第21話 予知夢は、犠牲を避け、過ちを二度と繰り返さないためのもの。
僕は児墨の身にまとわれた淡い灰色の長袍を見つめた。
まるで雨雲のように、ゆっくりと僕の前まで漂ってくる。
その褐色の瞳には光がなく、顔つきもひどく静かだった。
「僕は深くお詫びする。だが、
六哥は大義のために犠牲となり、国の利益を守った。
二哥も地下で知れば、きっと慰めを覚えるはずだ。
皇帝は国の興亡に責任を負うものだ。
優れた者は先烈の失敗を胸に刻み、その功績に感謝する!」
「江山を奪うために、児墨、お前は……」
「奪う?
奪う!?
もともとこれは皇帝が僕に約束したものだ。
僕はただ、先に自分の取り分を取り戻しただけだ。
それに……もう!
僕を!
児墨と呼ぶな!」
僕は、その褐色の瞳がわずかに揺れるのを見た。
まるで琉璃の瓶が氷の中で曇っていくようだった。
「お前に、どうして翼鷹なんて名がふさわしい?
ふん!
僕はもう児でもなければ、墨でもない。
先帝に賜った名など、かくも滑稽だ!
は......。
僕は蘭夫人に告げるつもりだ。
僕はまもなく、一国を背負って立つ君主になると。
一国の君主を超える功績など、ほかにあるか?
ははは!
新しい名を教えてやってもいい。
どうせ、お前はもう二度と聞けないのだからな。
僕の新しい名は君白だ!
大理寺の裁きはすでに下った。
これ以上苦しめられたいのか、
それとも早くこの杯を飲み干して、
父王たちのもとへ行くか?」
児墨の手にある青銅の杯。
その黒い酒は、僕の目には逃れられない渦のように映った。
「梓談がお前の居場所を知れば、
僕の邪魔になるかもしれない。
そうだろう?」
彼は杯を僕の目の前に置き、
それから手で口元を押さえ、表情を隠した。
どうやら、僕に選択の余地はないらしい。
僕は記憶の渦からはっと目を覚ました。
母后は変わらず経文を書き続けていて、
手の中の墨筆がゆっくりと動くたび、かすかな水音を立てていた。
「加護くん、此方の言うことを聞きなさい。
天禮寺に留まっていても構わぬ。
たまに経文を書き写した後、
皇帝へ送るなり、焼いて祖先へ功徳を回向するなりすればよい。
大典の時だけ宮中へ顔を出しなさい!」
「ご無礼をお許しください、母后。
天禮寺では安全を守れません。
父帝は八年後、母后に白綾を賜ります!」
万道紙の使い手は、自分が死んだ後の未来を見ることができない。
先ほど母后は「最後の未来」と口にした。
だから僕は、母后とこれ以上言い争う必要はないと思った。
「禎家の楠祝は、
塞外へ流されたことを恨み、雪彦一族と結託します。
そのせいで外患が再び押し寄せ、
錦崇は塞外へ赴いた時に襲われ、
二十一にも満たずに……。
僕は見過ごせません、母后!
僕は、
皇帝は国の興亡に責任を負うべきだと認めています。
そして先烈の失敗を胸に刻み、
その功績に感謝すべきだとも思っています。
僕は後悔したくありません。
どうか僕に、すべてを少しでも円満な形へ運ぶため、
力を尽くさせてください!」
「分かりました!
加護くん、此方がそなたを守れぬことを許してちょうだい!」
母后は手を伸ばし、吾を強く抱きしめた。
吾は胸の奥に、わずかな重さを覚えた。
万道紙を焼いてしまった後、
吾はひどく後悔した。
それで住持のもとへ駆けつけ、
どうかもう一枚いただけないかと、心を込めて願い出た。
住持は四十代ほどで、慈愛に満ちた顔で目を細めていた。
「老僧に申してみなさい。
何が寧静であるのか。
縁があれば、万道紙を授けましょう」
そこで吾は母后に別れを告げ、天禮寺を出た後もしばらく考え込んだ。
そして最後には、
才女たちの休憩室へ助けを求めに行った。
その後、吾は一つの物語を手に入れ、
急いで住持に見せた。
すると、老僧の細められていた目がぱっと見開かれた。
何か言いかけては飲み込み、
言葉に詰まったように吾を見ている。
まさか、吾の文章ではないと見抜かれたのだろうか。
「申し訳ありません。吾は勝手に、
校刊に載る予定の作品を持ち出しました。
これは吾が書いた物語ではありません!」
「校刊に載る作品なのですか?」
「はい。ですから、やはり返してください。
申し訳ありません、吾は......。」
「構いません......その......
それは老僧にください!」
住持は何度も呼吸を整え、横を向いてひと息ついた。
それから振り返り、
穏やかな笑みを浮かべて言った。
「この作品が老僧の手元にあると思うと、
老僧は......この上なく心が静まるのです!」
住持は手稿をしまうと、
吾に一枚の万道紙を渡してくれた。
吾は万道紙を受け取り、
少し気まずさを覚えながら才女たちの休憩室へ戻った。
すると侑晴がすぐに寄ってきて、どうなったのかと尋ねてきた。
「君の作品は住持に持っていかれた。
本当にすまない!」
「大丈夫だよ!
六皇子が励ましてくれて、すごくありがたかったし。
八歳の時に書いたあの話、
ちゃんと『人に見せられる作品』に直したいと思ってたんだ。
皇子がくれた案のおかげで、主人公を住持に変えて、
文章も書き直せたし。
住持は何か言ってた?」
「原稿が手元にあると、
これまでにないほど心が静まると言っていた。」
「それはよかった!
第二の主人公を皇帝に変えたから、
話がぶつかるかなって心配してたんだよね。」
「本当にありがとう、侑晴。」
「ううん。やっぱり名前は架空のものにしておくね。
狩犁と益公あたり、
よさそうじゃない?
そのほうが本名を本人に知られずに済むし、
好きすぎて原稿をずっと手元に置きたくなる人がいても困るし......。」
侑晴の顔には、嬉しそうな笑みが広がっていた。
やはり彼女には、才女らしい風格がある。
吾は手の中の万道紙を見つめ、
天禮寺にいる母后のことを思った。
今でも吾の鼻先には、
あのかすかな煎茶の香りが残っている気がした。
予知夢が悪夢だったら、ほんとにかなり怖いですよね……!!
(;゜Д゜)




