西日本女子連合 VS 超越者
「しぇんしぇーあほんだら、みなしゃん、あほんだら」
「ワルディー、さ・よ・う・な・ら」
ペコリとお辞儀するワルディーに、ライフが相変わらずクールに指摘した。
「しゃ、しゃちょーなら」
社長ならなんなの。外出中とかですか? 俺は言い直したワルディーに合わせて再度お辞儀したあと、またぼんやりと席に座った。
ライフはお手上げといった小さなジェスチャーで息を落とし、自席に座り俺を見る。
「──どこでやるの? ここ?」
「……ここみたいです。ナツミ先輩からメールきてました」
俺は携帯端末をぽちぽちと確認しながら答えた。
このあとすぐ、俺に対する質問会が始まる。──いや、尋問会だろうな。
当然っちゃ当然だ。俺は色々、やらかした。訊きたい事だらけだろう。というか危険人物として不意打ちで拘束されても文句は言えない。
五時間目を襲ったココでの初戦をくぐり抜け、俺は今、ミーアキャット組でひとまずの放課後を迎えていた。
まあ、厳密に言えば放課後なんてモノはこの時代に存在しないんだが、そんな事気にする頭でっかちなんざそうそういない。授業が全部終われば一応、放課後ということで。
六時間目は戦闘の後処理などでつぶれる事となった。
今回の場合は人的被害がほとんど無く、サリオの魔王キックで起きた地震が机倒したり花瓶落としたりしててメンドくさかったが、学校生活に支障が出る様な物的被害も出なかったので、とりあえずは問題無し。俺達学徒に至ってはそう時間をとられる状況でも無かった。
学院はああいった状況も踏まえてか、ある程度住宅街から離れた小高い丘陵地帯に建造されている為、銃撃戦による被害も大した事はなかった。正門あたりの壁とかが穴だらけだが、早速業者が修復にあたっている。
例の世界核バスがビルとか家とかにドッカンドッカンぶつかって壊してたが、自警団や民間業者、軍の復興部隊などが今頃復旧、後処理を頑張っているだろう。
ただ税金で動いてる割に(税金で動いてるからこそか?)、なんだかやる気も人数も少ない統合軍の兵士はあんまりアテにならず、民間で互助的に金を出し合って復興を進める状況が世界各地で当たり前となっていた。
それにあたっては空院女学院も結構な金額を受け持っているらしい。「由緒はあるが金はない」なんて、校長が笑ってたよ。
ん、それはまあ置いといて。そんなこんなで、今に至る。
さて、どうするか。
俺は少し、瞑目した。
「──サリオワンダフル。サリオワンダフルです」
「だめです姫」
二人の魔王が教室のドアを開けながらナンカ言い合い、入ってきた。その手には購買のビニール袋をぶら下げている。
「ライフ教官、失礼致します。こちらで質問会をさせていただきます」
シズカが教壇のライフにペコリ、頭を下げた。
「ええ、聞いてるわ。お好きにどうぞ」
ライフは特に笑顔も作らず、二人の来客に頷いた。
「にめーしゃま、いらっしゃいましぇ~。おくのおざしきへど~じょ~」
座敷ねえし。お客様にはしゃぐワルディーは教室の後ろにパタパタと小走り。
座敷を案内したワリに畳んで置いてあるパイプ椅子をよいしょ、と手に取った。
「ではカタリさん。まず…………サリオワンダフルですよね?」
パイプ椅子に座るシズカが対面の俺に、小首を傾げて訊いて来た。
俺とワルディーの机をくっつけて、遂に俺への尋問会が始まった。
…………サリ──何それ?




