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大阪のおばちゃん占い師、異世界に転生しギャルとなる ―運命は変わってへんで―  作者: 川原 源明


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第55話 因縁の再会と、水晶玉が暴く業

 魔族領の最果て、浄化されたばかりの更地に降り立った大司教ザドックと、その取り巻きの貴族たち。


 彼らが纏う豪華な法衣や絹の服からは、王都の権力と富の匂いがプンプン漂ってくるけれど、うちの鼻にはそれ以上に、あいつらの魂から染み出している「どす黒い脂の匂い」が鼻についてしゃあなかった。


 うちは、ヒョウ柄のブラトップを紫のブルゾンの下で整えると、茶色の綺麗なロングヘアを一度かき上げ、腰のポーチから「相棒」である水晶玉をゆっくりと取り出した。


 デコネイルが光る指先で、濁りの消えた水晶を撫でると、そこにはザドックたちの姿やなくて、彼らがこれまで歩んできた「欺瞞と横領の歴史」が、ノイズ混じりの映像として映し出され始める。


「おやおや、静江殿。そんな玩具を弄んでどうしたのですか。まさか、まだそんな怪しげな『占い』とやらを続けているとは。貴女は今や、この地を浄化した聖女。そのような下品な商売道具は捨て、我が教会の威光の下で、清らかな生活を送るべきですよ」


 ザドックは、脂ぎった顔を歪ませて下卑た笑みを浮かべ、うちの持つ水晶玉を蔑むように見下ろした。


 その言葉の裏にあるのは、うちへの敬意やあらへん。この浄化された広大な土地を「教会の聖域」という名目で分捕り、自分たちの利権にしようとする汚い計算や。


 うちはハチミツ飴を口に放り込み、ガリリと音を立てて噛み砕いた。


「大司教さん、あんたの言う『清らかな生活』ってのは、信者から巻き上げた寄付金を、隠し口座に流して私腹を肥やす生活のことか? それとも、自分の失敗を部下に擦り付けて、若手の神官を何人も追放してきた、あのドロドロの余暇のことか? せっかく空気の綺麗な更地に来たんやから、あんまり魂のゴミを撒き散らさんといてほしいわ」


 うちが冷ややかに言い放つと、ザドックの顔が、熟しすぎたトマトみたいに赤黒く変色した。


 「な……何を根拠のない妄言を! 貴様、大司教である私を侮辱する気か!」と喚き散らすが、その瞳には明らかな動揺が走っとる。

 うちは水晶玉を彼の鼻先に突き出し、鑑定の魔力を一気に流し込んだ。


「妄言かどうか、この水晶に聞いてみよか。あんたの背中にはな、あんたに人生をめちゃくちゃにされた人らの『未練』が、びっしり生霊みたいに張り付いてるで。あんたが着てるその高い服も、水晶を通せば、搾取された平民たちの涙で濡れたボロ雑巾にしか見えへんわ。占い師を舐めたらあかんで。うちにはな、隠したつもりでも、あんたの運命の袋小路がハッキリ見えとるんや」


 水晶玉が強烈な光を放ち、ザドックの足元に広がる影が、不気味に蠢き始めた。


 それは彼がこれまでに切り捨ててきた「ゴミ」のような存在たちの怨念が、うちの鑑定魔法によって一時的に具現化したものや。


 周囲の貴族たちは、その禍々しい気配に悲鳴を上げて後ずさりし、測量機を放り出して逃げ惑いよる。


「静江さん、すごいです……。大司教が隠し持っていた『業』が、可視化されている。これこそが、貴女の真骨頂ですね。ただ汚物を払うだけでなく、その根源にある人の心の歪みを暴き出す。これこそが、真の浄化です」


 カイルが魔導書を手に、感嘆の声を漏らしながらうちの横に並んだ。


 アレンも聖水のモップ槍を構え、ザドックたちを逃がさないように威圧をかける。


 「大司教様、静江さんの占いは百発百中ですよ。あんたが王都で何を隠してきたのか、ここで全部ぶちまけて、リサイクル可能な魂に更生してもらいましょうか!」


「お、おのれ……! このような場所で、私を辱めるとは……! 衛兵! この無礼な女を捕らえろ! これは教会の権威に対する反逆だ!」


 ザドックが叫ぶが、彼に付き従ってきた衛兵たちも、水晶玉が映し出す大司教の「真っ黒な内面」を見て、剣を抜くのを躊躇っとる。


 おばちゃんの鑑定はな、ただの未来予報やあらへん。逃げ場のない真実を突きつけ、運命を強制的に「分別」させる審判なんや。


「大司教さん、あんたの運命はな、ここで一度『廃品回収』に出されるべきなんやわ。自分を綺麗に見せるための嘘を全部剥ぎ取って、一から雑巾がけでもして出直しなはれ。この更地に、あんたらの居場所は一ミリもあらへんで。ここはな、自分と向き合って、やり直したいと願う人らのための聖域なんや」


 うちはデコネイルを光らせて、ザドックの眉間にトングの先端をピタリと突きつけた。


 水晶玉の光に照らされたザドックは、もはや威厳の欠片もない、ただの怯えた小悪党にしか見えへんかった。


 魔族領の空は、おばちゃんの鑑定によって、人間界から持ち込まれた最大の「不浄」さえも、ゆっくりと、けれど容赦なく炙り出し始めとったんや。


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