次なる目的地へ
ケイオスとレイラを先導するガレオ、その態度は出会った時と同じ飄々とした掴み処の無い。
レイラはそれを警戒しケイオスは特に何も気にしていない。
(…いつもの俺だったらこんな有様やってられねえって隙を見て逃げ出す以外考えちゃないだろうな)
だがガレオは今胸の内に久しく感じていなかった感情を抱いていた。
様々な感情だがそれは暗い物ではなくむしろ希望だった。
(かつてどうしようもなく欲しかった時に無かった物が、全て無くした今転がり込んで来るとはな)
※
それは出会った当初、山道でひとまず協力するとなった時の話、ガレオは遠回しにケイオスの情報を探っていた。
「そういや、ちょっと気になってたんだがよ」
世間話のような軽い口調で、ケイオスに尋ねる。
「アンタ強いだろ?強くなるためにやっぱ何か特別なことでもしてんのか?」
「強くなる方法?」
ケイオスは少し考え
「ぱっと思い付く方法はあるな、というか俺はそれしか知らない」
「へえ?どんなんだい?」
「…うーん」
答えあぐねるケイオスを見てそれはそうだろうとガレオは思う。
そんな強さを得れる方法をそうやすやすと教える訳が無いと。
「俺も検証したい所なんだけど…まず適度な奴に適度な相手を用意しないといけないし…ヒーラーもいないし…ポーションは貴重だし…うーん…まあ…俺一人じゃ少なくとも今は無理」
呟く言葉の意味はほとんど解らない、だが一言も逃すまいと耳を澄ませつつガレオは拳を心で握っていた、かつては才ある者として活動していた時期もあった、今でも相当な強者の自負はある
(それでも…いや、だからこそ俺はもっとどうしようもない上がある事を知っちまった)
自分以上の強者、さらには宝具、遺物、様々な言い方があるが貴重な装備を使う者。
自身の努力ではどうしようもない壁に当たりソレにぶつかっても乗り越えられず、やがて楽な方へ流され落ちぶれて裏の社会に落ちて結末が未だ。
(そう、今だ、流れに流されたまま…こんなチャンスを掴んだ)
これから案内する場所についてガレオの話に嘘はない。
獣人が集められ送られていく場所も、その経路も確かに知っている。
だが言われるがまま従うと言う気でも無い、態度の裏には冷静な計算があった。
「……なあ」
思わず声をかけかけたが、ガレオは飲み込んだ。
(まずは信用を取る。それからだ)
かつての自分も当然強さを求めていた。
だが、ただの冒険者に過ぎなかった自分には、そもそもその先にある情報へ触れることすらできなかった。
一線を越えた強者や強力な遺物の情報の多くは権力者や一部の有力者が独占している。
どれだけ腕を磨いたところで身分がなければ知ることすら叶わない世界だった。
この出会いだけは今までのように流されて終わらせたくない。
ガレオは何食わぬ顔で歩き続けた。
その胸の奥では、長く燻っていた欲望が、再び火を灯し始めていた。
短いですがここでいったん〆ます、次回はケイオス一行が移動してる間にちょっと外伝をしますのでその分そちらが長くなります。




