#8 ギルド登録へ?
森を抜けるとそこは、高くそびえ立つ壁が見えた。
「はい着きました。王都に近き街、ラマサシティーです。」
「それ、ここに来るまでに聞いたぞ。なんでまた言ったんだ?」
「あ〜、何ででしょう?」
ラマサシティーは、モンスターの侵入を防ぐために街全体を石の壁で築かれていて、壁には大きく開いた門がありその横には門番が立っている。
「で、中に入るときに金や身分証は必要ないのか?」
「それも森での移動中に教えましたよね?」
「いや俺も、俺じゃない誰かの為に聞かないといけない気がしてな。」
「非常時以外は、門をくぐる際に、必要なものはありません。よほど怪しい格好をしてれば別ですが。」
そう言ってシャルは俺の服装をチラチラ見てくる。そういや、学校帰りにこっちに来たから制服のまま何だよな。街で金が手に入ったら、服を買おう。
門をくぐると(その際、門番に呼び止められることはなかった。少し不審者を見るような目で見られたけど。)中世ヨーロッパにあるような白い建物が立ち並んでおり、その中で一際大きく目立つのが建物が冒険者の象徴、冒険者ギルドだ。
「結構大きいんだな。ギルドって。」
高さはビル3階ほどしかないがその分敷地の面積が広い。
「そうですね。この辺りは魔物が多く生息いるので、それを狩るため必然的に冒険者も多くなり、それを纏めるギルドも大きくなるわけです。」
そんな話をしながら、俺とシャルは中へと入って行く。
そして空いている受付に向かうと、受付のお姉さんが話しかけてくる。
「こんにちは、シャルルさん初依頼の方はどうでしたか。」
「ゴブリンの群れに遭遇してしまいましたが、この通り大丈夫ですよ。」
そう言って、腕を曲げ、力こぶを作ろうとするが出来ていない。
無いならやるなよ。受付の人も笑ってるぞ。
「ふふっ、それで今回は魔石の売却ですか?」
「はい、それと彼のギルド登録もお願いします。レンさん、預けておいた魔石を出してください。」
「分かった。」
俺は胸の内ポケットから出すように見せかけて、アイテムボックスから一つ魔石を取り出す。
「あれ、あとの二つはどうしたんですか?それにこれゴブリンの魔石より大きくないですか?」
「これはアリから出た魔石だ。ゴブリンの魔石は試したい事があるから取って置く。」
「これがアリからですか?」
「アリからだ。それでいくらで買い取ってくれるんだ?」
受付嬢に査定額を聞いた。
「この大きさですと、5万ゴールドですね。(1ゴールド=1円)討伐ポイントは新しく作るギルドカードを加えておきますね。」
彼女は魔石の代わりに5枚の銀貨を渡してきた。
「次はギルドカードの製作です。この紙に名前と年齢を書いてださい。ルールについてはご存知ですか?」
「知らないな。」
「分かりました。それでは後でシャルルさんに聞いてください。」
「なんで私なんですか。あなたの仕事でしょう?」
シャルルはいきなり振られて驚いている。
「私もうすぐお昼休みなんですよ〜。それにほら、後ろの人たちも待ってますし。」
そう言って、俺たちの後ろを指差す。
俺とシャルルも後ろを振りむくが誰もいない。
「誰もいないじゃないですか。て、あれ?」
そこには受付嬢の姿は無く、手紙だけ置いてある。
『旅に出ます。探さないで下さい。ギルドカードは作っておきますからまた明日取りに来て下さい。宿は「アザラシの寝所」がオススメですね。』
逃げやがった。
「ラマサシティー、ラマサシティー、はっ!?マサr『ストォォプ!!』」