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第34話 小学生、護衛 〜5〜

 俺たちが帰った頃には、裁判所の見学が終わってた。

 いや、見学終わるの早くない!?

 俺も見学したかったのに……。


 次はお昼休憩だ。

 やっとご飯食べれる。

 今日の討伐、エネルギー使いすぎちゃったからお腹空いちゃったよ。


 裁判所の見学の感想はあとで雨米から聞こ。


 お昼ご飯を食べるのは近くの公園らしい。

 遊具が全然なくて、広場が広がってるところ。


 「討伐お疲れな」


 バスでそこに向かってるときに迅斗が言った。

 よく見ると、迅斗の左手の甲に切傷がある。

 まだ血が出てるから、さっきの戦闘で負った怪我だと思う。


 「大丈夫? 怪我」

 「ちょっとバカした。もっと注意してれば躱せたのにな。遊んでたら喰らっちまった」

 「天菜とかに怒られなかった……? 『いつでも全力で戦わないと死んじゃうから!』みたいな」

 「んなこと言われなかったな」


 言われなかったんだ。

 俺一回怒られたことあるぞ。


 初めて一人でクリーチャー倒したとき。

 あのときの天菜、怖かったな……。

 俺のことを思って怒ってくれてたんだけど。


 まぁ、そのあとは心配してくれたから嬉しかったな。


 「そっちは? 怪我しなかったか?」

 「大丈夫。無傷でいけた」

 「そうだな、怪我するならお前じゃなくて花楓のほうだもんな。あいつ、寮にいるときから怪我ばっかしてたし」


 迅斗も同じこと言ってる……天菜と。

 そんなに怪我してたんだ、花楓って。


 「……そういえばだけどさ、なんか今日クリーチャーの出現多くない?」

 「そうだな。比較的多い気がする」

 「……なんか関係あるかな? あの1型クリーチャー――クアールと」

 「さぁな。ま、出てきたら全力でつぶすぞ」


 そうだな、出てきたら倒さなきゃ。

 今日は子供たちもいるし、みんなは俺が護らなきゃ。


 そんなこと思ってたら、ようやく到着した。

 こういう広場で俺も遊んだな……昔は。


 俺たちが先に降りて、次に先生、最後に子供たちが降りた。


 待ってると、本当にお弁当が支給された。

 駅弁みたいな感じだ。


 子供たちはみんなリュックからレジャーシートを出してそれを広げてる。

 仲の良い子たちと一緒に食べようとしてる。


 なんかこういうの見るとほっこりするな……。


 ……? え、レジャーシート必要なの?

 俺持ってきてないんだけど。

 ってか、家にレジャーシートなんてあったっけ?


 「かーづき! 一緒に食べよ!」


 もらったお弁当とお茶を持ちながら花楓が近づいてきた。

 ちょうどいい、花楓に訊こう。


 「うん。……でさ、どこで食べるの?」

 「この公園だよ?」

 「えっと……俺レジャーシート持ってきてなくて……」

 「私も。みんな持ってしてないから大丈夫だよ。私たちはベンチに座って食べよ?」


 あ、ベンチあるの?

 ならよかった。


 他のみんなもそこに座ってるみたいで、なにか話してる。

 顔的に真面目そうな話っぽい。


 俺も花楓の隣に座って、早速食べようとする。


 お弁当の箱を開けて見てみると、本当に美味しそうだった。


 割り箸を割って早速食べようとする。


 エネルギー使いすぎちゃったからお腹空いてるんだよね……。


 よし、いただきま――


 「――来やがったな」


 迅斗が明後日の方向を見ながらそう言う。

 そのとき、ポケットにいれてるスマホが震えた。


 見ると、『クリーチャー出現』の情報が。


 数は――100体……!?

 しかも全部3型クリーチャー。

 2型クリーチャーと比べたら弱いとはいえ、あんな図体デカいのが100体もいたら簡単に対処できない。


 「……俺が東行ってくる。そこにまぁまぁな数がまとまってる」

 「……私は反対側行ってくる。そこも比較的まとまってるから」


 迅斗と天菜は画面を見ながらそう言って、それぞれのところに跳躍していった。

 さっき『一人より二人のほうが安全』って言ってた天菜だけど、今はそれとは反対のことをしてる。

 それくらい焦ってるってことか……?


 

 「……風月、ごめん、私向こうのほう行ってくる」


 花楓もそう言って、南の方向に行った。


 だから俺も向かおうとした。


 「――お兄ちゃん!」


 子供の声がした。


 小学生たちだ。


 そこを見ると、俺は言葉が出なくなった。


 小学生たちを中心に、大量の3型クリーチャーが円状に立っていた。

 いろいろな形状だ。

 ハト、ライオン、トラ、クマ、シカ、色々な形のクリーチャー。


 3型クリーチャーってこともあって、かなり大きい。

 大きさもそうだけど、数にも驚く。


 ここだけで90体くらいはいる。


 「お兄ちゃん! 助けて!」


 小学生の声がする。

 助けに行かなきゃ……!


 俺は脚にエネルギーを込めて、小学生たちに向かう。

 ここからだと護りにくいから、俺も小学生たちと同じところ――クリーチャーの輪の中に入った。


 刀を構えるけど、こんな数、一人じゃ相手できない。

 しかも今回は一般人を護りながら戦わなきゃいけない。


 俺もさっきの戦闘でエネルギーはだいぶ消費してる。

 一世風靡(いっせいふうび)を使ってクリーチャー全体を吹き飛ばしたいけど、それだと小学生たちも巻き込んでしまう。


 どうすれば……!


 「――大丈夫、落ち着いて」


 隣から声がした。

 見てみると、俺の隣に雨米がいた。

 いつ来たんだろ……気づかなかった……。


 「今回は私がやるから。だけど、絶対に秘密ね? 今から見るのは」


 雨米……?

 いつもの雨米じゃない気がした。


 そのとき、雨米が消えた。


 次の瞬間、大量のクリーチャーが全体、血を流しながら倒れた。

 見ると、全員首を斬られている。


 「――終わり」


 後ろから声がする。

 振り向くと、そこには雨米が立っていた。


 手には血で汚れてる刀を握っている。


 「雨米……? 今の……お前か……? どうやって……」

 「技は発動してない。ただ普通に斬っただけ」


 ただ普通に斬った……?

 ってことは、今のはただ高速で斬り掛かっただけ……?


 それなのに、見えなかった。

 目で追いつけないどころか、空気の流れもわからなかった。


 「もう1回言うね? 今の内緒だよ?」


 雨米は刀を鞘に戻しながら言う。

 その表情は嗤っていた。


 だけど不思議と怖くなかった。

 それどころか、安心感がある。


 これ……どういうことだ……?

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