表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/84

もう一人の主人公

 私の記憶の中にある乙女ゲームは二人の主人公が選べるようだった。

 その物語の主人公である私、リリーと、そしてもう一人の主人公の“ロシェ”。

 彼女は黒髪で赤い瞳の美少女だった気がする。


 ちなみに彼女の顔はよく思い出せない。

 私が得ている情報はまだまだ断片的なようだった。

 そう思い出しながら言うとハルト王子が、


「そのおとめげーむとやらの記憶から、ロジェンに関する話は取り出せないか? 婚約破棄の現場はわかったのだし」

「やってみてはいるけれど、手に入れている情報はこう……上手く説明できないけれど、途中、途中が抜けているの。だから断片的にしかわからないし、その範囲では出てこないわ。けれど……もう一人の主人公にはその内会えるみたいなの」

「会えるのか? その“ロシェ”とやらに」

「ええ、でもその時の言葉が『久しぶり』だったから時系列だと、まだあとの方になるとは思うけれどね」


 私はそう答える。

 それを聞いてハルト王子が、


「収穫はなしか。そういえば……リリーの、“聖女”としての能力では、ロジェンを探せないのか?」

「……本当に私が“聖女”なのかどうかは分からないわよ」

「俺は“聖女”だと思うな。その魔法も強力だし」

「それを言ったらロジェンの方が魔法は強力だったわ。そんなロジェンが、崖に追い詰められて突き落とされたのね」


 私はそこでハルト王子と共に深刻な気持ちになりながら、沈黙する。

 今回接触したあの怪物が、思いのほか恐ろしい相手だと思ったから。

 けれどそんな不安を払しょくするためだろう、ハルト王子が、


「しかし、“ロシェ”か。なんとなく音の響きが、ロジェンに似ているな。それに黒髪に赤い瞳なのか?」

「さすがにロジェンが女顔だからって、その“ロシェ”と一緒にするのはかわいそうよ」

「女装して隠れているとか?」

「だったら戻ってこれていそうだわ」

「そうだな……それだと戻ってきているか」


 そこまで話して、それ以上の収穫はその日はなさそうだったので、お互いの部屋に戻って眠ったのだった。


評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ