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宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第4章

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第164話 錬金術師は嫌われる


 俺達がソファーに座りながら待っていると、ノックの音が聞こえ、さっきの女性店員と共に30代くらいの身なりがしっかりした男性と50代くらいの白髪交じりの男性が部屋に入ってきた。


「失礼します。私がこの店の店長のフェルナンです。こちらは鑑定士のシラス」


 店長さんが紹介すると、50代くらいの白髪交じりの男性が頭を下げた。


「ターリーのエルディアで商人をしているニーナよ。よろしく」

「ええ。よろしくお願いします」


 ニーナと店長のフェルナンが握手をした。

 そして、ソファーに腰かけると、お茶の準備をしていた女性店員がローテーブルにお茶を置いていく。

 すると、自己主張の強いウェンディがエルシィの分と思われるカップを取り、飲みだした。

 当然、店の3人はウェンディを凝視する。


「あ、ウチの子がすみませーん。人形っぽいですけど、使い魔なんです」


 エルシィが謝罪した。


「いえ……あ、どうぞ」


 女性店員はあからさまに動揺していたが、お茶をもう一つ用意し、エルシィの前に置いた。


「ありがとうございまーす」

「いえ……それでは」


 女性店員はなんとか笑顔を取り戻し、一礼すると、部屋から出ていった。


「ニーナさん、レスターさん、エルシィさん、本日は当店においでくださいましてありがとうございます。それで金の売却と硝石を購入したいと聞きましたが……」


 フェルナンが早速、本題に入った。


「ええ。まずは金の売却の方を進めてもいいかしら? 実は売却の方はこちらのご夫婦から私が交渉を一任された形なの。だから硝石は別」

「なるほど。では、そうしましょう。早速ですが、物を見せていただきたいのですが……」


 フェルナンがそう言うと、ニーナが俺を見てきたので魔法のカバンから金貨が入った袋と金のインゴットを取り出し、テーブルに置く。


「ほう……これは見事なインゴットですね。それに……確かに金貨です」


 袋を開けて中を覗いたフェルナンが深く頷いた。

 そして、隣に座っている鑑定士のシラスがインゴットを鑑定し始める。


「あ、先に言っておくけど、私もこちらのご夫婦も錬金術師よ」


 この言葉はちゃんと鑑定をしろよっていう意味と誤魔化したり騙したりしても無駄だという意味である。

 錬金術師は何でも作る魔法使いのイメージがあるが、その前身はその名の通り、金を作ることを目的とした学問であり、金の鑑定においては錬金術師に並ぶ者がいないと言われているほどなのだ。


「御三方共、錬金術師なのですか?」


 フェルナンがニーナに聞く。


「ええ。私とエルシィは魔法学校の同級生なの。旦那さんは先輩ですね。私達は魔法学校で錬金術を学んできたの。特にエルシィとレスター先輩はイラドで宮廷錬金術師をしていたほどね」

「ほう……それは素晴らしいですね。シラス、当店に恥のないように頼むぞ」


 あ、真っ当に鑑定しろっていう指示だ。


「かしこまりました」


 シラスは頷くと、インゴットを置き、紙に何かを書きだした。

 そして、今度は袋を開き、金貨の鑑定に入る。


「しかし、私が見ても見事なインゴットですね。しかも、この金貨はかなり昔の物のように思えます。どこで手に入れたんですか?」


 フェルナンがそう聞くと、ニーナが俺を見る。


「インゴットは仕事の報酬で貴族からもらったものだ。金貨はターリーで軍から船の補修の仕事を受けた際に無人島に行ったんだが、そこで見つけた昔の海賊の財宝だな」

「ほう! ターリーの海賊伝説ですか! それはロマンがありますね!」


 フェルナンも海賊伝説を知っているらしい。


「伝説ほどの量じゃなかったがな。それでもかなり質の良い金貨だ」

「そのようですね」


 フェルナンはシラスが書いた紙を見て、深く頷いた。


「旦那様。鑑定が終わりました」


 シラスがもう1枚の紙をフェルナンに渡す。


「ふむ……まずですが、すべて本物の金のようです。しかも、純度がかなり高い」

「そうね。私の鑑定結果もそうよ」


 俺とエルシィもそう。


「まず金のインゴットですが、2000万ゼルで買い取らせていただきたい」

「2500万ゼル」


 ニーナが即答した。


「ふむ……2200万ゼルではいかがですか?」

「私達は明後日にはゲイツに向かうわ。だから時間があまりないの。2400万ゼル」

「ゲイツですか……わかりました。2300万ゼル払いましょう」


 刻むな……


「私に先輩の前で恥をかけって言うの?」

「ふむ……」

「この後の話になるけど、硝石を50キロ買うつもりでいるわ」

「わかりました。2400万ゼルにしましょう」


 あ、まとまった。


「ありがとう。金貨の方は?」

「5000万ゼルでいかがかな?」

「金の総量的にはそれでいいでしょうね。でも、歴史的な価値があるわよ。ただの金じゃなく、100年以上前の金貨なのよ」


 もう紙幣で統一されているから金貨なんてこの大陸にはない。


「では、5500万ゼルでいかがかな?」


 上がったなー……


「キリの良さって大事だと思わない?」

「…………わかりました。それでは5600万ゼルにしましょう。それならインゴットと合わせて、8000万ゼルです」


 すっご。

 拾い物と貰い物が8000万ゼルになったし。


「では、それで。次は硝石ね」

「はい。50キロでしたね。ランクはいかがしますか?」

「DランクとCランクでいいわ」


 ニーナの腕ならそんなものだろうな。


「Bランク以上もございますが?」

「私は錬金術師よ。DかCもあれば十分にBランク以上のものを錬成できる」

「……かしこまりました。すぐに用意しましょう」


 あ、フェルナンがちょっと嫌な顔をした。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ニーナはむしろ商売上手かと。 金の買取交渉の時、後で硝石買うことをチラつかせて価格上乗せさせてたけど、低ランクの硝石で良いことをワザと言わなかったんだと思う。 フェルナンさんは安いエサに釣られて高値で…
ニーナは商売下手なんだな
「DかCもあれば十分にBランク以上のものを錬成できる」 そこはまぁ「ものは言いよう」でね。 「今回錬成する物にはCかDで十分なの」 とでも言っておけば印象も変わるかと。
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