俺とシズカだけオットセイ加工
夕日の色に照らされた闇の貴公子。
──この俺が……背負う咎に拘束されているとでもいうのか……。
俺は堕天使をキメたままのポーズで微動だにしなかった。
理事長はカルチャーショックに青ざめ、白い目で固まったままだ。
そしてゆっくり、シズカが動いた。
チャキーン! と俺の肩に手を添え、モデル立ち。
どさり、アイスが入ったビニール袋を理事長の机に放ると髪をかき上げ、姫は親に見せつけた。
「やめろ娘! これにノッかる事だけは許さん! あ~キモっ!」
どういった雑誌の表紙だよ、とばかりに気持ち悪くポーズに浸る二人の学徒は、声を荒らげる大人に反抗し続けた。
「──で、どんなルールの遊びなんですか?」
包装から棒つきアイスをスルリと抜き、猫グチでシャクシャクと食べ始めたシズカ。
「気持ち悪いと高得点」
悩ましげに言う俺は、自らを片手で抱き締めるポージングで『ゴリゴリくんコーラ味』を罪深く、横へと噛み千切った。
「もうオマエの住所は校長室に決定だよっ!! 落ち着かない日々を過ごさせてやるよっ!!」
ぷりぷりとしながら机をバシバシ叩く。そうして激しくツッコんできた理事長は手にしたアイスを乱暴に噛み砕いた。
「お母様はあまりナヨナヨされた殿方は好まれないのです」
「好む好まないどころかこのレベルならもう殲滅対象だよ! ハア~しっかしキモいわあ~!」
苦悶の表情で上向き加減。そのうえ小指を噛んで見下ろす俺に、タイガーは丸めたお菓子の包装を投げつけてくる。
──ふん。いい事を聞いた。どうやら俺は形勢を覆すカードを手に入れたよ。
「──理事長。俺のカルマがオッド・アイをブラッディに染め殺し始めた。よって、今宵の戯れは幕を閉ざさせていただこう」
「はあ?! オカマの……オットセイがブラブラ始めたぁ?! その自分を抱き締めるのやめろ小僧!!」
天空におわす主の呼び声に身を震わす俺。タイガーは八の字に歪めた眉でぷるぷるイライラと怒りに震える。
それを見たシズカが、切なげに自分を抱き締め始めた。
「──お母様。わたくしのカルマがオットセイをブラッディなので、今月のお小遣いは二千円アップしていただきましょう」
「お前らの卒業アルバムの写真を全部オットセイに差し替えてやるよ!」
机をバシーンと叩いて、八の字眉毛のタイガーが激しく素早くツッコんだ。




