疑惑の第三王子と第四王子2
お二人の視線がこちらに向かい、急に鋭さを帯びる。
そう、その黒いものは恐らく使い魔なのだ。普通は使い魔を見ることが出来ないと、ラドルの件で私は知っていた。
私は思わず口を押える。
「お前はウィリエールの近衛兵か?」
とルートラン様が尋ねてきた。
はい、ミリアと申します、と私は答える。キーリム様は私の答えをじっと見つめ精査なさっているようだ。
「お二人がいらっしゃるとは思わずに、つい大きな声を出してしまいました。申し訳ありません」
目の前をウロウロと飛び交う使い魔の存在が、私の嘘を見破ってしまう。平常心を保とうとする私に、小人があっかんベーをしてくるのだ。それによって、私は視線を向けてしまう。
ルートラン様とキーリム様が顔を見合わせて、私の腕を押さえつけてきた。
「な、何をなさるのです?」
「お前の目に何が見えているのか、聞かせてくれるか?」
お二人で押さえにかかられて、引きずられる形で移動させられていた。図書館には人の気配がなく、見とがめる人はいない。
書庫の奥へと引きずり込まれて、配架されている戸棚に押さえ込まれた。
ルートラン様もキーリム様も細身で、筋肉質な印象はなかったけれど、二人がかりとなれば、さすがに動けない。
「使い魔が見えているだろう?なぜだ?」
「普通に人間には使い魔は見えないはずだ。お前はただの近衛兵じゃないのか?」
正確な理由は分からない。ラドルの姿が見えるのは、ウィリエールの魔法が注ぎ込まれているからなのかもしれなかった。
けれど、それをここで口にするわけにはいかない。
「私は軍神の家系に生まれ育っております。ゆえに、時々、使い魔が見えることもあるのかもしれません」
「嘘にしては適当だ。軍神の巫女に使い魔が見えると聞いたことはない」
と言い捨てられてしまい、取り付く島もない。




