今後の進路を決めました。
そしてさらに数日が経過。
いまだに元の体に戻れる気配はない。
ふと思い出したのは寝るちょっと前の会話。
「詩織さま。クッキーをおひとついかがですか?」
「食べる食べる食べるー!」
「ひとつだけですよ。寝る前ですから。」
?じゃあなんでくれるの??
首をかしげれば彼女は少し困った顔をした。
……………最近、お嬢さまの元気がないように思えますので。
あ………………
…………いけないと思う。わたしは本当の詩織じゃないんだから、こうやって騙しているのはよくないと思う。罪悪感が胸を締めあげる。
けれど。
だけど本当はわたしはこの状況をけっこう楽しんでいたりする。
いくら悩んでもわからないことが多すぎた。
しおりちゃんのことなら大抵わかる。それはひとつの情報としてわたしの中にある。でも。
深雪の………本当のわたしの記憶はない。
わかっているのは、詩織ちゃんの身体の中に深雪がいる。ただそれだけ。
ああ。それともうひとつ。深雪が十五歳だったということだけ。
そんなんじゃ、いくら悩んでもしょうがない。情報が足りなさすぎる。
すべてが仮定で………そんなんで正しい答えが見つかると思えなかった。
だから考えを変えた。
もしこのままもとに戻れなくても、もし、詩織ちゃんがわたしの本当の身体に入ってたとしても、ーー想像するとかなりヤバイが))だって五歳児が!高1の身体ん中にいるんですよ!!ーーそれはこの際横においといて。))だって想像しても状況は変わんないわけだし??
転生したんだよ☆うん。きっとそう。
って思うことにした。
そうすれば多少は気がはれた。
そう。転生したんなら、五歳のかわいい女の子を親元から引き離したんじゃない。この子は元々わたしだったんだよと、そう思うことができたから。
わたしの本当の年のこと思い出したし。
またなにか思い出すかもしれないし。
そうしたらもとに戻るかもだし!!
それに開き直ったこともある。
なんとゆうか、すごい現実的でがっかりなんだが。
せっかくお金持ちの家に生まれたんだから、それを堪能しよう!
習い事とか!!食べ物とか!!
ああ。
でも念のため、この家から追い出されたときの生き方も学んでおかないとっだよね!!
よし!!
今日からわたしは富豪家の令嬢。
でもって一人でも生きていけるように力をつける!
目を閉じてもう一度開くと今まで薄闇の中に沈んでいた世界が明るく光っていた。
朝だ。日がのぼったんだ。
見知らぬ世界での生活!どうなるんだろ………。
太陽に手のひらを向けると、不安と希望とたくさんのキラキラがこのさき待っている、そんな気がした。
あれ?わたしってほんとの両親も覚えてない!?どころか向こうの友達も!!
………今んとこ、未練はないよなぁ…。詩織ちゃんのパパママやさしーし。親不孝かなぁ