ダウジング・ヒーロー
「ジャスミン、もういいから。いっしょにあそぼ?ね?」
ああ、僕の罪を君は許してくれるのか。君を、傷つけた僕を。
* * * *
「ただいまー。」
こんな、こんな普通の言葉に安心する日がくるとは思ってもみなかった。僕は、ベニがいなくなるかもということがなぜだか本当に怖かった。理由は・・・わからない。
「大切ってなに?妹として?娘として?ペットとして!?私の想いも・・・私の気持ちもなんもわからないくせに!知らない癖に!!!簡単にそんな言葉使わないでよ!」
違う!本当に大切なのだ!!ベニのことは妹とも娘ともペットなどとも思ったことはない!それに、僕はベニの気持ちをわかっている!!ベニは僕のことを・・・僕のことを・・・なんだ・・・?わからない。わかっているのだ。なのに、わからない。いつか、わかる日もくるのだろうか。
「ジャスミン先輩はベゴニア先輩のことが大好きなんですね。」
芋ようかんをヒメユリさまと作っていると不思議なことをヒメユリさまは言い出した。
なにをおっしゃるのですか、ベニは幼馴染の腐れ縁・・・・本当に?この縁は僕が無理やりつないできたものではなかったか?
「ふふふ。」
ヒメユリさまの言葉を慌てて否定するも、なぜだか笑われてしまった。お土産に一つ僕たちがつくった芋ようかんを頂いた。ベニと一緒にたべよう。
「だって、幼馴染は一番じゃないもの。彼女とか彼氏とかが出来たら・・・・その人が一番でしょ?だから、幼馴染を一番みたいに扱うのはダメだよ。」
そんなことはない。だって、僕にとってベニが唯一無二なようにベニにとって僕は唯一無二の存在のはずだ。それに、ベニにとって僕以上の存在など存在しないだろう?だって、ベニは・・・・。
「ジャスミン!!?どうしてここに!!?」
・・・・きっとベニはさっきまでシレネといたのだろう。それに関してはかなり癪だが、この際目を瞑ろう。そして、ベニとのお茶会を楽しもう。ここのとこずっと一緒に行動していない。昔はずっと一緒にいたのに・・・・。
「ねぇ、ジャスミン先輩は私のことが好きだっていいますよね?だったらどうして、ベゴニア先輩のことしか話さないんですか?」
とある日、ヒメユリさまがおかしなことをいいだした。ヒメユリさまはなにをおっしゃるのか!このジャスミンはベニの前ではヒメユリさまのことしか話していないのですよ!・・・・・ベニの、前では?
「ジャスミン!!!?・・・・と、ヒメユリちゃん!!!?」
ヒメユリさまとカフェに立ち寄ると、なぜかベニがいた。・・・・あとシレネ。デートでもしていたのだろうか。僕は、シレネのことを嫌いなわけではない。だが、ベニには近寄って欲しくない。恋人になるなどもってのほかだ。なぜかは・・・わからない。僕に負けず劣らずの美青年だし、様々な才能に満ちている。ベニが彼と結ばれれば必ず世界で一番幸せな花嫁になることだろう。きっと、ベニはシレネだけを見つめて
・・・・ベニにとってシレネが一番になって・・・・。
ああいやだ。僕は頭をふってそんな悪夢をふりはらった。
「ずっとずっと!!ジャスミンのことが・・・・好きだった!!恋してた!!・・・・でも、もう・・・・無理だ。」
・・・・・・・・!!!?
告白を、された。そして、ふられた。僕は、どうすればいい。いや、告白されたことに関しては驚いていない。なぜなら・・・なぜなら・・・?
もしや、僕は利用していた?ベニを、ヒメユリさまを?僕は、ヒメユリさまを愛していたか?本当に?僕は、たしかにヒメユリさまへの恋をたのしんでいた。悦しんでいた。僕は、好きで好きで仕方なかったのだ。なにが?時々見せるベニの・・・・ベニの・・・・嫉妬する顔が。まるで、ベニからの愛が・・・僕からベニへの愛と同じくらいになるような気がして・・・。
なぜ、僕は忘れていたのだろう。ずっと昔から・・・ベニが覚えていないほど前から僕は君に恋をしていたのに。
「は?僕に相談するのやめてよ。シレネのところにでも行けば?シレネだったら居場所も知ってるんじゃない?」
旧友はつれなく僕に返答する。これはもう一人のもとに行っても無駄だろう。やはり、シレネしかないか・・・。
「・・・・あなたの幼馴染?それだったら僕の幼馴染とどっかいっちゃったわ。一週間恋人ごっこですって。ふん、どこの少女漫画よ。」
シレネのもとに行けば、シレネは外を見つめながら一人で煙草をふかしていた。やはり先ほどまでベニがいたらしい。どうやら、不貞腐れているようだ。まぁ、あんなことをしていたのだから幼馴染にも逃げられて当然だと思うが・・・・。それは僕も同じか。
* * * *
「見つからない・・・・。」
どこを探しても見つからない。占いの結果、今日はショッピングモールに来ている。なにが悲しくて一人で・・・・。いやいやいや、これもベニのため。
「あ。」
なぜか、ベニの声が聞こえた気がした。
* * * *
「ね、最後に・・・・アレ、乗らない?」
・・・・・・ああ、やっと発見した。夕焼けのなか、二人の少女が観覧車に向けてかけてゆく。こうなることが占いで出ていたので、近道をみつけていた僕は二人のすぐ前の観覧車に乗ることができた。この近さだったら、風を上手く使って音を盗み聞きできるだろう。
「このまま・・・本当に付き合っちゃわない?」
・・・・・・ああ、やはりこうなるのか。
「・・・・・・いいよ。」
・・・・・・・・。
「・・・・あの、ね。この観覧車の頂点でキスしたカップルには永遠が約束されるんだって。だから、さ・・・・。」
・・・・・ああ、馬鹿だ。僕を捨てたベニに永遠なんてないのに。
5
どうすれば、
4
離れた心を取り戻せるのだろう。
3
でも、もう・・・・僕とベニは・・・・・。
2
ふと、ベニと目があった。これで、どうするべきかわかった。どうしても、戻ってこないのならば、、
1
無理やり奪うのみ。
パリンッ パリン
後ろのゴンドラが壊れる音がした。それと同時に僕の乗っていたゴンドラも壊れた。勿論これは僕が風を使ってやったことだ。
「うわあああああああああああああ!!!!!!!!」
叫ぶベニを少し高いところで浮きながら眺める。少し可哀想だが、これからのことを考えればむしろ心が浮き立つ。さぁ、世界よ。僕らのための未來へ。
* * * *
「え、いや、私は、友人の付き添いで・・・・。今、その友人が・・・・トイレに行ってまして・・・。」
記憶を失い、別人のように振舞いながらも変わらないベニの言動に僕は陶酔のような感覚を味わいながら目を瞑る。ああ、楽しかったな。なんて、こんなことをしている場合ではなかったか。
【・・・・それでは、お先にお入りください】
さぁ、ベニ。久しぶりの再会を祝おうじゃないか。祝うといっても最初は奪うことになるが・・・君だったらなんでも許してくれるだろう?あのときのように。




