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乙女ゲーヒロインにおとされるのを待ってたら、エロゲーの主人公におとされました  作者: KUMANOMORI


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暇してる

 パンパカパーン。

「【全年齢乙女ゲーム:マジカルアカデミー】ヒロインのミトリが獣人クルルスとのトゥルーエンディングを迎えました~!」

 と何度となく聞いたアナウンスを、トリスタンの厩舎で聞く。


 はぁー!とため息をつきたくなるけれど、もうそれすら面倒で、トリスタンの黒い鱗を撫でる。トリスタンは短く鳴き声をあげた。


「また、クルルスだ。好きだなぁ、ミトリは」

 とオレはトリスタンに話しかける。

 この頃はトリスタンとの遠乗りに日々の時間を費やしていた。


 これにて、十二度目のエンディングを迎えたクルルスには羨望のまなざしを向けるしかない。


 エンディングでクルルスに対して、恋の鞘当てのような演技をして、隙があればおれがミトリを奪ってしまうよ?と言う類いのセリフを言えば、オレの今回の出番は終わる。


 いや、未来永劫奪えねぇし、と思いながら、選ばれなかった当て馬キャラとしての最後の一幕を演じるのだ。


 クルルスとの民族戦争レベルの困難を終えたふたりは、クルルスの故郷の集落に帰るらしい。ミトリは獣王を支える妻になるようだ。


「クルルス、ミトリを大切にしなきゃ、オレが奪いに行くからな?ちゃーんと護ってやれよ?」

 と今回は王道っぽいセリフにしておく。


 クルルスではなく、ミトリがギロリと睨みつけて来た。


「ごめん!ミトリ。オレが嫌いなのは分かるけど。もう出てこないんで、勘弁してぇー」

 と心の中で思うのだ。


 二人はエンディングを迎えて、半獣人の子を何人も産んだらしい。


 「ハッピーエンドおめでとう」

 と書かれた学内の掲示板を見て、今度こそ、はぁぁぁーとため息が出た。


「ひまだぁぁぁー!」


ヒロインのお好みは?


【マジカルアカデミー】通称【マジアカ】のヒロインであるミトリの好みは獣人一択だ。


 全ストーリーをクリアして、大団円やら隠しルートやらを取りきってくれるつもりはないらしい。

 よって、事実上選ばれないルートである、竜騎士ラウリィルートは破棄されていた。これがすなわち、オレのルートだ。


 エリートコースの竜騎士で、ヒロインの先輩にあたる。女にモテて、アカデミーの成績もいい。いわゆる遊び人キャラだが、ヒロインのお眼鏡にはかなわない。


 ヒロインは現在、ミトリという名前をもらっている。前ははるやすみだったし、その前は雷電だった。ノーネーム、アンノウンの時もある。


 このミトリはオレが好きじゃないらしい。

 栗色の髪を肩までのばした亜麻色の瞳と、桜色の唇を持つ愛らしい少女は、調合師志望だ。

 アカデミーでほとんど接する機会はないが、上級生に絡まれているときに、オレがかばうかたちで出会った。


 が、ミトリは最初にその出会いを経験した後で、手を掴んで逃がそうとしたオレに、

「気安く手に触れてくる軽い人は、好みじゃないです」と言ったきり、獣人クルルスルートに入り浸りだ。


 軽いのは仕方ない。クルルスが正義感溢れた獣人であるのと同時に、オレは軽くてモテるエリート竜騎士として、ここにいるんだから。


 待つだけの身の上、ヒロインに選ばれなければ、こちらから動き出すことは絶対にない。


 お眼鏡にかなわなければ、やることはなく、他の攻略対象のルートで、ライバルを演じたりメッセンジャーを演じる以外は、マジで暇。


 今はまさに、暇だった。


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