異常事態
つい声がもれた
この場面、しかもこんなところで・・・
「お、おっさん・・・あれなんだ??」
イルが聞く
「こんな大きな動物この森には・・・」
ニックさんも驚きを隠せずに言う
「逃げよう!!ね!!」
マリアが声を上げる
が・・・
その存在がその場所にみんなを押しとどめる
「タケシさん!!あれ!!なんなんです!!」
ジンが聞いてくる
「・・・熊・・・」
「え??」
「あれは・・・インファイトベアーだ!!」
「インファイトベアー??」
ジンが疑問を浮かべている中
「まさか!!この付近にそんなモンスターがいるはずないです!」
ニックさんが答えた
「いないって・・・でもここに!!」
リオンが答える横で
「みんな!!」
大きく声を出し
「落ち着いて」
声をもとに戻す
今の声でもインファイトベアーはこちらに完全に目線をうつす
その姿は大きく俺の身長より高い
その圧倒的な存在感に押されながら
「みんな、よく聞いてくれ・・・一斉に逃げても確実に襲われる。なら・・・俺が気を引くからその隙に逃げるんだ」
「!!!何言ってるんですか!!」
「そうだ!おっさん!逃げなくてもこの人数なら!!」
「ニックさん、イル、それは多分・・・無理だ」
多分ではなく無理だろう
俺のゲームの記憶が確かなら
このモンスターはもっとあとで遭遇するようなLvだ
一桁で戦うことはまずないだろう・・・
このなかでおそらく最高のLv保持者は俺
他の者と力を合わせたところで
一人一人削られ守りに回り・・・全滅がいいところだろう
なら!!
「いいか!よく聞け!!あれはやばい!!だから生存の確立を上げるためにも俺が前に出るのが一番確立が高い!!わかったか!!」
「「「「「「「・・・」」」」」」
みんなだまったままだが状況から察したのだろう
「俺が合図する、固まらずに後方に散り散りに逃げろ」
「まっ・・・」
「わかったか?」
イルが口を出そうとするのを制して言葉をかぶせる
そのあと体は動く
みんなより一歩前へ
「おい!!」
イルが言うが聞かずに
「いくぞ!!!」
そういって前に突出
「おっさん!!!」
後方で声が聞こえるがそれを振り切り
「いけぇ!!みんな!!」
絶叫した
「おっさん!!!」
「イル君!!行くよ!!!」
どうやらイルはニックさんが何とかしてくれそうだ・・・
うしろで駆け出す足音が聞こえる
だが、意識はすべてインファイトベアーへ向けた
「おら!!!」
たぶん血走った眼をしていただろう
それほど興奮した状態で相手に突っかかる
盾を握りこみそのまま相手に殴りかかる
ガン!!
いい音を立てるが・・・
盾は熊の手にガードされている
「おいおい、器用だな・・・」
そんな軽る口をたたく俺にたいして
ガードした手とは逆の手で横に薙いでくる
とっさに俺も盾とは別の手でガードするが力を受け流すことが出来ず
そのまま横に体を持っていかれる
「ぐぅぅぅ!!」
体がくの字に曲がりその態勢で飛ばされるかに思えた
しかし、インファイトベアーはさっきガードで使っていた手で
器用に攻撃に移してきた
「ごふぉ!!」
もう一度横薙ぎの攻撃を食らう
これには成すすべなくただ攻撃を食らい横方向にそのまま飛んでいった
ドサ!!!ゴロ・・・・
地面に垂直に飛んだあと余韻を残し転がる
「あぁぁ・・・」
声が出ないほど痛い
呼吸ができない
「あっ・・・あっ・・・あっ・・・・」
声が出なく口を開けたまま呼吸をしようと肺を動かそうとするが
臓器がきゅっとしたようにすべてが縮み空気を取り入れたくても
口から洩れてします
まいった・・・・
こればかりは・・・もう・・・
そう思わせるに十分な戦力差
もうすこしLvが低かったら今ので死んでいただろう
しかし、状況は俺が不利なのは変わらない
今現在この状態でここから反撃をして攻撃を当てられたとしても
多分次の攻撃をまともに食らえば俺は終わるだろう
出来ることなら今のうちにみんな非難を・・・
そんな思いを馳せながら立ち上がろうにも体がついていかない
そんなことをしているうちにインファイトベアーはこちらに来ている
どうやら止めを刺しに来たようだ
「はぁ、はぁ、はぁ」
やっと呼吸ができるようになり前を向くそこには
インファイトベアーが立ち俺を見下す
「おわ・・・った・・・・」
最後を覚悟した
シュ!!
ド!!!
鋭く風を切る音と肉に何かかが刺さる音
「グガーーーーーー!!」
インファイトベアーが鳴く
「!?」
何が起こったかわからず見上げる
するとインファイトベアーは振り向き違う方向に動きだした
その足を見ると一本の矢が刺さってる
「タケシさん!!!」
「おっさん大丈夫か!!!」
ニックさん、イルが声を出す
「なん・・・で・・・」
声は届いてないだろうがそこにいることが疑問で仕方なかった
そんななかでもニックさんは矢を放つ
だがインファイトベアーはさっきの一発以外は器用に前ではじく
「おっさん!!逃げるんだ!!」
イルが叫ぶ
「他の奴は逃げたから!!おっさん!!」
イルの叫び声を聞いてなんとか起き上がる
「おっさん!!早く!!!」
その声の中一心不乱に矢を放つニックさんだったが
「イル君!!もう矢が!!」
「マジか!!でも!」
イルがインファイトベアーの動向を伝える
「イル君逃げて!!」
「そんなこと!!!」
二人のやり取りの中、逃げるという選択はなかったしかし
今ただ突っ込んで勝てる程甘くない・・・
考えた・・・
(「狩りをするときは声を立てずに目標に向かっていき止めを刺すことが必要になるので・・・」)
そういえばさっきの一撃・・・あれは・・・・
(「キノコは毒も少ないのでそれほど扱いに注意することはないですが、傷口に入ると倦怠感や嘔吐してしまうかもなんで・・・・」)
これしかないだろ・・・
考えはまとまった
集中力は最高潮に高まり先ほどのように気持ちは高ぶってるが
抑えて二人を助けることそしてあいつを倒すことにすべて注がれてる
近くに落ちていた太めの朽ち木に狩り用の毒を先ほど作っためいっぱいを塗る
そして声を殺して歩き出す
「おっさ・・・」
その声に咄嗟にしっと口に人差し指を立てこちらに声を出さないようにとどめる
その行動を察したのかニックさんが矢の変わりに石を投げる
「この!!」
声を上げなげる石
イルも
「このやろ!!」
そういって石を投げる
しかし、石はヒットしてもダメージにはなってないようで熊はそのまま前に進む
そのなか息を殺して今できる最速でインファイトベアーの背後に急ぐ
さっきのダメージ残ってるせいか歩くたび痛みが体を走る
だがそれをこらえて進む
インファイトベアーの距離がニックさんとイルに近づいてきて二人に危険なラインに入ってきた。
それに心が急いでしまうが、着実に歩きそろそろまずいだろうという距離には
インファイトベアーの後ろにつくことができた
ニックさん、イルはつかず離れずで距離を保って行動し
「こっちだ!!」
「おらぁ!!」
と声を出し注意を引いてくれた・・・
ありがとう
心で思いながら今その時を迎えた
持っていた朽ち木をインファイトベアーの矢が当たった場所
つまり足に向けて振り切った
パン!!!
朽ち木は大きな音を立てて砕けた
しかし、塗った毒部分は見事にヒットした
「グガ!!」
その攻撃に怒ったのか腕を振り回す
ブン!!
頭上を腕が通り過ぎる
攻撃を倒れこむような形で躱す
というより逃げる
倒れた俺を目掛けて足で踏みつけを行なってくるので
それを回転して逃れる
何度も降りおろされるスタンピング
それをただ地面を転がり回転していく
向こうでは石を投げているようだがインファイトベアーは完全に俺を仕留めに来ていた
「おっさん!!おいこら!!こっちにこい!!」
「くそ!!タケシさん!!!」
二人の声が聞こえた
しかし、それよりも目が回ってきた
や・・・やばい・・・目が・・・・
視界がぐにゅとしたとき
インファイトベアーの動きが止まった
「!?」
ついにこの時がきた!!
そう思い立ち上ろうとする
が!
クラ
「あら?」
足がおぼつかない
そして視界が回っていた
「おっさん!!」
「タケシさん!?」
二人が声をかけてくれる
その中インファイトベアーは膝をついて
「ぐぅうぅぅう」
とうなり声をあげる
この時なんだ!!行かなければ!!
ふらふらとしながらなんとかインファイトベアーの後ろに立つ
正直これが最後のチャンス
この状態もたぶん長く続かない
その思いだけでインファイトベアーの首に腕を回す
インファイトベアーはいまだに
「ぐぅぅうぅぅぅう」
とうなり声をあげている
その中、体をインファイトベアーの背中に預けて
腕にすべての力を込めチョークスリーパーをする
「うぅぅ!!!!」
歯を食いしばり全力を注ぐ
「げぇぐぅぅぅるぅぅぅぅぅうぅぅぅぅ」
インファイトベアーから聞いたことない音が聞こえる
さらに追い打ちをかけるべく頭にかけている手のひらを前に押し出すようにして
首に絡めた腕は後ろ方向に力を入れる
さらに締まる力をました腕は相手と隙間がないように空間を消すべく
脇を閉める
すると
「げぇぇげぇぇぐぅぅぅぐぅ!!!・・・・」
その音を残しインターネットの巨体は地面に倒れる
ドサ!!
前のめりに倒れるインファイトベアー
「おっさん!!やったぞ!!おっさん!!!」
イルが喜び近づいてくる
しかし、その手はまだインファイトベアーの首から離れることはない
「おっさん!!!やったんだぞ!?」
いつもなら返事を返しているところだが
このときばかりは反応を返すことなくただ全力でチョークスリーパーをつづけた
するとインファイベアーは痙攣し始める
ビク!!ビクビクビク!
ピクピクピク・・・・ピク・・・・
・・・・・・・
動かなくなった
その時初めて腕の力を緩める
そしてまもなくインファイトベアーは消えた
「おっさん!!大丈夫か!?おい!!」
「タケシさん!!」
二人の声は聞こえていた・・・
しかし、それに言葉で返すことができないほど疲労していた
体中が痛み
腕が痙攣している・・・
今回はこの2人がいなかったらダメだった・・・
感謝を伝えたい・・・
しかし、声を出すことは出来なかった
そっと手をあげて答えること
それしかできなかった・・・




