お姫様抱っこ
部屋を出ると、ハルト王子が少し怒ったように、
「遅いぞリリー」
「う、ちょっと追加でいれるものがあって」
そう言い訳するとそこで、ハルト王子が嗤った。
「あまりにもリリーが遅いからこうしてやる」
「きゃあ!」
そこで私は、ハルト王子にお姫様抱っこされてしまう。
気づけばハルト王子の顔が私のすぐそばにある。
幼馴染だったので見慣れていたけれど、こうやって近くで見ると以前よりも大人の……男性のように見えて意識してしまう。
そういえばハルト王子も女性にすごく持てていたなとふと私は思い出した。
でも恋人を作らずによく私達と一緒にいた気がする。
多分まだ、ハルト王子も私たちと同じで“子供”の気分が抜けないのだろうと思う。
その話はいいとして、現在の、私のこの状況はどうだろう?
確かに私がちょっと、こう、追加の荷物を幾つか入れる関係で、手間取っていただけなのだ。
それほど時間はたっていなかったはずなのに……そう思って見上げると、ハルト王子が楽しそうに笑っている。
ときどき私に意地悪をする時の表情をしている。
だがこんな格好なんて、
「え、えっと、一応、私、婚約破棄がされたようなされていないような、そんな状況なわけで」
「よし、だったらリリーをロジェンから寝取ってしまおう」
「じょ、冗談は言っていないで降ろしててよ!」
「そう言われるとこのまま連れて行きたくなるな。よし、そうしよう」
などと言い出し、そばにいたメイドたちに荷物鵜を持ってくるよう頼んでいた。
だがこの状況が嫌な私は、
「い、いいから降ろして」
「聞こえないな~」
「……ハルト王子の恥ずかしい過去をひとつづつ口にするわよ」
「……聞こえないな~」
「だ、だったらこの状態で暴れるから!」
「そうなるとリリーをもっと近くまで抱きしめたほうが良いな」
などと言って私をハルト王子の方に傾ける。
正確には、片方の腕を高くして、より私がハルト王子に寄り掛かるようにされてしまう。
「~~~~~」
「大人しくなったからこれで良いな。さあ行こうか」
などと期限が良さそうにハルト王子が言う。
こうして自分で歩けるのに抱き上げられるという、恥ずかしい思いを私はしてしまったのだった。
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