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番外編TIPS:魔物編:プロメテウス


 身の丈より巨大な和弓を持つ弓使いの天魔。彼が放つ矢は速く鋭く、今まで何人もの戦士を殺害し、バッカス王国の前に立ちはだかり続けてきた。


 プロメテウスはエキドナ事変、最後の戦いにおいて殺害経験によって形態変化レベルアップし、その背に翼を生やし、飛翔能力を得ていた。


 無邪気に楽しみ、人を狩る天魔はアーセナル内部に侵入しようと動いている決死隊を狙い暴れていた。巡航島の氷が盾になったものの、それは完璧ではなく、島の外に出て活動せねばならない者にとって戦場の空を駆ける天魔の存在は害悪極まりないものだった。


 その天魔を排除するため、アルゴ隊の総長は自分の命を使う事に決めた。


「そうちょ、なんれ……」


「誰かがやらないといけない。アイツに好き放題させたら、アーセナルに取り付く事すらままならない。いまぼくら以外にまともに動ける奴はいないからな」


 イアソンは不安げにしているヘラクレスにそう説明した。


 戦況はバッカス王国が圧倒的に不利なものであった。魔物の方が数が多く一体一体が強く、戦線崩壊間近。それでも決死隊は目的を遂行しようとしていた。


 仮に敗れても、エキドナを仕留めれば目的は達成出来るがために。


「じゃあぼくもいく。ぼくてつだう」


「駄目だ、戦況が混沌としすぎてる。アタランテとアッキーなら駆け回ってこっちまで戻ってこれる脚があるけど、他の奴らは片道になる。アーセナル内部にどれだけの敵がいるかもわからない以上、可能な限り温存したい」


「でも、そうちょ……そうちょは……?」


「大丈夫! ぼくがいなくても大して支障はないさ」


 イアソンは笑ってそう言った。


 そのイアソンに魔術を施しているメーデイアは無表情のままだった。


 イアソンの体に施されている魔術は、その身を人間爆弾に変えるもの。


 彼は部下二人との連携で何とかプロメテウス討伐を果たそうとしていた。ただ、部下はともかく自分はもうハバククまで戻ってこれない覚悟で行こうとしていた。


「…………」


 イアソンは少し迷った。


 ヘラクレスは適当に言いくるめるか迷ったが、語りかける事にした。


「今回、ぼくはここで脱落だ」


「やだ」


「ヘラクレス、ここからはぼく抜きで頑張ってくれよ」


「やだよぅ……。ぼく、そうちょいないと……」


「ぼくがいなくても立派に頑張ってただろ? 頑張ったからぼくらのとこまで帰ってきてたんだろ? 今回はお前一人だけじゃなくて、他の皆もいる。大丈夫だ」


「そうちょ……」


「一人じゃないけど、一人で出来るな? ……ぼくを安心させてくれ」


 頼むよ、とゴブリンは言った。


 巨人の少年は頷き、短く言葉を返し、ゴブリンをほころばせた。


「ほら……お望み通りのもの、しっかりかけておいたわ。爆破は任意で」


「ありがとな、メー」


「よりにもよって私に、こういう事させるような男だから嫌いなのよ。ばか」


「返す言葉もない。でもまあ、お前の魔術が一番信頼おけるしな」


「…………」


 じゃあ行ってくるわ――そう言って、ゴブリンは飛び立った。


 部下二人を引き連れ、震えている巨人の少年に見送られ飛び立った。


 ただ、エルフの魔女は彼が飛び去っていく姿を見ず、目を逸らした。



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