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48番のシヤ。~俺、器用貧乏なんですよ。外伝~  作者: さんまぐ
少年少女の言葉、願いと仕返し。(全10話)
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第46話 神として、シーナの代わりに。

シヤは生前の…エグゼに売られる前のシーナを見たくてミチトに「マスター、読み取って見せてと言うのはダメ?」と聞く。ミチトは悲し気で厳しい顔になって「ダメだ…ジーナの記憶は悲惨だよ。その人はジーナを子供の頃から知っている。エグゼの所に売られた朝まで知っている。だから聞いてご覧」と言った。


シヤは意を決して「…マスターの言ったことは本当?シーナの事を知ってる?」と聞くと女性はゆっくりと頷いて「ジーナよね?知ってるわ。あの子は頑張って生きていたわ…」と言う。

遂にシーナを知る人に出会えた。

シヤは食い入るように女性の話を聞く。


女性は目に涙をためて声を荒げた。

「誰もあの子を救えなかったの!親の借金で捕まって身体を売らされた!でもあの子は子供を失う日までどんなに辛くても笑顔だった…。

それなのに売る事を拒否したらロエスロエで壊されて狂わされて売り飛ばされたの…あの朝もシーツに包まれて物のように連れて行かれるジーナに私はなにも出来なかった!」


女性はそう言うと顔を覆って泣き始めてしまう。

シヤはシーナから聞いていたがそれでもショックだった。

シーシーは話を聞きながら自身がエグゼの性奉仕をさせられた時の事を思い出し、事後にシーナが優しく励ましてくれたことを思い出していた。



ミチトには見えていた。

笑顔の少女。

母に守られて育てられた少女。

11までは母が居た。

だが母は死ぬ。


そして残された借金を理由に無理やり身体を売る事を強要された。

払う必要がない事を知らない少女は歯を食いしばって笑顔を振りまいた。

子供が出来た時、親がわからなくても授かりものだから大切に育ててこんなところでは無い場所で育てると息巻いて頑張ろうとしたが身重では金にならないからと無理矢理食事に堕胎薬を混ぜられていて堕胎させられる。

ショックで寝込みベッドの中で名付けたかったハーモの名を呼んで泣き続ける姿。

失意の中、仕事を拒否したらほぼ原液のロエスロエで壊された。

高濃度のロエスロエを何度も飲ませて壊されていた。

そして中毒によって力なく身体を震わせてだらしなく笑う裸のシーナは売り物にはならなくなり、それでもはした金で買い取る人買いに売り飛ばす。

最後は物のようにシーツに包まれて人買いに引き取られた。



ミチトは自身がアクィを原液のロエスロエから救った経験からあの薬の厄介さを知っている。

ミチトが一番高潔と信じて疑わないアクィ・サルバン。

あのアクィですらおかしくなり絶対に言わない言葉を口走っていて本人は悔しさで泣いていた。



許せないと思った。

ミチトは女性の心を読み、シヤの心を読み、シーシーの記憶を読んでその中に居たシーナ。

明るく優しい少女を身近に感じてしまっていた。

シヤも名前をくれて生きてと言って好きだと言ってくれたシーナが遭った目を考えて許せないと思った。


「「殺そう」」

シヤとミチトの言葉が同時に出た。

一瞬聞き間違いを疑いたかったが2人の顔と殺気で聞き間違いで無い事を察したシーシーが慌てて「マスター!シヤ!」と声をかける。


「なに?シーシー…?」

「シーナの代わりに殺さないと」


2人はお互いの言葉を聞いて顔を見合わせて頷く。


「そうだよ。シヤ…シーナを壊したのはこの店のオーナー。あの女だ。

「身体で稼ぎな!子供がいたら働けなくなるだろ!私だって何人も堕したんだ!」

そう言って食事に堕胎薬を混ぜて飲ませた。

ロエスロエを飲ませた。

許せない。殺そう」

「うん。マスター。シーナは死んで良い人間じゃない。なのに生きてるコイツが憎らしいよ」


そう言うと2人は一歩ずつ不遜な態度で迷惑そうにしている女店主に向けて歩いて行く。

女店主は殺意が自分に向いている事を理解して青ざめた顔で腰を抜かしながらも後ずさりを始める。


「逃げられる訳…ないだろ?」

「お前がシーナとハーモを…」


シーシーは辺りを見て「ダメ!…アクィさんは居ない…」と言った時に術人間達にアドバイスと指示出しをしているイブとライブを見つける。


「イブさん!ライブさん!助けて!マスターとシヤが人を殺しちゃう!」


この言葉に「どうしたんですか!?」と言って駆けてくるイブと「わ!?マスター!?怒ってる!?落ち着いて!」と言って本気で走ってくるライブ。


「ライブ!抱きついて!イブも抱きつきます!シーシーちゃんもシヤくんに抱き付いてください!」

「マスター!」

「え?はい!!シヤ!」


イブとライブが本気でミチトに抱き着きシーシーもシヤに抱き着く。


ミチトは必死に抱き付いてしがみつくイブとライブを見て「イブ…ライブ…この人間、悪い奴なんだよ」と自身の正当性を訴えようとする。


「ダメですよ!落ち着いてください!今日のマスターは無理しすぎてますよ!」

「本当だよ。まだやる事あるよね?ここはもう終わらせようよ?ね?3人であっという間に片付けて次に行こうよ?お昼になっちゃうから皆でご飯食べよう?ね?」


ミチトはうわ言のように「俺…シヤ達の神様になってあげなきゃ…」と言っている。

「神様だからっていきなり人殺しはダメですよマスター!」

「そうだよ!仕返しなら皆で考えるからいきなり殺しちゃダメだよ!」

「……………………わかった…ごめん。イブ、ライブ」

ミチトは少しだけ落ち着いて殺気をおさえる。


シーシーはシヤの顔を見て「シヤ?シーナはそれを頼んだの?考えて?」と言う。シヤは止めるシーシーごと前進をしながら話を聞き「…シーナは望まない。俺が許せない。ハーモを助けてあげられないシーナの無念を晴らしたいんだ」と言いながら「シーナの頼み?」と言って歩みを止める。

「そうだよ!勝手にシーナの名前を使って人殺しはダメだよシヤ!」

「……………………そうか…そうかも…ありがとうシーシー」

シヤは殺気を消すとシーシーに感謝を告げた。

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