#6 戦いの始まり?
「グギャギャ‼︎」
ゴブリンが俺に向かって棍棒を振り回しながら突っ込んでくる。
だが俺はしゃがんで避け、すれ違いざまに足をかけてやると、ゴブリンはその勢いのまま転び地面と激しいディープキスした。
そこまでダメージがなかったのか、コケにされたのが悔しいのか、すぐに起き上がり俺に向かってめいいっぱい棍棒を振り下ろす。
力任せの単純な攻撃だ。
俺は棍棒を足で受け、上に蹴り飛ばす。
「レベルが違うんだよ。」
上げた足でそのまま奴の脳天に踵下ろしをする。
「グギャ!?」
断末魔を挙げたゴブリンは、魔石を残して霧のように消えた。
もう一体の杖持ちゴブリンが詠唱を終え、野球ボールサイズの火の玉を打ち出してきた。
俺はそれを避ける...ことはせずにたった今落ちてきたゴブリンの棍棒をキャッチし、
「アイテムクリエイト」
棍棒はまるで新品の木製バットに生まれ変わる。
「目指せ!甲子園‼︎」
俺はバットを振りかぶり、火の玉を打ち返した。
打球はホームラン...ではなく、まさかの杖持ちゴブリンにピッチャー返し。
打ち返されるとは思っていなかったのか、紙一重で避けるゴブリン。
しかし、そこに偶然一緒に飛んできたバットが直撃。
「グギャ!?」
顔にバットがめり込んだゴブリンは魔石を残して消えた。
「グギャ!?」
みると、ちょうど冒険者も一体のゴブリンを斬り倒した。
すべてのゴブリンを倒し終えると、彼女が話かけてくる。
「あの〜。」
「すっごく、ノリノリでしたね。」
親指を立ててそう言った。
「ぐおぉぉ!?」
俺は顔を赤面にして唸った。
中様が戦い慣れているように見えるのは、彼が天才だからです。
テイク2
「目指せ!甲子園‼︎」
俺はバットを振りかぶり、火の玉を打った。打球は空高く舞い上がる。
「カーカー」
カラスが何処からか飛んできて、玉を咥えてしまう。
「カラス!てめー、それ持っていくな!返せ!」
夕日に向かっていくカラスを追いかける。
「グギャギャギャ!!」
それを追ってゴブリンも追いかける。
うん、青春だなぁー。(終)