謎の少女
次の日も馬車に乗り込みさらに進む。
その途中、そこそこ魔物が出てくるようになる。
最近、この辺りで魔物をよく見かけるようになりましたから、気を付けてと私たちも言われていた。
ただそのおかげで山賊たちはいないそうだ。
それに運が悪ければ魔物に遭遇するだろうが、それでも五匹に満たない、そんな話だった。
「でもそう考えても、50匹はいるわね」
「そうだな」
私の言葉に、ハルト王子が答えて切り込んだ。
彼の剣には、対魔物用の炎の魔法が付加されている。
切りつけるたびに次々と消失していくのを見ながら私も魔法で援護する。
ロジェンほどではないけれど、たしなみ程度に攻撃系の魔法が扱えるのだ。
しかも、最近では、“聖女”としての能力があるがために例えば、
「“時間回帰、多重の針は、示すは時の欠片を映す鏡”……“鏡花弁の乱舞”」
同時に私の周りに時計のような魔法陣が現れる。
これを起動させると、一つの魔法が増える。
その文字に示されているように、12個までしか増やせないがそれでも十分だ。
「あとは、この魔法陣が継続する間に無詠唱呪文を使って、攻撃するだけ。“氷の矢”“炎球”」
氷と炎の攻撃を行って、ハルト王子の援護をする。
やっぱり護衛は連れてくるべきだったかなと笑いながら、ハルト王子がそこにいた最後の一匹を倒す。
それで全部のはずだったのだけれど、
「……さらにまた沢山来たな」
「足音がすごくよく聞こえるものね。……私達を狙ってきている?」
「いや、道に沿って走っているというか何かに追いかけられて……」
そうハルト王子が話した所で、すぐそばの森の中から誰かが現れる。
それは私と同じくらいの黒い髪の少女だった。と、
「スーパーで、最強な美少女、ロシェちゃん見参! というわけで、いっけー! 二重詠唱、詠唱省略、“火炎乱舞”“風雅現化”!」
その魔物達に向かって、少女は魔法を放ったのだった。
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