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第十王子との人違い一夜により、へっぽこ近衛兵は十夜目で王妃になりました。  作者: KUMANOMORI


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揺れる心1

 手足の震えを感じながらようやく身体を起こしたところで、ドアが開く音がする。

 床を踏みしめる靴音がした。チョコレートブラウンのマントが翻り、傍にしゃがみ込んできたヴィルヘルム様の姿を見る。


「レイナード様にはまだ、息がある。医務官を呼ぼう」

 レイナード様の脈を確認してから、ご自分のマントを外し、私の上へとかけてくださる。マントの前を合わせて、私は肌を隠す。


 起こった出来事を説明しなければ、と思うけれども、ヴィルヘルム様は首を横に振った。

 分かっているとでも言いたげだ。


「レイナード様からは、度々お誘いをいただいていた」

 お誘い?声が出ずに、視線のみで問いかける。


「かつて護衛についたのをきっかけに、恋愛関係を結んで欲しいとお声がけをいただいていた」

「れ、恋愛関係?」


 ああ、とヴィルヘルム様が短く答えたところで、医務官が到着した。私の姿や惨状を見て、皆息を飲む。


「大丈夫か?」

「一体何が起こった?」

 複数人から声がかかった。血を浴びた素肌が目に入るからだろうと思う。


「浴場につれていく、着替えるといい」

 とヴィルヘルム様に抱えあげられた。この場に留まれば、問い質されるのは時間も問題だ。


 私が無傷であると分かれば、疑いの目は私に向くに違いない。何も分からないままに、投獄される可能性があった。


 私を抱えあげたヴィルヘルム様は、

「ミリアは手足を縛られていたことにする。抵抗できなかった証明になるだろう。お二人は気の毒だったが、ミリアに手をかけてはいけなかった。守護者の力は自動的に発動してしまう」

 と口早に告げる。


 浴場につれていかれた私には、補佐官を通して着替えが届いた。


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