始まりのあの日
二年半前に、彼らの故郷ローズリング村にやって来た、赤い鎧を身に付けた男性。それが、ブラッディ・エンペラーだった。
突然現れた彼は、自らを『魂を洗う者』と称して村に住む者達に『死の呪い』をかけ、人々の魂の『力の源』を次々と奪っていったのだ。
村人達は抵抗した。だが、対魔霊師達が協力して戦いを挑んでも、全く歯が立たなかった。
『力の源』を奪われた者達の魂は弱体化し、三年で死に至るという。
「わかってんなら話は早い。早く『力の源』を返しやがれ!! 俺達だって好きでこんな仕事してるんじゃねえんだよ」
ケントは拳を握り締める。
ジェシカとクラークは黙って敵を睨む。
「そうかそうか。それは不幸な事だな。だが、あの方のやっている事は正しい。あの方はお前らの汚れた魂を洗って浄化し、新たに清らかな存在として生まれ変わらせてやろうと―――つまり、お前らは死に、あの方の一部となれるのだ。こんな光栄な事はないだろう?」
ジョニーはカッターと鋏を持ち直して走ってくる。
「さあ、大人しく魂をぶった斬らせろ!!」
「生憎とそうはいかないんだよ」
ガチン!!
と、金属音が鳴り響いた。
ジョニーのカッターと鋏が弾き飛ばされた音だ。
「降参しろ。だったら助けてやる」
ケントは冷たく言い放った。
しかし、ジョニーは余裕の表情を浮かべたままだ。
「馬鹿め」
すると、紫の濃い霧がジョニーを包み、彼の姿が見えなくなった。
「はは。怖いだろう。見えない敵というのは」
「そうね。自分の力を過信して周りが全く見えてない馬鹿ってのは」
「!!」
ジェシカが杖で霧の中のジョニーを殴り飛ばした。
「ガハッ!! なぜだ!?」
殴り飛ばされたジョニーは、苦しみながら鋏を開いた。その真ん中には穴があり、そこにカッターを差し込む。
「今度こそ逃げられんぞ。これぞ我が秘宝『斬命丸』だ。この武器の魔力は全ての命を切り裂く」
そして、『斬命丸』から放たれた青白い三日月型のビームは三人を斬り裂こうとした。
が、しかし、
「こんなもん片手で十分だ」
「な、なあっ!?」
クラークか素手で(しかも片手で)そのビームを受け止めた。
ジョニーは焦りを隠せない。
「まさか、貴様ら、あの、有名な『連携型』対魔霊師、“魔女のジェシカ”と“破壊皇クラーク”、そして……」
ケントが剣を持って突っ込む。
「“第三の霊人ケント”か!!」
ズバッ!!
と、ジョニーの体はあっさりと斬られた。




