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22. 感謝の言葉よりも重要なものがあるんだよ

 

 これで依頼は完了だね。

 あとはガザアラスに戻ってギルドで依頼達成の報告をするだけだ。

 ちなみに冒険者ギルドは、世界各地に存在するとは言っても、一定以上の規模の街にしかない。村とかにはないから、ビースクで報告をすることはできないよ。


 それから全ての死体を回収する。

 全力で殴ったりはしていないから、近接戦で倒した死体もちゃんと原型をとどめている。

 でもやっぱり水で窒息させたやつの方がきれいだね。


 回収できたのはちょうど三十体分だった。『収納箱』には余裕で入る。今度どれくらい入るか試してもいいかもしれない。

 それにしてもレオの群れ、十数体じゃなかったっけ? ぼんやりとだけど、依頼書にそんな感じで書いてあった気がする。三十ってほとんど倍だけど。この世界じゃ、誤差の範疇なのかな。

 まぁ私にとっては好都合だ。群れの討伐依頼の分にレオ三十体分の納入の報酬も合わせると、それなりの金額になるのでは? 少なくとも借金生活は脱却できるよね。


 思ったよりも早く村に着いたし、討伐もスムーズに終わった。

 これは、来たときのペースで帰れば、お昼くらいに帰れそうだよ。

 よかった。せっかくソフィにお金を貸してもらったのに、お昼ご飯を準備しておくの忘れてたんだよね。

 そうとなれば、これはもう今すぐちゃっちゃと帰るしかないよ!


 あ、村に報告ってしないといけないのかな……?


 多分、義務はないと思う。

 理屈は分からないけど、依頼が完了すると自動的にその情報がギルドカードに保存されるらしいから、このままギルドに報告すればいいだけだ。

 でもその場合って、どうやって依頼者に依頼が達成されたことが伝わるんだろ?

 私がギルドに報告したあと、ギルドが依頼者に報告するってなると、かなり時間がかかりそうだけど。今現在、困っているからこそ依頼を出しているんだから、なるべく早く知らせてあげたいよね。


 そんな考え事をしながら歩いていると、ちょうど村の入り口が見えるところまで来ていた。

 そしてさっきの門番が走ってやってくるのが見える。


 ちょうどいいから、この人に依頼完了したことを伝えておこうかな。


「おい、嬢ちゃん! どこ行ってたんだ!? いや、それよりもさっき冒険者って言ってたか? 嬢ちゃんがか? 一体どういうことだ?」


 息を切らしながら勢いよく聞いてくる。でもそんないっぺんに聞かれても困るよ。

 そういえばさっきはなんか警戒されてたみたいだったなと思い出したので、まずは冒険者だということを証明しておこう。

 ギルドカードを出しながら答える。


「うん。私が冒険者。はいこれ」


「……ギルドカードか? ランクF?」


 ギルドカードを受け取って内容を確認するが、まだ門番の頭上には疑問符がいくつも浮かんでいる。


「そう。私はランクFの冒険者で、今日は依頼を受けてここに来たんだよ。ギルドにレオの群れを討伐してほしいって依頼だしたよね?」


「……ああ、だした。裏の森に入れなくなって困ってるんだ。……まさかその依頼を嬢ちゃんが受けたのか? 一人で?」


「そうだけど」


 門番は天を仰ぎ、深いため息をついた。


「……っはぁあああ……。なんだ? 冒険者ギルドってのは何を考えてるんだ? こんな嬢ちゃんが依頼を受けるのを認めたのか? ふざけやがって……。おい、嬢ちゃんも。レオの群れの討伐ってのはランクE相当の依頼なんだ。ランクFの嬢ちゃん一人で受けるような依頼じゃないんだよ。すぐにギルドに帰って別の冒険者をよこしてくれ、頼むから」


 ギルドのことを愚痴ったかと思ったら、チェンジを要求された。

 すっごく失礼な反応だけど。でも当たり前の反応でもあるか。私は自分の容姿をちゃんと自覚している系女子なのだ。しかも冒険者ランクも低いし、仕方ないね。


「大丈夫だよ。もう終わったから」


「終わった? なにがだ?」


「依頼。もうあの森にレオは一体もいないよ」


 魔力反応で確認済みだ。


「……はぁ?」


 なんか理解できていないみたいな反応だな。

 もう一回丁寧に説明してみる。


「だから、この村の依頼を受けた私が、あの森のレオを全部倒したの。これで依頼は完了だよね?」


「……倒したぁ? じょ、嬢ちゃんが? ……嘘だろ? だいたいさっき嬢ちゃんが走って行ってから一時間も経ってねえぞ?」


「本当だよ。森を見てくればわかると思うけど。……あ、じゃあこれ」


 見に行かせるよりも手っ取り早い証明方法があった。

 私はレオの死体を一体、目の前にだす。


「うおっ!? レ、レオの死体か!? というか嬢ちゃん魔法が使えるのか!? ……じ、じゃあ本当に? 本当に倒してくれたのか?」


「うん。まだ信じられないなら、全部だしてもいいけど」


「……いや、いい」


「そう? じゃ、しまっちゃうね」


 信じてもらえたのかな。

 信じてもらえないなら、それはそれで私は構わないんだけど。

 でも、もし私の話を信じるなら、これですぐに森を使えるようになるよね。


 それにしても門番に時間をとられてしまった。

 私のお昼ご飯が遠ざかっていくよ。


 ここでの用事は全部終わった。よし帰ろう。


 と、門番に背を向け出発しようとしたところで——


「嬢ちゃん」


 なんだろう。まだ話があるのかな?

 再度反転して門番の方を見ると、なぜか門番が頭を下げていた。……なに?


「すまなかった。嬢ちゃんがせっかく依頼を受けてくれたのに、失礼な態度をとってしまった。それに嬢ちゃんがレオを倒したって言ってもすぐには信じなかった」


 ああ、それか。

 でも、あれが常識的な反応なんじゃないかな。仕方ないと思う。


「そんなの別にいいよ」


「それと、冒険者ギルドのことも悪く言ってしまったな。ギルドはしっかりと考えて相応の実力者を派遣してくれたんだな」


 いや、それはない。

 ギルドも私がこの依頼受けるのめっちゃ渋ってたよ。


「なんにしても本当に助かった! ありがとな。それで、できれば村長に会っていってほしいんだが……」


 それは……困る。

 今から帰るともう昼過ぎだ。それくらいの時間帯には昼食にしたい。

 宿の夕食のタイミングも午後5時から7時と結構早いから、昼食があまり遅いのも都合が悪いし。

 つまり、これ以上時間をとられるわけにはいかないんだよ。


 ……あと村長に会うとか正直めんどくさい。

 会ってどうするのかは分からないけど、とりあえず感謝の言葉とかはいらない。


「……悪いけど、大事な用事があって、急いで街に戻らないといけないから」


「そうか、わかった。急ぎなのに引きとめて悪かった。気をつけて帰ってくれ」


 申し訳なさそうな顔をして門番が再度頭を下げる。

 ……ちょっと罪悪感が……。


「う、うん。ありがとう。それじゃあ」


 今度こそガザアラスに向け出発する。

 門番から見えなくなるくらいまでは普通に歩き、そこからは来たときと同じようにジャンプしながら風を切っていく。


 特になんのトラブルもなく街まで戻ってくることができた。

 多分、行きでかかった時間と同じくらいかな。



累計1,000pvありがとうございます!

ブクマもめちゃくちゃ嬉しいです!

引き続きよろしくお願いします!


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