エピローグ
とある日曜日の事。
玄関を開けると、そこは地獄だった。
「噂で聞いた生徒会長のお気に入りってのは遠坂の事だったのか……。」
「噂、ね。僕と彼女は生徒会ではすでに公認の仲だよ。知らなかった?」
「つか、先生が女生徒の家を個人的に訪ねるとかヤバくねぇんスか?」
「おー、抜かりは無ぇぞ。試しに学長にチクってみるか?ん?」
「私はマイさんのママさんモ公認の婚約者デスよ!」
「黙れ!トーサカは我のものだ!!」
あまりの光景に一瞬立ちくらみを起こしそうになったが、何とか堪える。
とりあえず、この騒ぎを収めるべく私は大きく息を吸い込んだ。
「……っう・る・さぁぁぁぁい!近所迷惑でしょうが!!」
その声に全員ピタリと会話を止めて私を見る。
深くため息をついて、私は一人ずつに声をかけていった。
「横田会長、平気な顔で嘘をつくのは止めて下さい。」
「やだな、遠坂さん。僕は嘘なんてつかないよ。」
「田崎君、何でここにいるの。」
「あ、いや。俺はたまたま通りがかっただけだ。」
「やっべー!舞先輩って、超モッテモテなんッスね!!
しかも全員レベルくそ高ぇんスけど!うっは、マジやべー!
俺、何気にピンチじゃねッスか!?」
「……。」
「坂下先生、今日は手伝いは無いように伺ってましたけど。」
「ん?あぁ、無ぇよ。
たまにゃあ礼でもしてやろうかと思って来たんだが……なぁ?」
「カミーユさん?私がいつ貴方と結婚の約束をしましたか?」
「う……。でモ、ママさんが~……イエ、ゴメんなサイ。してまセンでシた。」
「でん……竜輝くん、何度来られても私は貴方と一緒には行けません。」
「嫌だ!我はトーサカがよいのだ!諦めなどせぬ!」
「明らかに待ってたくせに通りがかっただけとか、ツンデレ属性スか?」
「はぁ?どういう意味だ、そりゃ?」
「学校ノ教員が休日にマデ何の手伝イを頼むと言ウノです。
モウ少々立場ヲ考えラレてハ?」
「あん?余計なお世話だ、外人野郎。
……それよりお前、本当に人間か?」
「ねぇ、ボク?我がままを言って彼女を困らせちゃいけないよ?」
「ハッ、貴様程度の男がトーサカに本気で相応しいとでも思っておるのか?
笑止な。」
うがああぁぁ、もぉぉぉおお!!
もうやだ、こいつら!こいつら、もうやだ!
誰か私に平凡人生プリィーズッ!!!
※キャラクター補足
横田会長…最初は単なる興味本位だったが、一緒にいるうちに本気になってしまった。
困らせるのは楽しいが、泣かれたりすると一気に弱くなる仮性S。(舞限定)
田崎…普通に(いっそウザそうに)接してくれる彼女の事が気になって仕方がない。
振り向いて欲しいのに、好きなことを知られるのが恥ずかしい思春期くん。
植原君…彼女の意外な潔さに漢を見出し、心底傾倒している。
ドM体質で、最近はスルーされることにすら興奮を覚えるようになった。(舞限定)
坂下先生…彼女の真面目な性格と、いじりがいのある反応が気に入っている。
会長と違い、泣かれたりすると逆にムラムラしてしまう真性のドS。
カミーユ…面倒くさそうにしつつも、ちゃんと相手をしてくれる彼女が好き。
完全に異種族でありながら、軽々とその壁を越えてしまった変態。
竜輝くん…無欲さとまっすぐな気性を持ち、自分を特別視しない彼女に惚れ込む。
子供でいることに慣れすぎたのか、言動が少々幼稚化傾向にある。