来栖高校生徒会特異属性対策部 調査レポート 二〇七
来栖高校生徒会特異属性対策部 調査レポート
識別番号 二〇七
優先度評定 A
二〇七は本校在籍の女子生徒に発現する特異属性です。本レポートにおいて、二〇七が発現した女子生徒のことを以降二〇七特異生徒と呼称します。
二〇七特異生徒は顔立ちの整った少女であることが多いですが、詳細な発現条件については不明です。
同時に二人以上の二〇七特異生徒が現れることはなく、また一度二〇七特異生徒が現れてから、次の二〇七特異生徒が現れるまで最低でも三年の期間を要します。
これらは過去の事例に基づく推測に過ぎず、二〇七が今後も必ずこの法則に従うという確証はありません。
二〇七特異生徒本人に二〇七が発現しているという自覚はなく、また外見的、内面的な変化も生じません。これらの特徴から、二〇七特異生徒をその属性が発現する以前に特定することは困難です。
以下は二〇七が初めて確認された一九九六年の事例についての記録です。
六月十八日
一年七組出席番号十八番、■■■■が一年生にして吹奏楽部部長に就任する。上級生の部長候補者が充分にいる中で、下級生が部長に選出されるのは異例の事態であり、何らかの特異属性の関与を疑った生徒会で調査を開始。
六月二十五日
一週間の調査の結果■■■■の言動に対し、畏敬の念を抱く生徒を吹奏楽部のメンバーを中心に多数確認。■■■■が人気のある生徒であることが判明したが、その要因については不明瞭な点が多いため調査を続行する。
六月三十日
■■■■を半ば神格化する生徒が現れ始める。その影響は拡大し続けており、一年生の大半が■■■■を崇拝していることが判明。常識の範囲内における一生徒の影響力を大きく上回っているとして、この事例を特異属性に認定。識別番号二〇七を与える。
七月五日
■■■■を神聖視するあまり、■■■■に声をかけようとする生徒を排除する動きが出始める。教師すらもあまり近寄りたがらないという情報もあり、■■■■は学校内で孤立状態にある。本人の意思を確認したいが、以上の理由により接触は困難である。
七月八日
■■■■を隔離しようとする動きがある。暴力的な運動ではなく、差別的な意図も感じられないが、やはり一生徒に対する行動としては常軌を逸していると考える。生徒会長に対応を求めることを検討する。
九月一日
夏季休暇が明け、二学期が始まったが、■■■■が登校を拒否している。
十二月十一日
■■■■が退学届を提出。これが受理され、■■■■は本校の生徒ではなくなったため当レポートにおいて名前を伏せるものとする。
以上の調査報告から、生徒会特異属性対策部は二〇七を生徒の健全な学校生活を著しく脅かす脅威であるとし、優先度評定Aの最優先対処事項に認定します。
なお、当特異属性の優先度評定を修正することは、第六十七代生徒会の判断によりいかなる状況にあっても固く禁止するものとする。




