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3話 勇者の頃は。

 

 つってもよ。愛されてなかった訳じゃねーと思うんだわ。単に、ボタンを掛け違えただけで。

 何の話かって? 俺が勇者と呼ばれるまでの話だよ。結局、それは結果論。


 俺の母親は魔王と呼ばれていたけどよ、それも仕方がないと思うんだわ。

 話が見えない? うん、そうだな。少し説明してやらんとなんないな。


 魔王ってなぁさ、単に人類の敵に対する称号なんだわ。要するに、悪い奴だから、皆で倒しましょうっていうラベル貼り。

 悪いってのは、都合な。アレは倒さないと、お前達だって不利益あるぞ。みてーなもん。


 なんで魔王なのかって? そりゃ、単なるお約束なんじゃねーのかな。

 イメージ、湧きやすいだろ? 

 自分達とは違うやつ。そのほうが、殴っても胸も痛まないじゃん。

 だから本質的には善悪もないし、利害調整の結果でしかないんだわ。


 で、俺ん時の魔王。つまりは俺の前世での母親ってさ、聖女だったんだわ。俺を産む、何年か前までは。

 聖女がわかんない? まぁ、そこも説明しないといけないんだろーが、多分長くなるから簡単に。


 すげー強い女とか、便利な能力のある女とかかな? 多分、そんだけ。

 たまに素質があんのが見つかって、色々頑張ってなるんだと思う。


 修行とかもあったんじゃねーかな。聖女じゃねーけど、俺なんかもしたし。

 うん。なんもしないで、都合よく強くなれるヤツなんていねーよな。そういったもん。


 だから、聖女とかってば国の宝なんだろな。

 金も時間も手間もかけてるし。

 で、強い。真面目な話、国一つくらいなら単体で落とすよ。大事にするよな、普通。


 勇者は称号だから、魔王みたいなもん。

 みんなにとって都合の良い事をしたから、勇者なんだよな。


 で、なんで魔王にかって? それはわかんねーけどさ、色々あったんだろうよ。多分な。

 つまり、すげー手間暇かけて作った強いのが、人類に都合の悪い存在になっちまったから、倒さなきゃいけなくなった。そんだけの話。おわかり?


 え? 可哀想? なんで? ああ魔王が魔王と呼ばれた理由を知らないなら、そうかもな。

 単体でも国一つを滅ぼせる様な魔王は、沢山の子供を産み続けましたとさ。

 その子供達の主食は人類です。もうこれだけでも、充分だろ? 


 え? 俺は人類だし、人を食う理由もねーな。食いたくもねーし。

 そ、聖女の産み続けた子供は、人類じゃなかったんだわ。だから人も食うし、結構強い。


 んーでまぁ、産みの親でもあるし、その不始末は付けてもいーかなってな。

 だから、殺したよ。

 もっと説明して欲しい? 仕方がねぇなぁ——。




お読みいただきありがとうございます。

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