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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く 最終章《一夫多妻エンドVer.》  作者: 東音


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二人の気持ち

「お父様、お兄様!! 良二さんを呼び出したって本当ですかっ?!

 良二さんをいじめるなら私が相手になりますよっ!!」

「めーよっ!!」


「「「「?!!」」」」


 スミレを抱えたさくらが室内に飛び込んで来て、俺と龍馬さん、遠くで俺達を見守っていた義父とメイドさんは呆気に取られていると……。

 ダダッ!


「さくらお嬢様も、落ち着いて下さいませ!」


「「「「?!!」」」」


 更に権田さんもさくら達の後から駆け込んで来た。


「先ほども申し上げた通り、旦那様は石藤様に叱責などされるおつもりではないと仰っていましたから大丈夫でございます。

 龍馬お坊っちゃまは、何をされるか分かりませんが……」


「ああ。私はただ、良二くんにいじめなどしていないよ。龍馬は分からないが……」


 権田さんの言葉を受けて、義父がこちらにいる龍馬さんと俺に目を向けてそう言うと、全員の視線も俺達に集中した。


「お兄様っ……! 許しませんっ!!」


「ちょっ。さくら、待て! 僕だって石藤くんをいじめてなんか。君も何とか言ってくれ」


 怒りに満ちた表情で迫ってくるさくらを前に、助けを求めるようにこちらを見てくる龍馬さんに、慌てて俺も同意した。


「さくら! 本当に龍馬さんに虐められてなんかいないって」


「では、私との間がギクシャクしている隙をついて良二さんにNTRを仕掛けていたとでもいうつもりですか?! 余計に許せませんっっ!!」


「さくらが何を言ってるか分からないんだがっっ?!||||」

「落ち着けさくら! ステイだ! 俺と龍馬さんは潔白だから!」


 怒りのあまり、よく分からない事を口走るさくらを、俺達は宥めようと必死だった。


「龍馬さんとは平和的にお互いに話し合っただけだよ。ホラ。スミレとあんずにお土産までもらったんだ」



 龍馬さんに貰った紙袋の中身を見せると、今までさくらの近くで俺達のやり取りを目をパチクリさせていたスミレが、目を輝かせて飛び付いて来た。


「「ふわあぁっ!✧✧ にゃー♪ にゃー♪」


「ああっ。スミレちゃんが籠絡されてしまったお兄様、卑怯な手をっ……!」


「いや、だからそんなつもりではっ……」


 猫の人形のおもちゃに夢中になっているスミレに、さくらは龍馬さんをキッと睨み、龍馬さんがたじろいでいるところへ、俺は少し強めに呼びかけた。


「さくら……! その辺で。スミレのいる前でケンカはよくないって」


「はっ、はいっ…! 良二さん」


 言われてハッと我に返ったのか、さくらは赤くなり、謝って来た。


「良二さんに何かあったらと血が上ってしまって、また、私、余計な事をっ!ご、ごめんなさいっ……」


 そう言って、頭を下げる彼女は、俺に嫌われるのを怖がってか、微かに震えていた。


「さくら……」

「……!」


 彼女に今まで針の筵のような思いをさせてしまった事に胸が痛み、小さなその肩をポンと叩くと、彼女は驚いたような表情で俺を見上げて来た。


「俺の事を心配してくれてありがとうな。さくら……。

 それから、今まで変な態度取ってごめん。

 家の中がギクシャクしてしまっていて、それこそ、スミレにもよくなかったよな……」


「りょ、良二さん……。い、いえ! 私の方こそっ。ぐすっ」


 青い瞳を涙で濡らしながら、ぶんぶん首を振る彼女に俺は覚悟を決めて告げた。


「さくら。もう一度ちゃんと話し合おう。俺も正直に自分の気持ちを君に伝えたい」


         ✽

         ✽


 おもちゃに夢中なスミレをお義父さん、龍馬さん、メイドさん達に見てもらっている間、俺とさくらは彼女の部屋で話し合う事にした。


 実は、実家の彼女の部屋に入るのは初めてで、ピンクの色調に、レースのカーテン、可愛らしいアンティークの家具と、実に女の子らしい空間だったが、一番目を引くのは、大きな本棚で、アレな同人誌や濃いピンクな表紙のラノベ、漫画が詰められている様子は圧巻だった。


「うわぁ……。何ていうか、さくららしい部屋だね……(家にある本なんて、ほんの一部だったんだなぁ……)」

「え、ええ……。(良二さん、呆れている……。倉庫にまだ、同じぐらいの量の本があるなんて、とても言えない……)」


 ソファに座り、遠い目で部屋の感想を述べる俺から、隣のさくらは気まずそうに目を逸らした。


 育児でてんてこ舞いになっていて、さくらがBL趣味について俺に話す事も少なくなっていたけれど、改めて彼女の趣向を思い出し、可笑しくなってしまった。


「ハハッ。でも、好きなものに真っ直なさくらが俺は好きだよ?」

「良二さん…!///

 わ、私も、優しい良二さんが大好きです…!」

「さくら……」


 真剣な表情で愛を伝えてくる彼女からは、1ミリグラムも嘘をついている様子はない。


 さくらと再会してから、今まで一度も彼女の愛情を疑った事はなかった。


 一夫多妻制の婚姻のお願いをされるまでは……。


「それは……、誰かと共有出来る好き……なのか?」


 寂しいような気持ちで聞くと、さくらはすぐに否定した。


「いえ。独り占めしたい好きです。けれど、香織さんだけは例外です。

 私は良二さんと香織さんが結ばれていて、そこに横恋慕している立ち位置だとずっと思っていましたから。

 お二人の幸せを壊したくないという思いの他に、一夫多妻制の婚姻がもし許されるのなら……という気持ちもどこかにありました。」


「さくら……」


「だから、反対の立ち位置にいる今、香織さんの気持ちが痛い程よく分かるのです。

 私への愛情がなくなるのでないのなら、受け入れられると思いました」


 真摯な眼差しでそう語るさくらに、俺は今まで感じていたわだかまりが解けたような気がした。


「さくらの気持ちはよく分かった。今度は、俺の気持ちを伝えるよ」


「は、はいっ」


 さくらは緊張した表情で、膝の上に添えていた手をギュッと握り締めた。


「俺もよく考えてみたけれど、……やっぱり、伴侶として思い浮かぶのはさくらだけだし、君だけを愛していたいんだ」


「良二さん……」


「香織に対しては、高校時代の彼女への追憶や、幸せにしてやれなかった後悔のような気持ちはあるけれど、今の彼女を好いているわけじゃない。


 だから、君の思うような関係は結べないと思う」


「分かり……ました……」


 肩を落とす彼女に、俺は続けた。


「ただ、もし、少し違った形でも、彼女の助けになるのなら……」


「??」


 さくらはパチパチと青い瞳を瞬かせて、俺の言葉を待っていた……。

*あとがき*


 いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m


 今後ともどうかよろしくお願いします。

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