正当な第一王子2
「そんなわけないよ。キリムドお兄様には今日も会っている」
「え?今日もお会いしている?」
「あーその表現は正確ではないね。お兄様は常に誰かに乗り移っているから、今日あったのはランドルフお兄様に乗り移ったキリムドお兄様だった」
「乗り移っておられる?」
「この頃は、ランドルフお兄様に乗り移っていることが多いよ。キリムドお兄様の姿が重なって見えるんだ。当たり前に見えてしまうからあえて口にはしないけれど、他の人には見えないんだよね」
ランドルフ様との間に起こったことを、私はウィリエール様にお伝えしていない。あの日のランドルフ様は、まさか?
「キリムド様は他にどなたに乗り移っていらっしゃったのです?」
「ルートランお兄様やリドムンドお兄様かな。あとは、そう、ラルズスお兄様とベアラルお兄様に乗り移っていたこともある」
「乗り移っているということならば。キリムド様の肉体は滅んでいるのでしょうか?」
キリムド様が乗り移っているという方々には、私も接触があった。そう、その度に、刺激臭がするのだ。
あの香りが幻覚剤のものであるならば、キリムド様と幻覚剤には何か因果関係があるのだろうか?
「どうなんだろう?僕はキリムドお兄様が亡くなっているなんて、知らなかったから」
ウィリエール様は私とはまた違った眼差して物事をご覧になっているようだ。




