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自費診療
住所不定無職。
それが、いまのあたしだ。
生活保護のことがどうなるかなんて、知ったこっちゃなかった。
ある日、階段で転んで怪我をした。
宿には塗り薬がなく、あたしはヒーラーにかかることにした。
いつものヒーラーを呼び出そうかとも思ったが、なんとなく、本当になんとなく、村のはずれの診療所へ向かった。
「せんせー、生きてますか?」
「おや珍しい、まだ生きておるよ、残念ながらの」
フォッフォッフォ、と目じりを下げる先生。
「なんじゃ、冒険者支援保険にも入っておらんのか。自費じゃの」
「いくらかかるんです?」
「これが、いくらふっかけてもかまわんという規定になっておる」
「やめてくださいよ、傷薬が欲しいだけですよ? 銀貨2枚、それでなんとかしてください」
「仕方ない、おむつを替えてやったこともある仲じゃしのう、銀貨2枚で治してやろう」
先生の手がかざされた打撲傷は、何事もなかったかのように、光の中へと消えていった。




