【30】
決して視線を合わせない。話し掛けてくる気配もない。
ただ、常にこちらに意識を向けているのは感じる。
「なぁ、桜ちゃん……」
「っ……」
ビクッとした。
「何か言いたいことでもあるのか?」
「い…いや?別にないが…」
「……」
車内に気まずい沈黙が訪れる。
空気を変えたのはゼロスだった。
「《倶利伽羅》って全員女性というのは本当か?」
「…本当だ」
「不安はないのかい?」
「ん…どういう意味だ?」
「いや、こんな世界だ…男がいた方が心強いだろ?」
車内の空気が、気まずさから緊迫感に変わった。
「お前、私達を愚弄する気かっ!?」
「…………は?…え?」
ゼロスは、何故、桜の怒りを買ったのかわかっていない。
マコトに救いを求めこちらを見てくる。
「(おいおい、俺を巻き込むなよ)」
と思ったが、泣きそうになっているゼロスを放っておけなかった。
「まぁまぁ桜ちゃん。ゼロスも別に他意があるわけじゃない。純粋な興味だよ、興味。なぁゼロス?」
「そ、そうだよ桜さん。女の子だけのギルドで心配してるんだ!もし困ったことがあれば是非《ソー」
「あ…バカ…」
殺気が膨れ上がった。
「フ…フフ、フフフフ。どうやら殺されたいらしいなぁ!ゼロスッ!!」
桜が剣に手を掛ける。
「……え?…なんで?」
再びマコトに救いを求めこちらを見てくる 。
が、マコトはそっぽを向いた。
「(一度、やられなさい)」
「な…ちょ、マコト……。さ、桜さん!誤解だ!ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」




