第14話 追撃されるシヤ。
村を出たシヤはシーナを背負って歩く。
シーナは遠慮するもののシヤはシーナが軽いから問題ない事と、自身も寝たし干し肉を食べたから元気になった事を言って歩き続ける。
シヤは途中バテる事なく日が暮れる頃まで歩き詰めた。
シーナと話をしてパンと干し肉は明日に回してその次のパンは最後の日に食べようと決めると再びシーナを背負って歩く。
もう少し距離を稼いで少し寝ようとシヤが話しかけるのだが急にシーナが静かになった。
その事にシヤは眠ったのかと思って振り返ると表情のないシーナがシヤに向かって手を伸ばしてきた。
その顔と掌を見ると背筋の凍るシヤ。
「アースボール…」
シーナのアースボールはシヤの頭を狙っていたおかげでシヤは回避が出来た。
「ちっ、47番!頭を狙うな!身体に当てるんだ!」
そう言ったのはシーナの代理マスターで追いつかれていた。
シヤは必死に歩いていた事でシーナに小さく語り掛ける代理マスターに気付いていなかった。
背負われているシーナを見た代理マスターは「48番の代理マスターが不在だから無力化して連れ帰るしかないってのに47番は怪我をしてるのか?」とぼやくと「47番!48番を無力化しろ!」と言った。
具体的な命令のできない状況が事態を悪くする。
シーナは的確に術を放ってシヤを攻撃する。
シヤは頑張ってシーナを背負っていたが遂にシーナの攻撃でシーナを落としてしまう。
ここまでかと思った所でシーナの代理マスターが口を滑らせる。
「47番、45番は死んだのか?」
この質問にシーナは頷く。
一瞬考えた兵士は「まあエグゼのお気に入りの47番が生き残れば許されるだろう。次の問題は48番が王都に入る事だな」と言ってシヤを睨む。
シーナは命の保証がある。
それならば王都に逃げきれば後からでもシーナは助かる。
そう思ったシヤはシーナの代理マスター目掛けてアースボールを放つ。
まさか、自分が狙われると思っていない代理マスターは慌てふためくが本能でマスターを守ろうとしたシーナが射線に割り込んで代理マスターの代わりに背中でアースボールを受けてしまう。
「シーナ!?」
「…よくやった47番、奴を無力化しろ」
シヤは再度威力を抑えたアースボールを放って目眩しをするとシーナを置いて王都に向けて駆け出した。
足を痛めたシーナにシヤを追うことは出来ない。
代理マスターが1人でシヤを追うことは考えにくい。
思った通りどうする事も出来ない代理マスターは憎々しくシヤの後ろ姿を見送ることになった。
シヤは街道から逸れて獣道を進む。人通りが多い所では街道を歩き、人通りが消えると獣道に切り替える。
今も見えている城を目印にしているのでシヤは多少横道に逸れても軌道修正も出来るし、皮肉な事だがシーナもいないので身軽に歩ける。
どんどん大きくなる城とシーナの事を思うとシヤは休んでいられなかった。極度の空腹で倒れればパンと干し肉を食べ、睡眠不足に陥って倒れればその場で目が覚めるまで寝るような行動をした。村まで送ってくれた男の言葉通りなら後2日の距離まで来た。夜通し歩こうとした所でファイヤーボールが飛んでくる。
それはシーナで足には添え木をされている。
無理矢理シーナを動かしているのだろう。
シーナは遅いものの走ってシヤを殴りつけてくる。
そして肉薄距離になった所でシヤはシーナが吐血している事に気付く。
「シーナ!血を吐いてる!どうした!」
慌ててシヤがヒールを使うとその間もシーナはシヤを殴り続ける。
顔面をボコボコにされてもヒールをやめないシヤだったがいくらヒールを送り続けてもシーナは吐血が止まらない。
「こうなればシーナを無力化して担いで王都まで行く!代理マスターの範囲外まで出てシーナを取り戻す!」
シヤは一気に加速してシーナの手足を殴り付けていく。
それでもシーナは止まらない。
シヤを殴るシーナの手は折れているのだろう。赤黒い紫色をしている。
「シーナ!やめろ!手が折れてる!クソっ、さらに本気だ!待っていて!助ける!」
シヤは驚異的な集中力でシーナの手足を殴って無力化をする。
シーナの放つアースボールには瞬時に対応してアースボールを放って相殺を繰り返す。
「術を使うなら術限界まで追い込む!限界を迎えたら術切れで倒れるってトロイが言ってた!」
シヤはシーナが倒れるのを待つために戦う。
暫く戦った所でシーナは力なく倒れ込んだ。




