25話 デレる大精霊様?!
不毛な女の争いを見ながら...と言ってもさお姉は俺の魂に居るセシルを見据えて喚いているので、傍から見たらさお姉が俺の後ろに誰か居て話してかけているように見えるだろう。
ちょっとシュールかな?と思いつつ時計を見ると
「げっ!?15時じゃねえか?!」
お昼にするには遅いが夕飯の事を考えるなら、今直ぐ食った方が良いだろう。
「とりあえず飯にすっか」
「ふぬぬ...そうね。こんな訳の分からない女の相手なんか止めて、みっくんと美味しいお昼ゴハン食べよ♪」
俺が飯にしようと言った途端、さお姉はみるみる機嫌を取り戻し笑顔になった。
『アナタはコッチなのよ。(リアの事)忘れたの?』
「(うっ!?)飯の後で『却下!』...はぁ...」
「みっくん?ひょっとして、あの女みっくんと入れ代わるつもりなの?」
そして今度は嫌そうな顔になった。だが
「あの女も私と話したいなんて思わないでしょ。耕にぃと代わってもらえば良いわね♪」
そう言って再び笑顔に戻った。
『甘いわね。あの男を利用して旨いモン頼んでやる』
(うあぁ...)
俺は何とか声に出さず、表情も抑える事に成功した...と思う。
『セシル?もうソッチに行っても大丈夫なのか?』
『?...そうね、別に構わないわ』
俺はセシルに同意を求め、早速入れ代わることにする。
「さお姉?とりあえずセシルと入れ代わって良いか?」
「良いわよ。耕にぃと!代わって♪」
なんとなくそんな事を言うだろうなと思っていたら、案の定さお姉が耕助さんを要求してきた。
『期待に添えなくて悪かったわねぇ』
(さっさと入れ代わりなさいよ!!)
そんなさお姉の声が聞こえてくるような気がしつつ、俺は周りを見渡した。
すると
「Mademoiselle Cécile ? Qu'est-ce qu'il y a ?(マドモワゼル・セシル? ケ・スキ・リ・ア?)」
後ろから話しかけられ、振り向くと見知らぬ男性が居た。言葉が分からずどうしたら良いかオドオドしてると
「Serait-ce Monsieur Ishigami ? Ohé ! Claire ! Viens par ici avec Mademoiselle Ria !(スレ・ス・ムッシュー・イシガミ? オ・エー! クレール! ヴィアン・パル・イシ・アヴェク・マドモワゼル・リア!)」
目の前の男性が離れた所に居る誰かを読んだようだ。最初にメイド風の格好をした女性が歩み寄ってきて、その後ろから現れた女の子が「石上〜♪」と嬉しそうに俺を呼びながら駆け寄ってきた。
近づいてくるとクレアだと分かったが、それよりも...
「リア?なんか前に会った時と雰囲気が違わないか?」
「そうかぇ?我は何も変わらんぞ♪歳をとらんからの♪」
俺の質問に笑顔で答えるリアがなんか...可愛いんだが!!!
「よすが良い♪みんなの見てる前で恥ずかしいではないか♪」
て、照れてるぅぅぅぅ〜〜〜〜
心の中でカワイイが止まらないんだが!!!なんだ?!この感情は!?
「もう...全く...心の声は我には丸聞こえなんじゃぞ♪」
照れながら上目遣いで見てくるリアが可愛すぎるんだが!!!
その感情がまたリアに伝わったのだろう。更に照れたリアが俯きながら
「仕方ない奴じゃのう...」
と消え入りそうな声で照れながら言った。
「M-Mais, c’est quoi ça ?! Qu’est-ce que c’est que ça ?! Aaaaahhh !!(ム、ム・クワ・サ?! ケ・スク・セ・ク・サ?! アーアアアアーーーー!!)」
そんな俺とリアのやり取りを見たクレアが驚愕に震え、絶叫したら...リアが同時通訳してきた。
器用な事出来るなと思うと同時に、俺はまた便利な能力だなと一瞬頭の中でよぎってしまった。
だが、俺が反省するよりも早くリアが『気にするな』と念話してきた。
そんなリアを見て、今度は可愛いと思うよりも愛おしくなってしまい...
俺はリアを抱きしめようとしゃがみ始めてしまう。だがそれより早くリアの方が、少し飛び跳ねるようにして俺の首にしがみつきギュッと抱きついてきた。
それを見てクレアがまたも眼を丸くする。クレアだけではない。
騒ぎを聞きつけてやって来たのだろう。赤髪と青髪の青年(名前は確かアヴェイルとカーウィンだったと思う)まで瞳を大きく見開いていた。そして何やら呟いた。
「 Oh, c'est pas vrai... C'est la première fois que je les vois s'entendre aussi bien.(おい、マジかよあの二人が仲良くしてるとこ...初めて見たぜ)」
「 Ah... Ah oui... C'est vrai, en effet. (あ、嗚呼...確かに」
二人が驚愕するのを見ながらも、俺は抱きついてきたリアを抱き上げ感情の赴くまま頬を合わせる。
するとリアも満面の笑みで頬をスリスリしてきた。その瞬間...!!!
「「「Quoi ?! Mais... c'est impossible !! (何だと?!そんなの......有り得ない!!)」」」
そんな仲間たちを余所にリアは通路のある方を指差し
「アッチじゃ!石上よ!!」
と言ってきたので俺はリアを抱きかかえたまま、言われた方へと歩き出す。
そんな俺とリアを戦艇員たちがすれ違う度、一様に驚き目を見張っては
頭を抱えたり、壁に背を押し付けたり...だが俺もリアも今はまだ興奮から醒めておらず...
「ここじゃ石上...いや...」
リアに導かれ食堂にたどり着く。だがそこで急にリアがしおらしくなる。
「どうした?リア?」
俺はリアを椅子に座らせた。そしてしゃがみ込み顔を覗き込みながら、出来る限り優しく微笑みながら聞く。すると
「我も...三歳と呼んでも良いかのぅ...」
リアはモジモジしながら頬を赤らめ囁いた。俺だけに聴こえるように...
「良いに決まってるじゃないか!」
思わずリアの手を取りながら俺は大きく頷いた。するとリアは勢い良く顔を上げて
「本当かぇ!?」「勿論だ!」「三歳ぇ〜♪」
感極まったようにして悦び抱きついてきた。そんなリアを愛おしいとおもいながら、抱きしめ頭と背中を撫でる。
静寂が見守る中(周りに多くの人が居るのに)熱い抱擁を堪能した俺とリアは改めて席に着き...
急に恥ずかしくなってきた。瞬時に俺の思考を読めるリアもおそらく『黙っておれ!!』と言う声に以前までの威厳は感じられない。恥ずかしくなったのだろう、さっきまで頬を赤らめる程度だったが、今は恥ずかしさで紅潮している。
「我にしか伝わらぬと言うに!どうして?!...あぁもう!勝手にするのじゃ!」
もう一度、今度はハッキリと耳に届くよう言葉を口にするも俺がリアを(可愛いなぁ)と思いながら見ているのを自覚し、リアは照れながらそっぽを向いてしまう。そんな所も可愛いと思いながら後ろ姿を眺めていたら...長い耳まで赤くなり
「...?!」(バッ!?)
リアは耳を両手で隠してしまった。俺は頬杖を突きながらボソリ
「可愛い」と呟いてしまう。すると周りに居た人たちが口々に
「「「Chouchou」」」
と言い出し、リアに意味を聞くと
『日本語には無い言葉じゃ!?』
と顔を俯せながら念話で答えてきた。
後でセシルに聞いたら【可愛い子】みたいなニュアンスらしい。
そんな言葉が俺とリアを取り囲んでいた戦艇員たちに使われていたのだと知り、(その言葉は俺にも向けられていて)後で羞恥に悶える二人だった。
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