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夢売り屋  作者: しもつき
1/5

1話 私は

初投稿です。初心者です。うへへ。

こわくないよー。





目が覚めると薄暗い場所に居た。


とりあえず周りを見ると、壁も床も天井も、形がばらばらの石で出来ていた。

後ろからザーザー、と耳障りな音が聞こえる。

振り向くとテレビがあった。


いや、テレビというと可笑しいか。

祭壇、というべきだろうか、そのような気がした。

しかし、どちらにしろ可笑しいのには変わりない。

何故ならその祭壇はスクラップの様な物が集まり出来ていたのだから。

そしてその真ん中・・・ちょうど私が座ったままで目の前に来るところに、画面があった。

ザーザー、耳障りな音を垂れ流しながら、その画面は砂嵐を写し続ける。


こわい、ここはどこ?出られるの?

何も出ないよね?誰も、いないよね?


頭がぐちゃぐちゃになりながらも、何とか冷静になろうとした。

落ち着け、落ち着け私。

・・・ふぅ、焦ったって何にもなんない。

よし、まずは部屋の観察だ。


状況は、さっきから変わらない。


石で出来た薄暗い部屋。体勢を整え見渡す。

石の形はばらばらとは言っても、総じて長方形っぽい。

そこに大小様々な穴が開いているだけで、色は、くすんだ白や黒っぽいのから茶色っぽいのまで。


祭壇、画面、砂嵐。立ち上がってみる。

アナログテレビをそのまま広げた様な枠の周りはガラクタ、スクラップ。

その端からは何なのかわからないコードが突き出して、それが切れてたりする。

中身の銅線が出てたりしてて危ないな・・・。

後ろの方は・・・ちょっと暗くて分からないな。


さて・・・出口を探してみよう。

祭壇のところは・・・ちょっと危ないので今はやめとこうか・・・。

石のところを注意深く観察してみる。

引っ張ってみて・・・抜けない。

穴に指を・・・何も起こらない。

うーん。


よく分からないので出口の件は保留、と。


じゃあ・・・私のことか。

ここに来る前を思い出せ。

・・・・・・全く!思い出せない!


何が原因だろう。

異世界に行きたいとか思ってたからかな。

・・・私は、何がしたかった?

つまらない、毎日。

イジメを受けている訳ではない。喋る人だっている。

ただ、つまらなかった。

誰かに相談なんて出来ない、けどそれは多分私の問題。

華族だって信頼出来なかった、何故か。

学校なんて嫌いだった。

人間なんて、嫌いだった。

汚い、汚い世界が、嫌いだった。

でも、一番汚いのは、そんな私だろう。

嫌い、嫌い、大嫌い、こんな世界なんて、サヨナラしたい。

死にたいんじゃなくて、生きていたくない。

飽きた世界、そうだ、私は違う世界に行きたい。


・・・ガサガサ。

テレビから遂に砂嵐が消えた。

写ったものは、木、草。木の葉が擦れる音。

何だこれ、爽やかだな・・・。

あれじゃないよね?自然の動画を見てたらいきなり怖い画像に変わるっての。

怖いのでちょっと視線を外して、画面を目の端に。


・・・私は。怖がりだ。

お化けとか痛いこととか苦しいこととか、怖いし。

そんな性格だから、嫌いな世界から逃げられなかった。

つまりは自殺なんて出来なかった。


・・・ガサガサッ!

画面の中の草が動いて何かが出てきた。

それは、RPGによく見る、スライム・・・と言うべきような見た目だった。

すると画面がズームアウトし写った、これまたRPGみたいな、鎧を着た人。

そして画面は回転し、その人の顔が見え・・・。

私?

鎧を着て私の顔をした人はそのままスライムと戦う。

剣を使い、魔法みたいなものを使い。

・・・呪文を唱えた声は、確かに私の声だった。


そっか、思い出した。

私は・・・死の恐怖なんてもういいやって思って・・・堕ちたんだ。

高い建物の、上から、飛び降りた・・・。

そっか、そっか。

私は、元の世界とは違うところに来れたのかな。

画面に写ってるような、ファンタジーな世界に、行けるのかな。


・・・地面が、揺れた。

何、なに、ナニ?

がらがらと崩れる天井、揺れ続ける床。

どうしたの、こわいよ。

上を見ると、私に向かって崩れてくる天井が見えた。


消える、セカイ、私、サヨナラ。

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