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48番のシヤ。~俺、器用貧乏なんですよ。外伝~  作者: さんまぐ
少年少女の言葉、願いと仕返し。(全10話)
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第44話 シーナなら。

ミチトは「右手で排毒術…。左手で再生促進術!」と言って女性に両手を差し向ける。


右手に茶色のモヤが集まり始めるとミチトは「あー…ロキさん。クリスタルの器ってここに無いですよねー?」と聞きロキは「…やる気ですか?」と返す。


笑顔で「はい」と言うミチトを見て何かを諦めた顔のロキがグローキに「君、ディヴァント家が払いますから今すぐに純度の高いクリスタル製の器を買ってきてください」と言った。


グローキは「クリスタルですか?」と聞き返すとシックが「いや、ウチにある。我が家から取ってくるんだ」と指示を出す。


「ミチト君、クリスタルの器をあげたら凄いものが見れるんだよね?」

「まあ仕返しならですね」


この言葉に喜んだシックはグローキに命じて屋敷からクリスタルの杯を持ってこさせる。

クリスタルの杯を見たミチトは「あれ?ロウアンさんのお家のとお揃いですね」と言った。

シックは呆れるように「皆貰っていたからね」と言って笑う。


「じゃあここに」

ミチトは毒素をクリスタルの杯に入れると杯は少しだけ曇る。


「肉を溶かす毒素は排出したからもう肉は溶けない。あ…溶けた肉を出さなきゃダメか…。女の人の肌って切りたくないよなぁ」

困った顔のミチトにアクィが「医療行為!馬鹿なことは言わないで切ってあげなさい!」と怒る。


「でも、傷が残ると可哀想…、まあ鋭い刃で切って早目にヒール使えば平気かなぁ?アクィ、君ならどこがいい?」

「…私は髪が短いけど長い女性なら背中とかなら目立たないわよ、後は大切な人にしか見られないような所なら日常生活に支障は無いわよ」


この答えを頷いて聞いていたミチトは「成る程…本人に聞こう」と言って質問をすると女性は脇の下を希望してきた。


「ああ、確かに目立ちませんね。じゃあ肉を出します。痛く無いように努力し……てもらうのはやめた。痛覚封印…で切りますね…アイスランスを変えてアイスエッジ…」

薄いガラスのような氷の刃で女性の脇の下を切り裂くと出血とともにドロリとした肉と腐った臭いがこれでもかとしてくる。


視覚的、嗅覚的に酷い状況を想像してアクィが「ミチト?」と声をかけると「平気。血を失うたびに再生促進術を使ってるから彼女は平気だよ」と言う。


暫くしてこれでもかと血を流した女性からは腐臭はしなくなった。


「よし、ヒールで傷を塞いで…溶けて傷んだ部分ごとヒールと促進術で治して…シヤ!シーシー!出番だ!ロエスロエから解放してあげるんだ!」


遂に来た。

ここ一番の出番。

シヤは緊張で手に汗が出てくる。

「シーシー…俺にやれるかな?」つい弱気になってシヤはシーシーに聞いてしまう。


「シヤ、シーナなら何て言うの?」

「シーナ?」


シヤはシーナなら何を言うか考えた。

握りこぶしで気合を入れながら「シヤ、頑張るからね。私、彼女を治す。ハーモ!見てて!お母さん頑張る!お父さんと頑張るね!行こうシヤ!」と言うシーナの姿が思い浮かんだ。


「シーナは頑張るな…変なことは考えないで頑張る。弱音なんて吐かない」

「そうだよね?私じゃシーナの足元にも及ばないけどさ、シヤを手伝うよ」


「助かるよシーシー。ファーストロットから針は借りた」

「うん。私は忘却術でシヤが心眼術とヒールだからね」


苦痛は取れたが身体の震えが残る女性の前に行き「俺に助けさせて下さい」と言うシヤ。

女性は震えながら「…た…助けてくれるの?」と聞き返す。


「はい。俺とシーシーがシーナの…ジーナの代わりに助けます」

「ジーナ?」


「この街に居たそうです。親の借金の借金で働かされて子供が出来たら子供は殺されて、仕事を拒んだらロエスロエで壊されました。彼女の代わりに俺たちがここの人達を助けたいって言ったらマスターと貴族の人達が力を貸してくれたんです」

「お姉さんはシーナの事知ってる?」


「ごめんなさい。ここには偽名を使う人もいたし毎日新しい人が連れられてきて毎日色んな人が消えていくの…。だからわからない」

「ありがとうございます。痕跡を頑張って探します」


シヤはフラがやったみたいに針を構えて「これから治します。シーシー」と声をかけ、シーシーはライがやったみたいに女性の頭に手を置くと「うん」と言った。


「お姉さん、忘却術でロエスロエを忘れさせるね」

「俺の番だ。心眼術!神経の損傷を赤!針でヒールを送り込んで損傷を治す!」


シヤは一瞬不安になりシーシーの顔を見る。

シーシーは忘却術が成功したようで満足そうな顔をしている。



「シーシー!シヤの為にに心眼術でサポートするんだ!細い神経だけを心眼術でみるんだ!もしシヤが手を止めても赤が残れば続けさせろ!」

「了解マスター!心眼術!神経の損傷を赤!」

シーシーはフラとライを真似て心眼術を使って女性を見た後でシヤに「後少し、徐々に赤みが引いてるよ」と言った。


「ありがとうシーシー。やはりマスターは凄い」

「うん、神様みたい」


シヤとシーシーはそう言いながらもう一人の女性を見る。

もう一人の女性はフラとライが治療をしていて真剣な表情をしている。


「フラ!促進術が甘い!ライも促進術を使って!」

「はい!」

「わかったマスター!」


この言葉で女性の治りが良くなった所でミチトは「シイ!シヅ!ヨミ!次の建物だ!次の人達を連れてきてここで待たせて!アクィ!3人の付き添いを頼む!」と言う。


アクィは引率者の顔で「任せなさい。行くわよ!」と言ってシイ達を連れて次の建物に向かう。

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