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宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~  作者: 出雲大吉
第3章

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第106話 魔術師にもなりたかったんだから仕方がない


 南の大通りを歩いているが、店が多いように見える。


「宝石屋だな」

「装飾品のお店も多いですねー」

「エルシィさんに買ってあげたらどうですか?」


 エルシィに?


 ちょっと考えて立ち止まると、ショーウィンドウから見えるネックレスなどの装飾品を見る。


「エルシィが作った方が良い品質になりそうだぞ」


 別に並んでいる商品が悪いわけじゃない。

 しかし、エルシィはこういうのを作るのが得意なのだ。


「そういうことじゃないですよ。大切な男性からの贈り物……プライスレスです」


 わからないでもない。

 俺もエルシィからもらった天使ちゃん人形を大事に飾っていたし。

 まあ、そんな人形も今は飛んだり、食べたりしているが。


「エルシィ、いるか?」

「買わなくてもいいですから先輩が作ってくださいよー」


 ふむ……確かにそっちが良いかもしれないな。


「わかった。どっかで鉱石を手に入れて作ってやる。それとも金がいいか?」


 金貨はいっぱいあるからいくらでも加工できる。


「私、プラチナが良いなー」


 プラチナね。

 高いが、作れば安価だし、まあいいだろう。


「世界最高の物を作ってやるよ」

「訳、お前は俺にとって世界最高だからそれにふさわしい世界最高の物を贈ってやるぜ」


 いや、錬金術師として最高の物を……


「きゃー。愛です!」


 ……それでいいや。


「素敵な旦那様ですね。ご覧のようにこの辺りはこういう店が多く並んでいます。ちょっと奥に入れば鉱物を加工する職人の精錬所やアトリエがあります。昨日、フリオから聞きましたが、御二方はそういう仕事をする予定とか……多分、ギルドから紹介されるのはこの辺りになると思います」


 店か職人の精錬所か……まあ、明日聞くか。


「こういうのを輸出したりするわけか?」

「そうですね。先ほど、この国には観光客が来づらいと言いましたが、他所の国の大富豪や貴族の方が来て、質の良い宝石を買っていったりもしますね」


 金持ちは飛空艇に乗ればいいからな。

 羨ましい限りだよ。


 俺達はその後も店を眺めながら歩いていく。

 すると、宝石を始めとした装飾品だけでなく、魔法使いが使う杖なんかを扱っている魔法屋もちらほらと見えた。


「杖ですね……」

「魔法使いといえば杖だな」


 俺達は立ち止まると、今度はショーウィンドウにある杖を見る。


「わが国で採れる鉱石には魔導石も含まれております。私は魔法使いではないので詳しくないのですが、これも同じように他国から買いに来る方もいらっしゃるようですよ」


 へー……


「俺、ルビフレイムが良いな」

「私はアクアリスかシルフィアですね」


 エルシィはそっちか。


「何を言ってるのかさっぱりわかりませーん」

「私もですね……」


 ウェンディとオフェリアが首を傾げる。


「魔導石の種類だ。魔法の杖は魔導石から作られるんだが、それには属性があるんだよ。ルビフレイムは火の属性、アクアリスは水の属性、シルフィアが風の属性だな」

「どれも杖だけじゃなくて、錬金術の材料として使われるんだよー」


 そうそう。

 この属性を扱えて初めて一人前の錬金術師と呼ばれるのだ。


「何を言ってるのかさっぱりわかりませーん」

「私もですね……」


 そんなに難しかっただろうか?


「そういう石があるってことだ」

「なるほど。すごい石なわけですね」


 わかってないな。

 まあ、ここで講義することでもないか。


「それでいい。俺達も魔術師見習いになったし、杖がいるか?」


 エルシィに聞く。


「どうでしょう? 別に専門じゃないですからね。欲しいですけど、嵩張るような気もします」


 旅をしているわけだもんな。

 旅だったら杖があっても良いとも思うが、列車や船ばかりで別に歩く旅じゃない。


「そうか……」

「先輩も男の子ですねー。剣を欲しがる男子みたいです」


 そこはまあな……


「あのー……レスターさんが欲しがっているのはなんとなくわかりましたが、軽く100万ゼルを超えていますよね?」


 ウェンディが言うようにショーウィンドウに並んでいる杖はどれも高価だ。

 一番安いやつでも120万ゼルもする。


「わかっている。今は店を開くために資金集めをしている時だ。子供のように買いたいと駄々をこねたりはしない。自分で作ればいい」

「んー……わかってますかね?」

「まあまあ。店に置けるかもしれないじゃん。練習にもなるし、作ってみるのもありだと思うよ」

「エルシィさんがそう言うならそうなんですかね?」


 そうそう。


「素敵な奥様ですね。さて、南の大通りももうすぐです」


 オフェリアがそう言って促してきたので魔法屋をあとにし、さらに歩いていく。

 すると、十字路にやってきた。


「このまままっすぐ行くと南門があり、駅があります。おそらく、あなた方はそこから来られたと思います」


 俺達はこの王都の南にあるペインから来たから合っている。


「そうだな」

「ここから左に行くと、冒険者ギルドがあります。明日はわかりやすい大通りを通って、ここから左に行くと良いでしょう」


 確かにわかりやすいな。


「そうする」

「ありがとうございまーす」

「いえいえ。それではここでも説明です。この左右にある通りは繋がっております。要はここを通れば一周できるわけですね」


 ぐるっと回れるわけだ。


「他の門に行くにはこの通りってことか?」

「そうなります。この通りもちょっと広いでしょう?」


 ちょっとというか、10メートルはありそうだし、かなり広い。


「ここも軍が通るのか?」

「ええ。それと馬車などの荷物運搬に使われます。この時間は少ないでしょうが、夕方になれば増えますね。馬車に使われる馬は大人しいので大丈夫だと思いますが、気を付けてください。では、せっかくなのでこの道を通って西門の方に向かってみましょう」


 俺達は右に曲がると、さらに通りを歩いていった。


お読み頂き、ありがとうございます。

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