第105話 尻に敷かれてるのかな?
俺達は大通りを歩き、中央にあるという広場を目指す。
「この町ってかなり大きいよな? この国の他の主要都市も大きいのか?」
イラドやポードの王都よりも大きい。
「いえ、大きいのはここだけですよ。この国にも貴族や騎士といった権力者がいますが、やはり王家の力が大きいのです。軍事面でも王都にほぼ集中しております」
王家の力が強いのか……
大抵の国がそうだが、王様というのは必ずしも偉いとは限らない。
力を持った貴族や議会なんかもあり、権力が1人に集中していないことの方が多いのだ。
「王政なのか?」
「ええ。もちろん、それを支える貴族や大臣もいますが、基本的には王が政治を行います。そして、その影響として、この王都に軍事力が集中しているのですよ。もし、敵が侵入してきたらここから即座に出陣します。例えば、この大通りなのですが、かなり広いと思いませんか?」
そう言われるとかなり広いように見える。
イラドやポードの王都の大通りは幅が10メートルもなかったと思うが、この通りは20メートルを超えていそうだ。
「広いな……なんでなんだ?」
「この国は陸軍……特に騎兵が強い国です。この通りはいつでも軍が展開できるようにこれだけ広いのです。建国記念日の時はパレードがあるのですが、騎兵が並ぶ軍事パレードは壮観ですよ? まあ、3ヶ月前に終わったので次は9ヶ月後ですが……」
さすがに見られんな。
「ペインの町といい、シーズンじゃない時に来たようだな」
あそこもシーズンは夏だった。
「そんなことありませんよ。この国は夏が暑いですし、冬は寒いです。今がちょうどいい季節ですよ」
そうなのか。
気候までは知らなかったな。
「オフェリアさん、騎兵が強いという話は以前から聞いています。その騎兵を見たことないんですが、どこにいるんです? 町にいる騎士の方々も馬には乗っていませんよ?」
ウェンディが興味津々に聞く。
多分、見たいのは馬だ。
「東門の先が軍の駐屯地になります。そこに馬もいっぱいいますし、乗馬体験もやっていますので興味があるなら乗ってみますか?」
人形が?
「乗ってみたいです!」
こいつ、本当に好奇心旺盛のお子様だな。
「乗りたいです?」
エルシィが聞いてくる。
「振り落とされる未来しか見えんぞ」
「私もです」
な?
「運動神経皆無なインドア夫婦はこれだから……私の乗馬テクニックを見習うといいですよ」
お前、乗ったことないだろ。
というか、飛べるじゃん。
「ふふっ、さて、広場が見えてきましたよ」
オフェリアが笑いながら前を向く。
前方にはかなり広い円形の広場が見えており、噴水と多くの人が見えていた。
そして、そのまま歩いていくと、広場にやってくる。
広場では屋台も多く並んでおり、多くの人が集まっていて賑わっていた。
中央の噴水付近には子供連れの家族がおり、子供達が噴水の中で水浴びをしているのが平和っぽいなと思える光景だ。
「お祭りみたいですねー」
「この王都は人口もかなり多いんでしょうね」
「ふふっ、ここはそこまでですよ。一番人が集まるのがメインズ神殿の広場ですから」
旅行雑誌にも書いてあったな。
この国は軍や鉱物だけじゃなく、人を始めとする様々なものがこの王都に集中しているのだろう。
「平和そうだし、観光地としても人気なんだろうな」
「そうでもないですよ。大陸の最南西にありますし、交通が不便なため、他所からはあまり来ないんです」
あー、それもそうか。
この国は陸地で隣接しているのは北のランスと西のルドガーだけ。
ルドガーの先には海しかないし、北のランスも山脈が連なっている。
ここに来るにはその山脈を越えるか海路しかない。
もちろん、空路もあるが、飛空艇は料金が高い。
「こう言ったら何だが、もし、こういう旅をしてなかったら確かにイパニーアは旅行先に選ばないかもな」
やはりランス、ゲイツ、ポード、ターリーを選ぶと思う。
もしくは、北のデインやノースといった避暑地。
「でしょう? まあ、立地が悪いのは仕方がないことですからね」
「平和だし、良い国なんだがな」
料理も美味いし。
正直、王都はないが、別の町で良いところがあったらそこに店を構えるのもありなのではと思っている。
仕事もありそうだし、一番良いのはイラドとはほぼ関係のない国なところ。
「ありがとうございます。それでは少し説明いたします。ここは王都の中心である広場であり、見ての通り、家族連れが遊んだりもしますし、待ち合わせ場所としてもよく利用されます。また、私達が来た東の大通りには飲食店なんかが集まっております。南は冒険者ギルドもありますし、職人達が集まっている区域でもあります。そして、先ほども言いましたが、西には軍の施設があり、北がメインズ神殿や城といった公共施設が多いですね。各門の近くには駅もあります」
なるほどな。
「俺達は南から来たと思うが、あっちか?」
左に見えている通りを指差す。
「ええ。フリオと来たのでは?」
「いや、大通りは通ってない」
そこまで広くない普通の道を通ったはずだ。
「近道を通ったんですね。まったく……他所から来た方と一緒なら大通りを通ればいいのに」
オフェリアがちょっと怒っている。
「荷物のこともあったし、俺達も早く宿屋で休みたかったんだよ」
かばっておこう。
「そうですか……では、まずは南の方に行きましょう。軽く案内いたします。参りましょう」
オフェリアがそう言って左の方に歩いていったので俺達もついていくことにした。
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