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第21話 人質作戦。

先程名乗りあげたライブの声で「突撃ぃぃっ!」と聞こえると街から沢山の影が山頂に向かって駆け上がってくる。

特に名乗りあげた3人はものすごい速度で駆け上がってくる。


「来た!」

「各々の術人間と出るぞ!悪魔の群勢は術人間の確保を目的としているから術人間を人質にして街まで降りて悪魔を討ち取る!」


シヤは耳を疑った。

なんて浅はかな作戦だろう。

そんなものが通じるわけもない。


ミチトの仲間達が攻勢に出たからだろう。木々の中から次々と見たこともない兵士と術人間達が出る。


名乗りあげた3人は瞬く間に兵士だけを斬り殺していくのがここから見えている。

魔術師も居るが魔術師はピンクの髪色…イブと名乗った少女の手で斬り殺されていく。


圧倒的。

まさに圧倒的で次々に押し進められて兵士達に後が残されていない。

そこに見た事のない子供達が10人整列しているのが見える。

その後ろで兵士が「術人間達!超熱術を放て!」と言っている。


シヤは身体が震えた気がした。

超熱術はダメだと、思い出せない仲間が死んだ事、シローの事を思い出して止めたい気持ちだった。


術人間の子供達は手を前に突き出して超熱術の動作に入る。

死んで欲しくない気持ちのシヤ。


だがその心配すら杞憂に終わる。


「イブ!私に追い風!ライブは左から!私が右から行くわ!」

「おお、アクィなのに頼もしい…了解!」

その声と共に更に加速をする3人。


流れるように剣を振るい瞬く間に術人間を無力化した赤い影…アクィと緑色の影…ライブ。その後をピンク色の影…イブが来て吸収術で術を放てなくする。


超熱術すら不発にした事にシヤは感動した。これなら助かるかもしれないと思った時に代理マスターがシヤの首に剣を当てて「歩け」と言った。


助かった気になった自分を恥じる気持ちのシヤ。

まだここには代理マスター達が愚かな人質作戦を考えていたままだった。


破竹の勢いを見せるミチトの仲間達。

山肌は流れた血で真っ赤になっている。


そこに出たシヤの代理マスターが「寄るな!悪魔の軍勢め!」と言ってミチトの仲間達を威嚇した。

その声に合わせるように他の代理マスター達も術人間に剣を当てる。

「お前達は術人間達にご執心みたいだからな!」

「これ以上近づけばこいつらを殺すぞ!」


その脅迫に緑色の髪色をした美少女が怒りに顔をゆがめて「このドクソがぁ…」と兵士達を威圧する。


背筋が凍る気がするシヤだが頼もしい気持ちにもなる。

そして赤いアクィとピンクのイブは事もなく話している。


「ライブ、口が悪すぎですよ?」

「本当、戻らなくなっても知らないわよ?」


赤いアクィが「あなた達!騎士として恥ずかしくないの!?」と言うが別の代理マスターが「知るかよ!最初からこうすれば良かったぜ」と言うとシヤの代理マスター達も「脅迫は無駄だからな、どの道このガキ共を殺せば俺達は死ぬ。何もしなくてもお前達に殺される」と言ってシヤに剣を突き立てる。

シヤの首に小さな痛みが走ると首に温かいものが走ったのがわかった。


自分は切られたのだろう。見れない以上確かめようの無いシヤは目の前で動けなくなった赤いアクィを見る。


「そうだ、このまま街まで行こうか?」

「おお、名案だな」

「へへへへへ!手出し無用だぜ?」


そう言って背中を押された術人間達は街に向かって進む。


そして悪い事は続き、別の場所で突撃の機会を伺っていた別の兵士達が、この動きが止まったタイミングで街を目指し始めた。


これは代理マスター達も想定外だったのだろう。


「何だアイツら、術人間を持たない奴らが隠れていたな?だがタイミングはバッチリだ!動くな!動けばガキ共を殺すぞ!」

慌てている事がわかる声で脅すと3人の先にいた男達の動きも止まる。


自分達が邪魔をしていると感じて申し訳ない気持ちになるシヤ。

一歩、また一歩と街に進んでいると急に目の前が暗くなる。

雨でも降るのかと思ったが、それはが全く違うものだった。



「ガァァァァ!!」と言う咆哮と共に天空から金色の物体が物凄い速度で降り立つと街を目指していた別働隊に向かい火を放ち焼き殺す。

一瞬でケシズミになった兵士達。


代理マスター達は驚きの声を上げる。

「な…何だあれは!?」

「く…化け物…」


足を止めて今も羽ばたく金の物体…竜を見る。


「妾は金竜!はるか東のダンジョンを守る者!そして我が主人!真式様が身を寄せるこの地をこれより守る者!この地に悪意を持って攻め入るものは我が炎に焼かれる覚悟をして参れ!」

金竜がそう吠えるとこれ見よがしに領土ギリギリを一周し始める。

その圧倒的な存在感にシヤは感動していた。

圧倒的なミチトの仲間達。今度こそ助かると思ったが代理マスターは「逃げるぞ!術人間達を盾にしろ!とにかく引け!」と言って金竜が湖の反対側に飛んだ時を狙うとそう言って逃げ出した。


シヤは何も出来ずに遠ざかるイブ達を見て絶望感に打ちひしがれていたが「テメェ、このドクソ共!術人間達にこれ以上傷一つつけてみろ、この世の果てまで追いかけて死ぬより辛い目に遭わせんぞ!覚悟しとけよな!」と言う声が聞こえてきた事でまだ希望はあると思えた。

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