国防を担えるハストさんって何者なのほんと……


「まっだかな~♪まっだかな~♪」


 私たちが話をしている間、ナトちゃんは馬車の外を眺め歌を歌っていた。ナトちゃんは馬車に乗るのも初めてだったから、乗る前から楽しそうだった。


「ナトさんは楽しそうですね」

「はい!王都に来た時もそうですが自分の知らない場所に行けるのは楽しいです!村に居たときには知れなかったことが知れるので!」

「かわいいですね」

「思ったことがそのまま口に出てるわよ」


 なんか最近リリーさんの様子がおかしくなることが増えたような気がする……。この様子を見ていたライハさんとウェンさんが、カレンに『リリーに何かあった?』って聞いてるし。


「それでいつごろ着くんですか?イースの里というところには?」

「途中にある村の宿で一泊してからだから……着くのは明日の朝らしいよ」


 王都とイースの里までは結構距離が離れているからね。途中、馬を休憩させながら行くから、一日で着くことはできない。


「そうなんですね!えへへ……なんか旅行みたいで楽しいですね!」

「そうだねー」


 そんな他愛もない話をしていると、馬車が急に止まる。あれ?さっき休憩したばっかだよね?馬車の中に居た全員がそんなことを思っていると、手綱を握っていたルートさんがの声が聞こえてきた。


「…………前から人……けど何かおかしい」

「おん?……ほんまや。なんや逃げてる?」


 私も馬車の外を覗いて見ると、前から冒険者のような服装をした一行が走ってこちらに向かって来ていた。そのうちの一人が人を背負っているけど、よく見ると背負われている人は足を怪我していた。


 冒険者の一行がこちらに気づくと、近づいてきた。


「あんたら旅の人たちか!?ここから先に行くのは危険だ!」

「一体どうしたっていうんだ?その背負っている奴は……あんたらの雇い主か?」


 背負われている人はよく見ると商人のような服装をしていた。街から出ると魔物が道に出ることがあるから、街と街を移動するときの護衛として、冒険者を雇ったんだと思う。この世界の冒険者は異世界ものの話によくある感じの、依頼を受けて魔物を討伐したり、素材を集めたりする職業だ。


 ライハさんの質問に冒険者の中でリーダーの人が答える。


「あぁ、俺たちは商人の護衛の依頼を受けたんだが……護衛の途中、オーガが現れてな。荷物と馬車を置いて逃げて来たんだ……」

「オーガか……」


 オーガは人を見たら襲ってくる魔物で、三メートルある体格と非常に狂暴で有名だ。その脅威度はキメラベアに並ぶと言われている。


「早く引き返して……」

『グオォォォォォォォッ!!!!』


 道の先から雄たけびが聞こえたかと思うと、大きな足音が近づいてくる。やがて道の先からオーガの姿が現れた。ていうかオーガって狂暴化がデフォルトなんだ……。私が言葉聞き取れないしね。


 棍棒を振り回しながらこちらへと迫るオーガ……だが……


「来たぞ……!あんたらも早く逃げ……」


「久々に歯ごたえがありそうなやつが来たぜ……!」

『楽しそうにしている場合かコイツ?』

「…………」

「これって危険手当の金とか出る?」

「ウェンさんにだけは出ないでしょ?スるのが目に見えてるし」


 私たちのほとんどは、()る気であった。オーガ……多分、今日一番不運なのは君だよ。


「ナトさんとマオさんは下がっといてください。私が守りますので……必要ないとは思いますが」

「私も戦えますよ!」

「ナトちゃん……多分過剰戦力だから大人しく下がっておこう?」


 私はナトちゃんと一緒に馬車の中に入る。イースの里への道のりは少し遠そうだった……






アゼ人を要約すると”勉強たのしぃぃぃぃぃっ!!ちょっとお前ら!別の国に行って新しい知識と起こった歴史を調べてこい!”ってなってる奴らです。

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