全てが終わった朝の事
どうやら私は、“ばっどえんどるーと”を回避したようだ。
だが、
「まだまだあの偽“聖女”の仲間はいるようだし油断はできないわね。とりあえず、あの偽“聖女”が惑わしたりできないように、その魔法は消えるようにしておいたけれど……。魔法使いの人たちも意地になっているものね」
そう小さく呟きながら私は、カバンに荷物を詰めていく。
必要なものは一通り昨日のうちに用意しておいたが、更にいくつか入れておきたいものがあった。
ちなみにこの旅行鞄、とても色々なものがよく入る。
「一応婚約者で、幼馴染のロジェンが好きだったお菓子も幾つか入れていこう。生きているみたいだし」
そう私は呟きながらも、思う。
一晩たって冷静になった私の頭の中で、もし生きているのならどうして“戻ってこないのか”が気になる。
あの偽“聖女”の仲間につかまっていたりするのだろうか?
「いえ、それはないわ。あの偽“聖女”はロジェンを“死んだ”と思っていた。仲間なら、捕まえたなら話すでしょうね。もっとも一枚岩ではないというのもあり得るのでしょうけれど」
私は呟きながら考える。
最後の理由はあるけれど、おそらく彼らもロジェンを見つけておらず、そして現在、ロジェンは戻ってこれない何かがあるのは確かだろう。
だから早く見つけてあげないと、と思う。
「ハルト王子も一緒に探してくれると言っているしね。また、三人で遊べて、話せるといいな」
そう呟き私は笑う。
どこかでそれはもう無理なのかもしれない、と思っていたから。
でも、希望が見えた。
そこで部屋の扉がたたかれる音がして、
「リリー、まだか?」
「い、今行く!」
私はそう、慌てて返したのだった。
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