表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

150/154

第150話 適当兄妹


 カルロとニーナ兄妹と共に町に戻ってくると、銀月の宿に向かって歩いていく。


「ニーナちゃん達はどこに泊まってるのー?」


 エルシィがニーナに聞く。


「飲食が多い通りがあるところの普通の宿屋……って、この辺ね」


 俺達は西門から銀月の宿屋に向かっているので飲食街を通っている。


「お兄さんと同じ部屋?」

「同じ部屋。ここまでずっとね。嫌よー」


 ニーナが首を横に振った。


「言っておくが、俺だって嫌だからな」


 カルロが眉をひそめる。


「こんな感じでケンカが多発してる。あーあ、私も彼氏か旦那と出かけたかったなー」

「俺も彼女か嫁さんと出かけたかったわ」

「ふっ、彼女いないじゃん」

「お前……全部、自分に返ってきてるぞ」


 ホント、仲の良い兄妹だわ。


 俺達は相変わらず、明るい兄妹と共に飲食街を抜け、十字路を左に曲がった。


「あそこが銀月の宿だな」

「あそこが……」

「よく買い出しとかで他所の町に行く私には外観だけで高級さがわかりますね」


 そういやニーナはよく出かけるんだったな。

 前も最初はターリーの玄関口と呼ばれるヤークの町で再会したし。

 もしかして、今回も同じように買い出しだろうか?


 多分、違うだろうなと思いながら歩いていき、宿屋の前に着くと中に入る。

 すると、昨日と同じ若い男の店員がこちらにやってきた。


「おかえりなさいませ」


 店員が綺麗な礼をする。


「ああ。実は湖で旧友の2人と再会したんで一緒に夕食を食べることになったんだが、2人分を追加することは可能だろうか?」

「もちろんでございます。夕食はいつになさいますか? すぐにでも用意は可能です」


 マジで貴族になった気分だな。

 毎日、こんなんだったらそりゃあんな傲慢にもなるわ。


「どうする? 俺はもう食べられるが」


 後ろの3人プラス1に聞く。


「私もおなかが空きましたー」

「私もです。お昼は携帯食料でしたから」

「俺もだな」

「食べましょう」


 3人プラス1が頷いた。


「もう食べるから用意を頼む」


 店員に頼む。


「かしこまりました。30分程度でお持ちします。ワインはどうしましょうか?」

「それも頼む」

「それでは、一緒にお持ちします」

「頼む」


 頷くと、階段を上がっていき、5階までやってきた。

 そして、扉を開け、部屋に入る。


「「ほー……」」


 カルロとニーナは部屋に入ると、リビングルームを歩き回り、きょろきょろと見渡していった。


「すごいな、おい!」


 カルロが興奮している。


「俺もそう思う」


 すごい。

 ただただすごい。


「兄さん! さっきまでいた湖が見えるよ!」

「お、ホントだ!」


 ニーナとカルロは興奮しながら窓の外を見る。

 すると、ニーナがカルロに触れるくらいに近づいた。


「先輩、綺麗ですねー……」


 なんかニーナが間延びした高い声を出した。


「お前の方が綺麗さ、ふっ……」


 誰の真似だ?


「ニーナちゃん?」


 エルシィが冷たい声を出す。


「似てない?」

「全然、似てない」


 確かにあまり似てなかったな。


「ちなみに、カルロは?」

「お前の真似」

「1つも似てないどころか、俺はそんなこと言わんぞ」

「……それはそれでどうなんだ?」


 こいつはそういうことを言うんだな……


「ほっとけ。それよりも座れ」

「ちょっと興奮してしまったな」

「すごいもんね」


 気持ちはわかるな。

 俺達も部屋中を回ったし。


 俺達はソファーに座り、夕食を待つことにした。


「さて、夕食まで少し時間があるし、大事なことは先に話しておくか」

「兄さんに任せるわ」


 カルロとニーナが頷き合う。


「何だ?」

「まずはお前らに謝らないといけないことがある。俺とニーナはターリー生まれ、ターリー育ちの生粋のターリー人だが、イラドと繋がりがある」


 繋がり……


「それはイラドに留学していたとかそういうことではなくてか?」

「ああ。俺達はターリー人だが、ターリーの情報をイラドに報告している」


 報告……


「お前ら、密偵か?」

「ああ。簡単に言えばそうなる」


 マジかよ……


「俺達に謝るとは?」

「もちろん、そのことを言わなかったことだ。というか、言う必要がないと思っていた。でも、びっくりしたぜ。お前らがエルディアを去った後、魔法学校の先輩だったミュリエル先輩が来て、お前らが来てないか聞いてきたからな」


 ミュリエル先輩……俺とカルロの代の2個上の先輩である。

 貴族ではないが、とても優秀な錬金術師だと評判だった人物であり、俺でも知っているくらいの人だ。


「そこで俺達が追われていることを聞いたか?」

「ああ。理由まではミュリエル先輩も知らないようだったが、お前ら、何したんだよ……」


 やはり上の方はエリクサーのことを言ってないか。

 モノがモノだから慎重になっているんだな。


「貴族ばかりの宮廷錬金術師で色々あっただけだ。はっきり言えば上手くいかなかった」

「まあ、その辺だろうな。それでエルシィと国を出て、他国でアトリエを開こうと思ったんだな?」

「そんなところだ。ミュリエル先輩に伝えたか?」


 大事なのはそこ。

 こいつらは俺達がイパニーアに行ったことを知っている。


「伝えねーよ。そもそも俺達はそんなに真面目な密偵じゃないんだ。イラドもエルディアの町はターリーの重要拠点だから念のため程度で俺達を密偵として雇っているだけだ。さすがにイラドとターリーは繋がりもないし、遠いからそこまで重視していないんだよ。適当に町の様子を教えたら金がもらえるからやってるだけ」


 その程度か……


「ターリーとイラドの間にはゲイツがあるからな」


 敵国であるゲイツの先にある国なんて重要度は低い。


「それ。重視していない国の密偵なんてそんなもんだ。卒業の前にお偉いさんに声をかけられたんだよ」


 国を売っている意識が薄そうだな。


「ミュリエル先輩には来てないと伝えたわけか?」

「ああ。ミュリエル先輩もめんどくさそうだったぜ。あの人も貴族に苦労した口だしな」


 皆、そうか。


「助かった」

「当たり前だろ。どうせ、貴族が悪いんだろうし、くだらないことだろ」


 貴族(部長)が悪いのはそうだが、実は全然、くだらないことじゃなかったりする。

 エリクサーだもん。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

【予約受付中】
~書籍~
~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

~漫画~
~5/12発売予定~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

【現在連載中の作品】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
この調子だと政変と密偵から協力者(やる気なし)にランクダウンしたのでそろそろイラドの悲鳴が
密偵つーより現地協力者くらいの位置付けやったんやね わだかまりが(読み手的にも)解消できてよかった
腹の探り合いになるかと思ったら、カルロが腹を開いて見せてきたか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ