西日本女子連合 VS 超越者 フォースセクシャルハラスメント
「結局、三股だったんだって。信じられないよな。相手のヤローに総司令パンチ食らわせてやりたいよ」
「ユッカ、つらいでしょうに。さっきも元気に振舞ってました。わたくしもユッカに何かしてあげられないでしょうか……」
「潰しましょうかその相手の軍人。ライフ教官情報流してくださいよ。風紀委員長としてキッチリ話つけてきますよ」
「やめなさい。今や軍はそんな瑣末な事ですら口実にしてくるわよ? 男女の関係なんてそれも覚悟の上で行われるモノでしょう。それにそんな男には相応の人生が待ってるだけよ。限られた時間の中で本当にその子を楽にしてあげたいのなら、別のいい男でも紹介してあげなさい」
「教官の立場で何という事を。生徒会としては看過できませんが」
「ワルディーとしてもカンパできませぬが」
ケチかワルディー。
「女としては? 会長」
「え……いや、その……わ、私には、よく解りません……」
「それ以前に人間として、どんどん先に進んだほうがいい。傷を恐れず、傷だらけで進んで、傷は生きているからこそ生じる喜びと知れば、この宇宙に生まれた意味も見出せるのかもしれない」
「教官、ちょっと何言ってるか解りません。ドMが正解という事ですか?」
「だ、黙っていろ風紀委員! 生徒会として今は年上の女性にレクチャーを……」
「女は度胸で前に突っ走りなさい、って事かもね、地鏡さん」
ぶつかる事で生じる傷、いや、熱──か。
────というか、あの……。
「ワルディーそのビスケットちょうだい」
「食べさせてあげりゅ~。はい、なっつんア~ン」
「離れていくモノを追って、たとえまたぶつかれたとしても、生じるエネルギーは小さいモノ。ならば正面衝突が生み出す莫大なエネルギーを求めて進むのが時間の限られた人間の本質じゃないかしら? ……寒がりな、人間の」
──あの……。
「姫、私のアップルグミが見当たりません。食べましたね?」
「教官。おっしゃる事、わたくしもなんとなくは理解できます。でも正論だけが全てではない事もまた事実。──過ぎ去っていったモノがとても大事なモノで、たとえもうぶつかる事ができなくて、たとえ小さい熱しか生み出せなくとも、それでも追う熱というモノも、また、命」
「何に重きを置くかは人それぞれね。追う事に迷わないならそれも一つの本質。──ひとつ言えるのは、人間なら直線軌道で迷わず行ったほうが暖かいモノを得やすいんじゃないかしら? という事。あっちこっちの力に引っ張られて迷うだけでは、やがてその場で動けなくなっていく。冷たくなっていく。そうして動かなくなった者は恐ろしい低確率のボタモチを待ち続け、でも人の一生はそれを待つには短すぎる」
「逃げた男を追い続けるか、新しい恋を探すか、どっちにしろ的を絞る方が人間として楽に生きやすいんじゃないか、といった感じかな? ──ワルディー変な顔してポッキー食べるんじゃないの。何そのタコみたいな顔」
ちょっと、すみま……せん……。
「そんなトコロね総司令。そして遠ざかっていくモノに目を向けてるより、他にアンテナを張る方がもっと楽なんじゃない? 他の暖かいモノに気付きやすいんじゃない? ってとこよ。まあ、月並みな一般的意見よ」
「かいちょ! 『きゃらめるにゃんにゃんパイ』食べたいれす!」
「好きに食べていいから静かに! 今、生徒会として年上女性に女心ってモノを……」
「私のアップルグミを食べた姫の考えは苦行を選ぶドMという事でいいんですね?」
「いいんですね? じゃありませんよ沙理緒は」
「そう。そしてそれにより莫大な熱を生み出せるならば相当な上級者」
「そう。じゃありませんよ教官は」
「まあ……苦楽の差なんて、無意味になると思うけどね」
「しぇんしぇ~。エビせんばっか食べないでくだしゃい」
「迷い、相反……。でも人間は、自らの中でその反するモノをぶつけて熱を生み出していけるモノなのかもしれない」
「うっわ、会長またウナギチョコ買ってきてるよ~。これ食べてんのアンタくらいだよ?」
「そう言ってオマエがいつも半分近く食べてるじゃないか! それより今、年上女性がなんか新たな段階に入ったからチョット静かに……」
……その……。
「迷いを持つ事を迷わなくなったその時は、もしかしたら永久機関の始まりなのかもしれないわね」
「あ~! わたくしの『うみゃい坊』イチゴバター味が行方不明です!」
「事件の匂いがしますね。とりあえずあきらめましょう」
「そこに、何があるのかしら。──それが、宇宙なのかしら」
「しぇんしぇ~、ワルディーのおやつ袋からエビせんがいなくなりましゅた~」
「────ええ~い!! 黙るがいい!! この『オヤツなでしこ』ども!!」
遂に俺はブチ切れ立ち上がり、変な声を上げた。




